「え?あ、ううん。違うよ、シャンクスの笑顔素敵だなーって」
「ほぅ・・・・・・あの顔がね」
「あ、やだ!あたしったら・・・・・・忘れて!」
思わず口から出た言葉に焦って慌てて言うあたしを、ベンとマコトは可笑しそうに笑っている。
「何だよ、お前ら!楽しそうだな!」
シャンクスがお酒を片手に、カラカラ笑いながら此方に歩いてくる。
シャンクスは「よいしょ」と言いながら、あたしの隣に座る。
「何の話してたんだよ?」
シャンクスは、あたし達の方を見ながら聞いてくる。
「ユリアがな、あんたの笑顔が素敵だって褒めてたぜ」
「なっ・・・・・・」
シャンクスは言葉に詰まり、顔を真っ赤にする。
「あれ、お頭照れてるんすか?」
「やだ、シャンクス可愛い!」
「ば、バカヤロウ!照れてねーよ!」
「だって顔真っ赤だよ」
「・・・・・・ッ!!」
あたしやマコトにからかわれて更に顔を真っ赤に染めるシャンクスを見たベンは、珍しく大笑いしている。
「ユリア、後で俺の部屋に来いよ」
「え?何で?」
「何でって、分かるだろう」
「分かんない」
あたしはそう答えたが、何となく予想がつく。
ーー久しぶりなんだし、いいだろ?ーー
耳元で囁かれたあたしが、今度は顔を赤くした。
ベンとマコトは相変わらず可笑しそうにしている。
「明日はマキノさんの所で宴会だな!」
立ち上がったシャンクスは、大きな声で皆に言う。
それに応えた皆は更に盛り上がり、暫く宴会が続いた。
「シャワーも浴びたいし、今日はもう休むね。おやすみなさい」
「あぁ、おやすみ」
あたしはベンとマコトに一声かけて部屋に戻る。
部屋の外からは賑やかな声が聞こえてくる。
シャンクスの所に行く前にシャワー浴びちゃおうっと。
あたしはバスタオルと着替えを持って、浴室へと向かう。
翌日、シャンクス達はベンからレース海賊団の船員達が全員処刑され、レース海賊団は正式に消滅したと聞かされた。
新聞の記事に掲載はされたが、表の理由は『あちこちの村を潰したりしていて存在が他の海賊団よりも危険すぎる』と書いてあって、本当の理由は記載されていない。
海賊が同じ海賊により消されたという事じゃなくて、政府が海賊を支配下に置いて村を消したりしていた事実を、海軍や世界政府としては伏せておきたいんだろうとの見解だ。
「・・・・・・これで、全て終わった」
ベンの話を聞きながら新聞を読んでいたユリアとマコトが呟いた。
「ユリア、マコト」
声のするほうを見るとシャンクスとベンを筆頭にヤソップ達が、二人の前に立っていた。
「ようやく、全てを終わらせる事ができました」
マコトが言葉を紡ぐ。
「これからも一緒に生きていこう」
「はい」
二人は囚われていた過去に終止符を打ち、仲間と共に新たな道へと歩き始めた。
長閑なフーシャ村では、いつも以上に賑やかな声が響き渡った。
〜end〜
お読み頂き、ありがとうございました。
(2016.10.9)