あの頃に戻れるのなら

「ユリア、お前が船に戻るなら条件がある」

それまでずっと黙っていたベンが口を開いた。

「・・・・・・条件?」
「あぁ」

聞き返すと、ベンは話始めた。



お前はウチを抜けて船を降りた時、降りる前に事前に相談しなかったよな。
マコトにだけ船を降りる2〜3時間前に話をしたようだが、マコトは当時は幹部じゃなかったから決定権も何もなかった。しかも話が急すぎて、マコトはお頭や俺に言う暇もなかったそうだ。
お頭に言えなかったのなら、マコトだけじゃなくて何故俺にも言わなかった。俺も鬼じゃないから、話をしてくれればちゃんと動いたぜ。
船に戻るなら、今度からはちゃんと話せ。何でも相談しろ。
直接話しづらいなら、マコトを通して話をしてくれても構わない。だけど12年の付き合いだ、今更話しづらい関係じゃないだろう。
お前は、俺にもよく懐いてくれていたじゃないか。今度からは何でも相談する事、いいな。
お頭は今でもユリアとずっと一緒にいたいと思っているんだ。ユリアの事を本当に大切に思っている。そこは分かってやれ。


そう言うと、ベンも元来た道を歩き始めた。


ーー二人共、ありがとう・・・・・・ーー


マコトとベンが店に戻ると、シャンクスはカウンターに突っ伏してどんより暗いオーラを背中に背負っていた。反対に、船員達は賑やかに酒を飲んでいる。


「やれやれ。世話が焼けるお頭だ」

ベンはそう言うと、シャンクスの元に行く。マコトも後に続いた。

「ユリアの所に早く行ってやったらどうだ」
「・・・・・・分かってるよ・・・・・・」

・・・・・・重症だな。

「ユリアはたった一人で泣いているんだ。あんたがグズグズしてたら一生後悔するぞ」

ベンの一言で、はっとしたシャンクスは店を飛び出していった。
ベンはシャンクスを見送ると席に座り、再び酒を飲み始めた。

「マキノさん、すまない。それと、ありがとう。ユリアがマキノさんに申し訳ないって言ってたよ」

マコトはカウンターにある椅子に座り、話始める。

「そんな、あたしは何も・・・・・・」
「ユリアの気持ちは同じ女性のマキノさんにしか分からないけど、お頭には十分伝わったと思う。ユリアは後で此処に来ると思う」
「二人共、壊れる前の関係に戻れるといいですね」
「多分、大丈夫さ・・・・・・」

そう言って、マコトはお酒を一口飲む。