#3
「・・・そのトリオンってのは個性とはまた別のものみたいだな」
シールドを発動させたままの出水を見ながら相澤さんがそう呟いた
"個性を消す"と言ってたのでおそらくそれを試したのだろう。結果出水のシールドは消えなかった
"ボーダー" "トリオン" "近界民" 私達の常識が通じない、トリオンの無い世界
近界民はトリオンを狙ってやってくる。トリオンの無い世界にはきっと門なんて開かない
生きてさえいれば、きっといつかボーダーの遠征艇が迎えに来てくれるだろうなんて考えてたけど近界にすらない、全く別の次元の世界だったら?
・・・・・・私達は帰れるのだろうか?
頭に浮かんだ最悪の事態に息が苦しくなり、視界が歪む。涙すら溢れそうになった時、出水の手が私の視界を覆いそのまま出水の方へ引き寄せられる。
体の向きを無理やり変えられ、出水の肩に頭を埋めるように抑えつけられ抱きしめられる
「大丈夫。きっと皆探してくれてる。絶対に帰れる」
「っ・・!」
「太刀川さん達が俺らを見捨てると思うか?」
優しく問いかけてくる出水に安心して、ボロボロと涙を流しながら出水の肩に顔を埋め頭を横に振り、抱きつくように背中に手を回すと応えるようにギュッと私を抱きしめる力が強くなる
「ボーダーの技術はすげーんだ。気長に待ちながら俺らも帰る方法を探そうぜ」
顔をあげると、ニヤっと微笑んでる出水が私を見つめていた。応えるように私も微笑み返す
「大丈夫かい?」
「!!っす、すいません、取り乱しました・・!」
今のやり取りを大人数に見られていたことに気づき、羞恥で顔が熱くなるのを感じる
し、しまった・・!つい暗い気持ちに飲まれてた・・・!!
「まだ完全に信用したわけではないが、君達の事情は大体理解した。ここに居場所はないんだろう?」
「まあー・・そうっすね・・」
恥ずかしさで下を向いてる私に代わり出水が答える
そうだ、まず私達に必要なのは生きるために過ごせる場所・・
「こ、ここで働かせてもらえませんか!?敵に襲われたという話を聞きました。私達戦う力をもってます、用心棒でもなんでもやりますから・・!」
「それは出来ない」
「・・・っ!」
決死の願いを即座に蹴られ、苦虫を噛み潰したような顔でネズミ顔の人を見つめると、ニコっと笑いかけられる
「君達のもってるそのトリガーというものを調べさせてもらうことはできるかい?」
「え・・・・」
「そのトリオンという私達の知らない技術に興味がある。その代価として君達の保護を約束する」
「!!」
思ってもみない言葉に私と出水は目を見開く
トリガーの貸出・・・ボーダーとして不味いことだが、ここはトリオンのない世界。例外として許されるのでは?何より自分達の保護を約束してもらえるなら背に腹は代えられない
「わかりました、是非お願いしたいです」
「取引成立だ。・・・そうだせっかくだし雄英の生徒として過ごしてはどうだい?」
「えっ!?」
「言っただろう、まだ完全に信用したわけではないと。ここで過ごしてもらうほうが監視として見張っていられるからね」
言っている言葉とは裏腹に、声色はとても優しかった。
一度収まったはずの涙を流し、涙で声を詰まらせながらも「ありがとうございます」と心からの感謝を伝える