#5
「ヒーロー、個性なんかが存在しない別の世界から飛ばされてきました。帰れるまでお世話になります」
簡潔にそう説明すると「何言ってるんだこいつ」なんて言い出しそうな目が集まる。
はっはっはっ。私も自分で言ってて何言ってるんだって思うわ
「ちなみにお前らが顔知ってるってことでこのクラスに在籍扱いになったが学年的には一個上だそうだ。他にも色々聞きたいことはあるだろうがもう授業が始まる時間だ、後にしろ」
そう言い捨てて相澤さんは教室を出て行った。
「別の世界・・?」「存在しない・・?」困惑してざわついてる中「結局マジであの人丸投げじゃねえか」と言う出水の呟きが鮮明に聞こえる
簡単に全員の自己紹介を済まし、予め用意してもらっていた一番後ろの席に座り、お互いの前に座っている子達に挨拶する
私の前に座ってる女の子が八百万ちゃん、出水の前に座ってる男の子が轟君だ
全員の名前を聞いた時に思ったけど個性的な名前の子が多いので割と覚えやすくて助かる
「ヒーローになるための授業とかめっちゃ楽しそうだな〜」
「私達もヒーローになれたりして」
「ボーダーもある意味ヒーローみたいなもんじゃねぇ?」
「確かに」
「お二人のいた・・その・・・世界、にはヒーローはいませんでしたの?」
ヒーロー学というものを少し楽しみにしながら出水と談笑していると、八百万ちゃんが後ろを向いて話しかけてきた
「いないよ〜」
「・・・ヒーローがいなくて大丈夫なんですか?」
興味をもったのか轟君も話に入り質問を投げかけてくる
二人とも一学年上っていうのを聞いたからかちゃんと敬語使ってていい子だなぁ
「大丈夫・・・まあ、俺らの世界じゃいないほうが普通だし特に不都合はねぇよ」
出水の言葉に無言で頷き肯定していると、「あ、あの!」と声を掛けられる
声が聞こえた方を向くと結構前の方の席からそばかすが特徴的な子が私達の方を向いている・・というか全員席についてはいるものの視線は私達に向いていた。まあ気になるよねそりゃあ
「なんだい、ええっと確か緑谷君だっけ?」
「あ、は、はい。ええっと・・個性がないって言うのは本当ですか・・?」
恐る恐ると言われた質問に答えようと口を開こうとしたが、ガラッと教室の扉が開かれる音で遮られる
視線を扉に向けているとニッコリと白い歯を煌かせ、まるでスーパーマンのような恰好したムキムキの人が入って来た
「私が時間通り来た!」
「「画風が違う!!!」」
「HAHAHA!君達が出水少年と苗字少女だね!話は聞いているよ!」
思わず出水とハモってしまったけど無理もない。なんというかこの人だけ一味違う、THE!アメリカンヒーロー!って雰囲気を出している。会議室での尋問の時にはいなかった人だなぁ
あの時から思ってたけどこの世界個性的な風貌の人が結構いてビックリする。
発言的に権力を持ってそうだなと思っていたネズミ顔の人はなんと校長だった
私達への興味は一度何処かにいってしまったのか「オールマイト!」と騒ぎ立てるクラスの子達をみて随分と人望がある先生なんだなぁと呑気に眺める
後から聞いた話だけど、どうやらこの人はヒーローランキング(そんなものもあるらしい・・)1位でこの世界の平和の象徴と呼ばれているとても凄い人だと聞いて納得した。
「今日は体育祭に向けた個人の能力を伸ばすための戦闘訓練だ!個性のない出水少年と苗字少女は彼らの戦いっぷりを見学しててくれ!」
「ちぇ〜見学か〜」なんてつまらなそうに呟く出水。戦闘訓練なんて楽しそうだったから私も少し残念だ。まあ生身の相手にトリオンぶつける訳にもいかないのでしょうがないんだけどね(死にはしないけど気絶するほどの痛みと衝撃があるらしい)