「……で、そこの銀髪君は?」
「銀パ……っテメェらに名乗るつもりはねぇよ!」
「ちょっ、獄寺君!」
綱吉の静止も聞かず、ごくでらは噛みつかんといった勢いで攻撃を開始した。
「大体テメェら怪しいんだよ。男は黒ずくめで刀持ってるし、女はなんか古式の電話みてぇなの背負ってるし!」
いや……これは……と何故か言葉に詰まってしまった私を余所に、警戒心全開の彼は止まらない。
「テメェらどっかのファミリーか?10代目の命狙ってんじゃねぇだろうな!」
「ファミリー?」
今まで全く会話に加わらなかった神田さんが、ぴくりとゴクデラの話に反応した。まさかお前らマフィアじゃねぇよな?鋭い睨みを利かせた神田さんは、やっぱり勘も鋭い。しかしそれに更に反応したのが不良君。
「やっぱりテメェら刺客……」
そこで私の思考にも疑問が生まれた。マフィアの大抵は教団が抑えてる筈ですけど!?
は?と私の疑問に間抜けに文句をつける声が聞こえたけれど無視だ。
「何処のマフィアだ」
「ボンゴレで文句あっか!」
「ボンゴレ……聞いた事あるな」
ここで私の情報節が活躍する。ボンゴレというと、現在教団が交渉中の大きなマフィア群ですね。と言った隣では低い低い声が発された。
「……でかいマフィア集団は抑えてんじゃなかったのか」
会話の途中で「マフィアを抑える……?」と頭に疑問符を沢山付ける人物に気付いたものの、最優先すべき項は神田さんのお怒りを鎮める事にある。困惑するツナヨシを背景に、私は淡々と言い訳を述べた。別に私がボンゴレと掛け合ってる訳じゃないんだけど。
「それがですね、ボンゴレは大き過ぎるんですよ。マフィア界最強とも謳われてますし。だから中々面会時間が頂けなくて……」
「こいつらがその最強かよ?見えねぇな」
神田さんが小馬鹿にしたように鼻で笑ったが、そこで私は重大な事実に気付いてしまう。確か不良君は綱吉の事を10代目と読んでいた。10代目というのはまさか、ボスの10代目だろうか?
「当ったり前だ。沢田さんはすげぇんだよ!そんで俺は10代目の右腕だ」
何となく予想していた答えだったが、開いた口が塞がらないとはこういう事か。おかしいな。だってボンゴレの現在のボスは確か9代目。……あれ?
「って事は綱吉、次期ボス?」
「なっ……マフィアなんかなる気ありません!ていうか何でそんな事知ってんですかー!」
必死に否定する綱吉に続いて、不良君が警戒の言葉を投げる。……チャンスかもしれない、ボンゴレとの友好を深める為の。ただし綱吉が本当にボス候補と分からないと、あまり無闇に正体をバラす訳にもいかない。どうしたものかと考え悩んでいたら、新たな参入者が現れた。
「よぉ!ツナ、獄寺」
何だろうと顔を覗かせた先には、神田さんくらいはありそうな背の高い男の子が歩を進めていた。
「山本!」
綱吉の呼ぶ声に片手を挙げて応える様は、それを一瞥し舌打ちする不良君とは明らかに違う。爽やかだ。
「道の真ん中で何してんだっ?」
決して高い訳でもないのにその弾むような声色からは幼い子供を連想させた。キョトンと私と神田さんを交互に見つめる少年に、私は自己紹介を始める。勿論、神田さんの分も。
「初めまして……ヤマモト?」
「おう、山本武ってんだ!武で良いぜ依泉」
「分かった!武ね」
今日一番と言っても過言ではない。もう少し和やかな空気を味わっていたかったけれど、不機嫌な不良組をこれ以上放置しておく訳にもいかない(大体率先して喋らないもんね、特に神田さん!)、癒しもそこそこに残念ながら本題に戻る事にする。
勿論それは、現在綱吉の疑問と不良君の警戒の観点である「私達が何故ボンゴレを知っているか」だ。話す代わりに他言無用を約束してくれたので、一先ず安心して何から話そうかと考えた時、空気を全く読まない台詞が割って入ってきてしまった。
「なんだ2人共。もうマフィアごっこやってんのか?」
ごっことはどういう事か。第一印象は温厚だった武は、この時点で既に天然なんだなあと云う事が見てとれた。
「あぁぁ違うって山本!気にしないで下さい」
「うん?えっとじゃあ……私達はヨーロッパ、イタリアから任務で来たんだけど」
それからコムイさんの説明を頭に過らせながら、黒の教団の事を説明していった。そして今回の任務についてを話し終わった時、目の前に並ぶ表情が一様に青ざめていた。
「なあ、爆発ってもしかして前のリング争だ……」
「山本!」
「野球バカ!喋んじゃねぇ!」
武の台詞は二人に遮られる。何て言おうとしたのか聞き取れず、とりあえず、導き出した答えは…
「もしかして……なにか知ってるの!?」
気まずげに口ごもる三人に見当違いだったかと落胆したのは私だけで、今まで高みの見物を貫いていた神田さんは何かを察知したのかドスの効いた声色で「言え」と一言。すると蛇に睨まれた蛙の如く固まりついた三人の内、一番最初に復活したのは綱吉で、未だに顔を青ざめたままに口を開いた。結局の所、何か知ってるのだろうか。
「その、実は……」
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