ドガアァンッ

「な、なにー!?」

辺りに爆音が轟いだのと綱吉が口を開くのはほぼ同時だった。せっかく情報が入りそうだと考えていたら、なんて悪いタイミングだろうか。思わず舌打ちが漏れた要因は、しかしそれだけでなかった。
この音に聞き覚えは……ある。
神田さんは腰に備えていた六幻の鞘に手を伸ばした。

「アクマか」
「え?それってさっき言ってた……」
「行きましょう!」

(聞こえたのは……5時の方向)
私は耳は良い方である。隣に神田さん、後ろに三人組を従えて私は爆音の元へと走った。いつの間にか神田さんのみならず不良君まで何か筒状のものを構えているのが見えたが、ツッコむ事はしないでおいた。


「いました!」

住宅街から少し離れ茂みが近付いてきた頃見えたのは、見覚えのある楕円形の兵器。絶句する綱吉達。第一声はやはりと言うか、「化け物」だった。神田さんは己の武器である六幻を素早く抜いて、戦う術を持たない私は補佐として、結界装置の準備を始める。運の良いことにこれだけ騒いでいてもアクマに存在を気付かれてはいないようだった。

「3人共!此処は危ないから……っ」
「依泉!」
「チッ」

考えが甘かったらしい。背後にはアクマがいて、私に身体の一部である黒銃を向けている。どうやらもう一体いたようだ。

「……っ!」

カチャリと嫌な音が響いて、私は動く事も出来ず目を強く瞑った。

ズガンッ





「…………あ、れ……?」

痛みはいつになっても感じる事はなかった。そっと目を開ければ、ちょうど神田さんが遠くのアクマと戦っているのが見えて、背後には……

露出狂がいた。

「つ、綱吉……?」
「復活!死ぬ気で依泉を助けるー!」
「……へ?」

一瞬我が目を疑った。そこにいたのは先程までの気弱な彼でなく、上半身裸の手に黒いグローブを嵌め、戦闘ポーズを気取った綱吉だった。驚きのあまり手が滑り、現在地に落ちた結界装置は役に立たなくなってしまった。少し遠くには土煙の中、アクマが地面に叩き付けられている。綱吉がやったのだろうか。

ドカァアンッ

「っわ!?」

いつもと違う爆音と共にアクマのいた場所に更なる煙が漂う。隣に視線を移せばさっきの筒(ダイナマイトだったらしい)を両手いっぱいに構えた不良君と、いつの間にやら竹刀を持った武がいた。

「10代目、この化け物は俺にお任せ下さい!」
「なんかよく分かんねぇけど……やるか!」

三人が私を囲んで、各々の武器を構える。護ってくれるようだ。

「……って待った!」
「ん?どうしたんだ依泉」

にこり。緊迫した空気の中にも関わらず武は笑顔を絶やさずに振り向いた。

「どうしたじゃなくて……さっき説明したでしょ!アクマはイノセンスなしで戦える相手じゃないんだよ!」

エクソシストでもない君達じゃ倒せない。弾丸になんて当たった暁には、終わりだ。背中に冷や汗が伝い、さっきから心臓の脈打つテンポが早い。案外、一番焦っているのは私かもしれない。頷く三人に、心の中で自分の不甲斐なさを実感してしまう。

「どけ」
「……あ、」

神田さんの武器の切れ味は絶大だ。向かって来ていたアクマを一撃で倒し、短い戦闘は終止符を打った。


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