空は快晴。気温は並。屋上の空気は、少しだけ肌寒い。
いつものように迎えた昼休みだったが、いつも昼飯を共にするツナの席には無言で下を向くツナがいて。心配するように声をかける獄寺に習う。今日はツナの様子がおかしい。
どうした?体調悪いのか?二人で色々問いただすとツナはようやく顔を上げて、へらりと笑った。
「大丈夫……なんだけど、ごめん。今日は1人でいたいんだ」
その一言でオレは結局1人屋上の連絡口を開けた。教室にはツナがいる。ちなみに獄寺はサボった。
話し相手のいない昼食時間。カサ、と購買で買ったパンの袋を開ける。
「私、ツナ君が好きなの!」
それは偶然、届いた。
会話にあった名前に反応したものの、ふとその声に聞き覚えがある事を思う。コソコソするのは正直気が進まないが、チラリと覗いた場所にいたのは確かにオレのよく知る2人。笹川と雨澪だった。
硬直したまま声だけがすんなりと入ってくる。笹川はツナの事が好きらしい。失恋か……なんてやけに簡単に理解したオレは、さっさとその場を離れていれば良かったんだ。
「依泉ちゃんは山本君が好きなんだよね?」
笹川の言葉に頷く雨澪を見た途端、どうしてかフッと頭に浮かんだ考えはなんてひどいものだろう。けれど放課後呼び出された雨澪に丁度良いとそれを否定しなかった辺り、オレ自身こそ最低なのかもしれない。
「山本君が好きです……!」
驚いた。のは一瞬だった。やはり昼休み聞いてしまったからか、寧ろそれは“逃げ”だろうかと、そんな事ばかりが頭を渦巻いて気付けば謝っていた。
オレが好きなのは雨澪じゃない。オレが好きなのは笹川なんだ。
笹川が誰を好きでも関係ないし、諦める気は毛頭ない。
だから、ごめん。できる事ならオレの恋を協力して?
「良い……よ」
「本当か!?やった。雨澪は優しいな!」
本当に、優しい。オレは自分が笹川にそう言われたりしたら……なんて考えるだけでゾッとするというのに。
オレの頼みだからと笑う雨澪に、オレはなんて事を頼んだのか。告白だって逃げる為なんかじゃなくて、本当に純粋に気持ちを伝えてくれたかもしれないだろう?
罪悪感を胸に、オレは心の中で懺悔をしたのだ。
協力+協力=悪夢
これ程までの犠牲をもってして、それでも貫き通したのはただのエゴでしかないのかもしれない。
ひどい事を頼んでるのも、雨澪が泣きそうな表情をしていた事も、ちゃんと分かってる。
それでもなんて人を想う資格が、オレにはあるのか。
執筆2007.11.11.sun
加筆2009.05.22.fri
4 / 5 | |
|