Sushi



1000文字以内の短い小説です。名前変換無しナマエ固定。
脳内補完してください。

2021/07/03(Sat)

dnd夢

 目の前のダンデくんが口を動かす。何か喋っているんだろうけど、閉め切っていても聞こえる土砂降りの雨の音で何も聞こえない。
 もう一度お願いと声を張り、人差し指を立てる。それを何度か繰り返した事により、ダンデくんは伝えるのを諦めてしまったみたいだ。
 全部このバケツどころか海をひっくり返したかの様な強い雨のせい。最近強い雨が続くのでこういうことも少なくない。
 またダンデくんが口を動かす。さっきよりも少ない文字数。でも何かは分からない。というか、少し意地悪く笑っているので伝える気は無く、楽しんでいるだけなのかもしれない。
 さっきと同じようにもう一回と人差し指を立てる。ダンデくんは楽しそうに笑う仕草をした後に、にゅっと顔を近付けて来た。この距離なら流石に聞こえる。
「ふふ、ヒ・ミ・ツ、だぜ。そうだな、ヒントとしては……五文字だ」
 そう言って、今度は声を出さずに一文字ずつ大きく口を動かす。大きく開いて、いってして、またいってして。……え、もしかして。
 最後の文字の名残りで唇を少し突き出したままダンデくんが楽しそうに目を細める。
「え、ぁ、あいしてる……?」
「ふふ、どうだろうな」
「えぇっ?」
 ヒミツだって言っただろうと頬っぺたを摘まれる。痛い。って事は夢では無い。でも今のは絶対に『あいしてる』だったもん。
 私の目線に合わせる為に屈んでいたダンデくんの首に腕を回す。相変わらず楽しそうに笑っているダンデくんも腰に腕を回してきた。
「わたしも、あいしてる……んっ」
 近距離なのに私も声を出さずに口を動かす。それでもダンデくんには伝わった様で、合わせるだけの軽いキスが繰り返される。ふふ。
 さっきよりも一段と酷くなる雨音の中、わずかに混ざる小さなリップ音が私たちの耳にだけ届いた。

dnd夢


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