2021/06/15(Tue)
hp夢
「ホップくん!」
「なんだ?」
「……」
いつもならすぐに振り向いてくれるのに今日に限って振り向いてくれない。私はあの『肩とんとんして振り返ったら指が頬にぷすっ』ってヤツがやりたいのに。
今の私は机に向かっているホップくんの肩に人差し指だけを上げて手を置く不審な女だ。ソニアさんのワンパチが不思議そうにこっちを眺めているのは気のせいだと思いたい。
「ねえねえ」
「だからどうしたんだ?」
「…………」
もう一度挑戦してもやっぱり振り向いてくれない。少しだけむかっと来た私はもう片方の手を反対側の肩に置き、思いっきり強く肩を揉む。もはや握ると言った方が正しいかもしれない。
「肩揉んでくれるのか?気持ちいいんだぞ」
「…………」
思いっきり強くやってやったと言うのにホップくんは気持ちいいと言う。やってられない。私は何も言わず、踵を返し側を離れる。
ワンパチが遊んでくれるのかと目をキラキラさせて私を見上げる。可愛い。ホップくんが構ってくれないから遊んであげようかな。
「帰るのか?」
「……」
「なあって」
「…………」
ホップくんの質問は無視して、ワンパチの首周りのふわふわの毛を撫でる。パチパチと起こる静電気が痛気持ちいい。
「怒ってるのか?」
「…………別に」
それは怒ってる反応だぞと溜息が聞こえる。ふんだ、今更こっちに来たって構ってあげないんだから。
無心でワンパチと静電気で遊んでいると、後ろからの光が遮られ私の影が大きくなる。ホップくんが後ろに立った様だ。
「ナマエ?」
「……」
「ナマエ、こっち向くんだぞ」
いつの間にか私よりも大きくなった手が私の肩を叩く。肩を叩かれたら振り返る、人間にはそういう習性が付いているものなのだ。そう、さっき仕掛けた側だとしても。
「っ!」
つい振り返ってしまい、右頬には指が当たる感覚……ではなく柔らかい何かが当たる感覚。そして思っていたよりも距離の近いホップくんの顔。え、これは……?
驚きで目を見開いてホップくんを見る。ホップくんは目を細めてイタズラが成功した様に笑っていて。
「ほ、ホップくん、いま」
「はは!ナマエ顔真っ赤だぞ」
肩に置かれていた手で頬を撫でられる。確かに私の顔は熱い。でも。
「……っ、それを言うならホップくんもだからねっ!!」
二人で顔を赤くする私たちを、ワンパチは不思議そうに眺めていた。
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