Sushi



1000文字以内の短い小説です。名前変換無しナマエ固定。
脳内補完してください。

2021/04/10(Sat)

🔥夢

「炎柱様」
「ん?どうした!」
 私の呼びかけにいい笑顔で振り返る炎柱様。今日もキュッと上がった口角が可愛い。こちらの顔も緩んでしまう。ふふ。
 いけない、ついつい見惚れてしまった。忙しい炎柱様の貴重なお時間を頂いているのに。
「何か用があったんじゃないのか?」
「炎柱様、嫌いって言ってください!」
「は?」
 ただでさえ大きい目をキョトンとさせ、不思議そうな顔で首を傾げる。それもそうだ。ただの一隊士に突然こんな事を言われたら意味がわからないだろう。
「すまないが、俺は好き嫌いを判断できるほど君の事をよく知らない」
 申し訳なさそうな顔で丁寧にお断りをされる。どこを見ているか分からない視線にどこか憐憫が混じっている気がするのはきっと気のせいだろう。
「分かりました。では嫌いになって頂ける様精進致します!それでは!」
 これぞ正に言い逃げ。これ以上話しているとボロが出てしまいそうだ。早く炎柱様へのこの邪な思いが断ち切れます様に。

 炎柱様、早く私の事嫌いになってください!


****


「呼吸で止血をするんだ!」
「……、っえん、ばしら、さま……?」
「喋るな」
 ボヤけた視界に赤と黄の炎を纏った人物が映る。ああ、どうして貴方が此処に。話したいこと、沢山あるのに。まだ、言ってもらってないのに。
「吸って、吐いて……ちゃんと集中しろ!」
「……っ、ふ」
 集中、だなんて。もう無駄なことくらい、炎柱様なら見たら分かるだろうに。それでもその声に応えようと、無意識に合図に合わせ呼吸をしようと試みる。
 ああ、でも、やっぱり。一つの血管を止血したと思ったらまた別のところから溢れてしまう。もう駄目だ。何も面白くないのに、なんだか可笑しくって笑ってしまう。
「……君まで、俺を置いていくのか」
「…………っ、?」
 深夜だというのに彼の持つ日輪の様な双眼が怪しく光る。ああ、正しくこの人は、私の太陽だった。ああ。

「俺は」
 彼は。
「君のことが」
 私の。
「大嫌いだ」
 大好きな人。

🔥夢


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