「そうか、遠征部隊が…」
「はい、それで延いては忍田本部長のお力をお借りしたいんです」
色巴が太刀川隊の作戦室で太刀川と睨み合ってた頃、迅悠一はボーダー本部の忍田本部長の執務室にて、趣味の暗躍に興じていた。
「幾ら城戸さんでも、こんなやり方は横暴だ。私で良ければ力を貸そう。」
「ありがとうございます。」
迅からの話によれば先程帰還した遠征部隊が今夜、城戸司令の命により現在玉狛支部にいる空閑遊真の黒トリガーの奪取に踏み切るらしい。
先の会議から不穏な空気を感じてはいたが、こんなに早く強行手段に踏み切るとは、思わず忍田は眉間に皺を寄せた。
「それで、A級上位3隊にどう対抗するつもりなんだ?」
「嵐山隊に協力してもらおうと思ってます。」
なるほど、と忍田は思った。嵐山隊は忍田派の中でもトップクラスの実力を誇るチームだ。戦力として申し分ないのは勿論だが、嵐山隊は今回の一件について既にある程度関与している。先の三門第3中学校の近界民襲撃の際、現場で対応にあたり、三雲くんとも面識がある。近界民がらみの案件だ。ある程度事情の分かっている者に協力を仰ぐべきだ。
「それなら私から正式に司令を出そう。詳しいことは迅から伝えてくれ。」
「了解です。」
「だが、遠征部隊を相手に嵐山隊だけでいいのか?」
S級隊員である迅とA級5位の嵐山隊でも強力な戦力だが、相手は遠征部隊。A級1位から3位が相手となれば、実力差は五分五分と言ったところか。数においてはこちらが不利とも言える。
「その辺は大丈夫です。もう1人強力な助っ人に頼む予定です。そろそろ来ますよ。」
「来るって…ここにか?」
どうやら迅にが本部長室まで赴いたのにはもう一つ目的があるようだった。
程なくして、遠くからズカズカと足音が聞こえてきた。
「来たな」
迅が呟くのと同時に本部長室の扉が勢いよく開かれた。