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「それで…昨日つけられたのは一二三の客ってことか…?」
「そ!やっぱ俺っちって〜老若男女惹き付けちゃうてきな?」
「…なんかイラッとする。」
2人でテーブルを挟んで朝食を取りながら昨日のこと、とみょうじなまえについて独歩に話した。
「今までは毎日店に来てただけだったんだけどなぁ〜」
「毎日って…」
「そんで仕事は?って聞いたら 大丈夫大丈夫って言うんだよなぁー。お金なくなったら臓器売るとか言うし俺っちドン引きレベルでやばいやつってわけ。」
「…どんだけ好きなんだよお前のこと…」
「まぁ、何かしてきたりとかはないし?大丈夫かなーって思ってたら昨日のやつってわけ。」
「…何かあったら言えよ」
「まー、何かするようには見えないし〜もし何かあったらてんちょーに言うしだいじょーぶい」
ブイと手でピースしてにこりと笑うと独歩はそれならいいけど…と食べ終わった食器を持って席を立った。
後片付けをした後、仕事に行った独歩を見送ってあくびをしながら部屋に戻る。
今日は起きたら、釣具屋に行こう。リールを見ていいのあったら寂雷せんせに写メってそれから仕事に行こう。
ベッドに潜り込んで俺は目を閉じた。
***
「鍵よぉし、髪よぉし、服よぉし、今日もひふみん完璧♪」
鏡の前で出発前のチェックが終われば玄関の扉を開けて鍵をかける。目指すは釣具屋。マンションを出て歩き始めたところで違和感を感じた。
………、視線を感じる。
歩きながら何気なく後ろを振り返って見ると人影が電柱に隠れるのが見えた。
……みょうじなまえじゃん。
うっわやっべ、気づかないふりしよ。
過剰に反応して何かされたら嫌だし、気付かず反応しなければ向こうも諦めるかな、と思ってそのまま釣具屋に向かった。
歩く度に後ろの方で人にぶつかる音や「わっ、すみませんっ」と謝る声、全然ストーキングできてなくね?ウケるわ〜と内心思ったけど気づかないふりで行きつけの釣具屋に入った。
商品の棚に向かってあれこれ手に取り見ている中でも視界にチラホラ入ってくるアイツ。
俺っちをずっと見てたのか店員に何かお探しものですか?と聞かれてビクビクしてるのが見えて吹き出しそうになったのは内緒。
買うのを迷ってそのまま釣具屋を出て出勤時間が近づいてきたから店に向かった。
「ひふみん、出勤でーっすっス!」
「おはよー、」
「ひふみ、はよー」
「今日もよろしく一二三〜」
店に入るとてんちょーやボーイ、同じホストから声をかけられた。
結局、アイツ、みょうじなまえは何もしてこなか った。俺っちに何かしてくるわけでもないなら、放っておけばいいかなと思って深く気にしないようにして準備に入った。
「一二三〜今日のコール頼むぞ〜」
「うぃ〜っす!ひふみんにお任せあれ!」
ジャケットを羽織ればそこはもう僕の世界。
これから来る子猫ちゃんたちに夢の世界を見せてあげるべく最高のおもてなしをしようとスイッチを切り替えた。
「一二三おつかれー」
「おつかれちーん」
いつも通り仕事が終わって帰り道を歩いているとまた感じる違和感。
多分、みょうじなまえだろうな〜。
っていうか、今日も店に来てたじゃん?!
何か企んでんのかぁ…?と不審に思いパッと後ろを振り向いてみた。
やっぱり急いで物陰に隠れた。
でも服の裾がチラホラ見えて隠れきれてない。
アイツ隠れる気あんのかよ〜、バレバレじゃん。
ホストモードの時の俺っちと話す時のみょうじなまえはいつも真っ赤になって焦ったように話す。
話している内容は一二三くんの一部になりたいだとか、一二三くんのベッドの下に住みたいとかやっぱりドン引きレベルなんだけど。
どっちかというと小柄な方で大人しそうな印象が強いみょうじなまえはいつも声も小さい。
そんなアイツがストーカーなんて人は見た目じゃないんだと思った。俺っち含めて。
でも、ストーカーはいただけないよな〜〜。
つけられていることは気持ち悪いし、やめてほしい限りだ。どうやったらやめるんだろ、と考えながら歩き始めた。
俺っちが歩くと後ろもカサカサと歩き始める。
数歩歩いて止まった。後ろの音も止まった。
また歩き始める。また後ろでカサカサと音がする。
数歩歩いて振り向いた。一瞬遅れてアイツが物陰に隠れた。
いや、今俺っちと目合ったっしょ!!
「〜〜っ、」
吹き出しそうになったけど必死で笑いを堪えてまた歩き始めた。
また後ろでカサカサ音がする。
もう1回、数メートル歩いて振り返った。アイツはビクッと震えてまた物陰に隠れた。
…だるまさんがころんだかよ!
ひぇ〜、まじウケんだけど!独歩に写メりたいぐらいウケる。
俺っちはその後、みょうじなまえとだるまさんがころんだをしていていつもより帰るのが遅くなった。
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