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「おっ、みょうじ、愛妻弁当か〜?いや、お前結婚してなかったよな?なんだ、彼女か!」
「ごほっ、ち、違います!そんなんじゃないです…!」
昼時間、持ってきた弁当を広げていると通りすがりの上司に声をかけられた。
俺の目の前には二段の弁当箱に詰め込まれたハンバーグやオムライス、唐揚げ…これでもかってぐらい入ってる。
「はぁ…」
ため息を吐く俺を見てニヤニヤ笑う入間さんが視界に入ってきた。
「…なんですか。」
「いえ、愛妻弁当素敵じゃないですか」
ニヤニヤしてるところが!この人絶対これを誰が作ったか知ってる!
「……そんなんじゃないです。」
むすりとして言うと入間さんはニヤニヤしながら頷いた。
「ええ、分かっていますよ。理鶯でしょう。最近弁当作りにハマったと写真をグループトークによく送ってきますからねぇ」
理鶯さんは最近俺に弁当を差し入れしてくる。毎朝届けてくれるのだ…。
断っても「迷惑だろうか…」なんてしょんぼりするものだから結局断りきれず受け取っているんだけども…。
俺は目の前のオムライスを見た。ウサギとニワトリの可愛らしいピックがオムライスに立っている。
日に日にファンシーな弁当になっている気がする…。
えっ、ちょっと待てよ…ウサギにニワトリ…ニワトリは卵……。オムライス…。お肉はもしかして…うさ、…っっっ!!!
いや、違うよな!違うよな?!さっき俺が口にしたのは確かに鶏肉だったよな?!
1人で悶絶していると携帯にメッセージが入った。
「誰だ…?」
【味は如何だろう】
理鶯さんからだった。俺は気になっていたことを聞くことにした。
【理鶯さん、お弁当いつもありがとうございますm(_ _)m美味しいです。あの…つかぬ事をお聞きするんですが…今日のオムライスのお肉って鶏肉ですよね…?】
ぽちりと押して返信を待った。ドキドキする…。
結果発表!みたいなこのドキドキ感、できれば二度と味わいたくない。
携帯を覗き込んでも返信がこない。
え…ちょっと不安なんだけど…。
もう一度送ってみよう。
【理鶯さん…?】
<理鶯 がスタンプを送信しました>
「?!?!」
送信されてきたスタンプはうさぎの可愛らしいものだった。
「はっ?!えっ、うさ、えっ?!」
まじかよ…!ああ、もう食べちゃったよ…!まじかああ…と項垂れているとまたぴこんとメッセージが入ってきた。
【正解だ。鶏肉を使った。】
「〜〜っ!焦ったぁぁ…」
よかった、本当によかった。
その後安心して俺はお弁当を美味しくいただいた。
***
「お疲れ様っした!失礼します!」
「おー、気いつけてなー」
仕事が終わって帰ろうとリュックを肩にかけた。忘れず緑色の可愛らしいお弁当袋も持って。
家に帰ったら弁当箱洗って、またそれを明日の朝理鶯さんに返して〜、とやることを頭に浮かべながら自転車で数分。
アパートの駐輪場に自転車を止めてカゴから弁当箱を取り出し歩いたところでアパートの隣にテントが張ってあるのを見かけた。
テント…?誰がこんなところで…。
森とかならまだしもこんなアパートの敷地内でアウトドアなんて誰が……
「…っ理鶯さん?!?!」
「ああ、なまえ、早かったな。」
テントから出てきたのは理鶯さんで俺はかなりびびった。
「な、な、何してるんですかこんなところで?!」
「ここならいつでもなまえに会えると思って…」
「いやいやいや、こんなところ通報されちゃいますから!」
「大丈夫だ、武器は用意してある。」
「それは大丈夫じゃありません!…用があるなら言ってくれればいいのに…!とりあえず中入りましょう。こんなとこでテント張ってちゃ不味いですよ!」
「いや…それこそ不味い。情けないが小官はなまえの部屋で寝泊まりして制御(コントロール)できる自信が…」
「何のコントロール?!いや、いいから行きましょう!早く!」
理鶯さんのテントを回収して急いで家の中に入った。
「はぁ…理鶯さん連絡くれればいつでも部屋に通しますから」
「…すまない。」
まるで理鶯さんの頭に子犬の耳が生えたようにしょんぼりしている。俺は何故かこれに弱いのだ…。
「お詫びに晩御飯を作ろう。何が食べたいか教えてくれ。」
「…じゃあ…和食料理…」
「分かった。待っていてくれ。」
ああ、すでに胃袋を掴まれているのかもしれない…。
***
「ぶふっ!!!なんだよこれ、くそ笑えるっ!くくっ!マジなんだこれ」
「…っ!ちょ、笑わせないでください。」
俺の携帯を覗き込んで笑い始めた碧棺と肩を震わせる入間さん。
携帯に表示された写真には狭い俺の部屋にテントが立っている写真だった。
「…家の中が毎日サバイバルなんですけど…」
「…気持ちは察しますよなまえくん。」
「よかったな、美味い飯が食えてよぉ」
毎朝起きたらテントの中から出てくる上半身裸の理鶯さんを見る俺の気持ちを2人が分かる日はきっと来ないだろうな…。
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