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「ねぇねぇ、幻太郎のお家ってさぁ、豪華なんでしょー?」

「ふふっ、どこの情報ですかねぇそれは。小生の家はオンボロの茅葺小屋。冬は冷たい隙間風がぴゅーぴゅー吹く中で凍てついた手を温めながら筆を握っているのですよ。」

「えー!そうなの?!それも楽しそうかも!帝統〜!行ってみようよー!」

「まぁ嘘ですけどね」

「えー!違うの?!楽しみだったのに〜!」

「けっ!こいつの言うこと真面目に信じてちゃ話なんてできないぜ?」

「でもでも幻太郎の話面白くて好きだよ!幻太郎んちで三人でパーティーしようよー!しようよー!」

「ふふ、ありがとう乱数。小生の家でパーティーですか…汚くなるのが想像できるので却下したいところですねぇ」

「えー!汚くしないよ!多分吐くのは帝統だけ〜!」

「は、吐く?!お、お前何言ってんだよ!てか幻太郎んちで何するつもりなんだよ!」

「え?飲みまくって帝統なら吐くかな〜って」

「んなわけねーだろ!」

「賑やかそうですがわっちの家ではそれは出来そうにないでありんすねぇ」

「えー?なんでなんでー?楽しいよー?」

「実はわっち…ペットがいるので…、その子は臆病なもので人が来るとビクビクして怯えてしまうのでありんす…。小生でさえ触れるとビクついて涙をためた目で見上げてくるほどの…」

「そうなんだ!どんな子?わんちゃん?ねこちゃん?!ねぇねぇ、みたーい!」

「ふん、どーせ嘘だろ。幻太郎が言うことなんて大体嘘だからな」

「…ふふ、バレてしまいましたか。そう、嘘ですよ。」

「ほーらな!今度から嘘言ったら1000円没収制にしようぜ」

「えー、そしたらボクも常にお金とられちゃうの〜うぇーん」

「えっ…えっ…?お前まで常に嘘を…?!えっ!なっ、お、お前ら信用できねぇ…いや、でも賭けの世界に相手を信用するなんてもんはねぇからな…信じるは常に自分のみ…」

「何ブツブツ言ってるの帝統〜嘘だよん♪」

「ってめぇぇぇぇ!」

賑やかないつもの光景に目を細めた。

「さぁて、では小生を待っている可愛いペットのために帰りましょうかねぇ」

「え?それ嘘なんだろ…?」

「…ええ…もちろん、嘘ですよ」

笑って言えば帝統は なんだよ、と呆れていた。

では、御機嫌よう、と声を掛けて乱数の事務所を出た。




家に帰宅する前に甘いデザートを1つ買った。

小生はあまり好き好んで食べないが食べたがる子が一人いるのだ。

家に帰りドアを開ける。

ああ、ドアを開けただけで部屋の空気が一変したのがわかった。

これだ。これがすごく心地いい。

「只今、帰りましたよ。」

声を出しながら奥の部屋へと進む。

一歩、一歩、進めるたびにぞくぞくとした高揚感に包まれた。物音は一切しない。

それでも、それはそこにいるはずだ。

玄関から1番離れた部屋の扉を開けた。

「ただいま…なまえ」

部屋の隅で丸まってカタカタと震えている男が一人。

そう、帝統に言ったのは嘘ではない。
あれは真実だ。

まあ、ペットという呼び方は違うだろう。愛しの、愛しの、可愛い小生のなまえ。

主人が帰ってきたというのに震えて見ようとしない。

くすり、と笑って部屋の中に入った。

「どうしました?なまえ。小生が帰ってきたのにおかえりなさいの一言もない、と?」

傍に座り込んでなまえの耳元で囁くとなまえは自分の腕を白くなるくらい握りしめていた。

「ほら、なまえの好きな甘いものを買ってきましたよ?食べたいでしょう?」

ゆっくりと顔を小生に向けるように促す。

なまえの目がこちらを怯えたように見ている。
もうここに住んで長いというのになぜそんなに怯えているのか小生には理解できなかった。

小生の目を見て理解したのかなまえの薄く開いた口から掠れた声が聞こえた。

「……っ、お、かえり…なさい…」

「ええ、只今戻りました。待ち遠しかったでしょう?」

「…………っ、」

「ねぇ?待ち遠しかったでしょう?」

「は、ぃ…」

「ええ、小生も早くなまえの元に帰りたくて仕方ありませんでしたよ。」

なまえの髪を撫でるとまたビクリと震えた。

…小生に慣れる時は来るのだろうか、と思うが問題はない。慣れるまで叩き込めばいい話なのだ。



彼、みょうじなまえは元は出版社の一社員で、小生の担当をしていた。

小生の嘘に笑うその笑顔は晴れた朝に艷めく朝顔のように綺麗だった。そこで恋慕というものを考えるようになったのだ。

素晴らしいね、人の想いというのはどこまでも可能性を広げるのだろう。
日を重ねるにつれて小生となまえの想いは堅く通じ合い
遂にはなまえと一緒に同居を始めたのだ。

同じ屋根の下で暮らすとなれば、自然と体を重ねるようになる。頬を染めて涙を流すなまえは愛くるしい。

いやよいやよと言いながら背中を逸らして真っ白喉をさらけ出すなまえは蜜のように甘い。
小生はその甘さは病みつきになるほどに好んでいる。

それからなまえは退職を願い、晴れて小生のもとへ来たというわけだ。

なんと愛のある話だろう。
生きてきて自分がこんな幸せな、情愛に満ちた生活を遅れるとは思わなかった。

小生は幸せ者である。

なまえはこうして、今日も濡れた目で小生を求める。
小生は愛しいなまえへ接吻をした。

以前、乱数達から恋人はいるのかと聞かれたことがあった。

小生の恋人は世界で一番小生を愛してくれる愛しい子なのだよ。
今度乱数たちにも会いたいと言っていたよ。いつか紹介しよう。








…全部、嘘だけどね。でも少しだけ真実。


「ひっ、ゆ、めの、さ、…っ、ゃっ、」

「さぁ、なまえ。愛し合おうか。」
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