(宮侑)
「10分休憩ーっ!」
夕方の部活中、休憩の合図でタオルを持って体育館横ドアに向かう。
開放されているドアにもたれかかりながら、水を飲んだ。
ここから見える坂道に目を向けて、今日は自転車競技部上がってこおへんのかな、と思う。
「ツム最近休憩になったらここに来るの多いな」
隣に治が来た。
「外の風が丁度ええんや」
「今の季節は丁度ええなあ。新緑の季節や」
そんな会話をしていると臙脂色と黒のサイクルジャージと自転車が見えた。
(あ、来よった…)
上がってくる自転車部の集団の中になまえが見えた。
「あと5分やで」
(うわ、またあの顔しとる)
他の奴と競い合うように登るなまえの必死な顔を見る。
「?ツム?おい聞いとんのか」
(キツそうな顔やなぁ)
「おい」
「あ?」
「終わるで休憩」
「ん、」
練習に戻る前にもう一度なまえの顔を見た。登りきったなまえは口を開いて肩を上下させている。荒い手つきで自転車のボトルホルダーからボトルを外して口に運ぶ。勢いよく出た水がなまえの口から零れて、首筋をつたっていった。
濡れている首元は汗なのか零れた水なのか分からない。
暑いのか、サイクルジャージのチャックを胸元まで開いている。日に焼けた首や腕とは違い白い肌が見えていた。
「…ツム、なまえやろ」
「……はあ?」
「お前休憩になったらすぐドアんとこ行っとるの、なまえが来るか見とんのやろ」
「何でそうなんねん」
「わざとらしいねん」
「ちゃうわアホ」
「ああ?なんやと?」
自分でも気づかないようなことを指摘する己の片割れを一瞥すると治は眉間に皺を寄せて睨んできた。
「てかサム何で前までなまえクン言うてたのにしれっと呼び捨てに変えとんねん」
「俺の方が去年同じ組やったんやで。ツムが呼び捨てで俺がクン付けなんおかしいやろ」
「意味わからん」
我ながらよく似ているとは思う。双子だから当たり前か。
もう一度なまえを見るともう自転車部は背を向けて部室の方に向かっていた。
なんやクセになるんよな。あの顔。
教室では見せることの無い、あの取って喰ってやろうとしている脅迫じみた表情。
最初はおっかないと思っていた。でも、知らないうちに定期的に見たくなっている自分がいた。
あの顔を見ると喉の当たりがゾクゾクすんねん。牙を当てられとるみたいな。
教室におる奴らは知らんやろな。みょうじなまえがロードバイクに乗っとる時はあんな顔するとは。
そう思うと自然と口角が上がりそうになる。
ギャップて怖いわあ、なんて思いながらコートに立ち、バレーボールを上げた。
***
「なあ、これほんま今日やらんといけんのか?」
「明日小テストだし」
「…頭
「さっき大盛り食べたばっかじゃん。てか、もう食堂のカツ丼なくなってたと思うけど」
「あー最悪や、小テスト破滅せんやろか」
治と角名のやり取りを横目に頬杖をつく。
晩御飯の後、俺らの部屋に角名も集まり、三人で明日の課題を片付け中。開いたノートは3行程度しか進んでなくて、早々に飽きてきていた。
「せや、ええこと考えた」
「なんやツム。小テスト破滅させる方法か?」
「俺の組は明日小テスないねん。関係あらへん〜♪サムぅ、せいぜい頑張りや」
「腹立つ言い方や」
「俺ちょお出てくるわ」
「トイレかぁ?腹下せ、このあんぽんたん」
小テストもツムも爆ぜろとぶつくさ言う治を尻目にスリッパを履いてドアを開ける。
目指すべきは、一つ。
1階まで降りて、寮の玄関へ向かう。
玄関には各寮生の在寮掲示板があり、外出時や休日滞在時に札の色を変えて、寮内にいるかいないかわかるようになっている。
上から下、端から端まで見てみょうじなまえを探す。
「おっ!あった、あった!」
3階角部屋。
「なんやいっちゃんええとこやん。ふっふ、待っとれよー」
含み笑いを浮かべ、3階まで上がる。
廊下の突き当たりの部屋。ドアの前に立ってノックする。
ガタッ
部屋の方から物音と足音が聞こえた。
居るやん、居るやん。なまえの反応が楽しみで笑いが漏れそうになる。
「なまえクーン、あーそびーましょー!」
満面の笑みで声をかけるとさっきまでしていた足音が止んだ。
「…??」
あれ、居るやろ?
「なまえクーン、」
いきなりピッタリと音が止んだ室内。
こいつ…もしや居留守か?!
そういえば前に俺が来るの嫌がっとったような…。
「おいなまえ、居るんやろ?開けや?」
低い声で静かに言ってみるとカサッと動く音がした。ははーん、やっぱりこいつ居留守確定やな。
こっちには最終手段があんねや。
スウェットのポケットから携帯を取り出し、トークアプリからなまえのアイコンを開く。
「これで誤魔化せへんやろ、くっくっく」
笑いながら着信ボタンを押す。
俺の携帯には発信中の画面。室内から聞こえる着信音。
部屋の中から「なっ!」というなまえの声が聞こえて、すぐに画面は通話切れになった。
「なまえクーン、あーそびーましょー!」
ここでまたまた声をかける。楽しくて仕方ない。
ついでにドアをドンドン叩いてみる。
「なまえクーン、あーそびーま「うるさい!」」
ドアを数センチ開けた隙間からなまえが声を潜めて言った。
「隣3年の先輩なんだよ!静かに!」
「なまえが開けへんから。居留守やん」
「ぐっ…いや、さっきまで寝てたんだわ」
「嘘つきはあかんわ。最初にノックした時物音したで」
「くっ…」
嫌そうな顔をするなまえを見下ろす。自分でもニヤニヤしているのが分かる。
「俺、今課題してんだけど」
ドアから見える部屋の中を覗く。通学用のリュックが床に置かれていて、勉強机の上には開いたノートがあった。
「明日でええやん」
「うわ、スポーツ推薦組こっわ…いいよなお前らはお気楽で…俺は勉学という義務があってだな「なあバレーのDVD見せたるから俺らの部屋来ん?」
「行かん」
「おっけー!ほな、行こか!」
「えっ、あっ、お前今の聞いてた?!日本語!」
「うん、聞こえとったで。行く!って」
「言ってねええー!」
お前の耳は飾りか!とツッコミを入れるなまえの腕を掴んでれっつごーと笑う。
「おまえ…笑顔なのにこの腕の力はなんだよ…!」
部屋に戻ろうとするなまえを離さないように握る。抵抗する力は俺には及ばない。
「はよ行こ」
「わかった!わかったから携帯と鍵だけ!」
観念したようになまえはため息を吐いた。押しに弱いとこあるよな、こいつ。
半ば連れ去るように部屋に戻ってくると治と角名がなまえを見て「ええこと思いついたとか言いよったけど、なんやなまえ拉致ってきたんかい」とぼやいた。
「おいおい、二人部屋に4人は狭いわ。ただでさえ図体デカイの3人…」
「なまえ存在感薄いから変わらんで」
「おい、ディスんな。えー、ちゃんと勉強してんじゃん。俺課題あんだけど。何か抜け駆けされたみたいだわ。やっぱ帰って俺も勉強…」
「ええやん、俺やってへんから、安心し」
「怖い怖い。スポーツ推薦組のやってないは安心に値しないんだわ」
「ツムは年中、やってへんやろ」
小テス対策に音を上げた治は寝転がっている。角名は教科書じゃなくて携帯の画面を見ているし、二人とも勉強なんてどこかにいっている。
「なまえそんな頭悪くないやろ?一年の時、補習とかおらんかったよな」
治の言葉になまえは苦笑いした。
「まあそれなりに努力はしてるからな…。中の上くらい?いや、でも次のテストはやばいかも」
「はっはー!俺は中の下くらいやな!」
「アホか。嘘つくな、ツムお前下の下やろ」
「あ?サムお前よりは賢いわ。こちとら、セッターやぞ?」
「二人とも下の下だろ」
「そういう角名はどれくらいやねん」
「中の中、くらい?」
「嘘つけ、下の上くらいやろ」
「なんだよ、そのどんぐりの背比べ」
3人でやいの言っていたが俺はしたいことを思い出した。
「せや!バレー!見せたるっちゅう話や!」
一番好きな世界大会の試合のDVDを引っ張り出す。
「何のためになまえ連れてきたかと思うたら、見せるためかい」
「せやねん。バレー知らん言うから、面白さをな」
プレステにDVDを入れて再生ボタンを押す。
「ほら!なまえ!ここに座り!」
俺の隣をバンバン叩いてなまえを見る。しぶしぶ座るなまえの肩を叩いて「これ、見るまで帰さへんから」と笑えば、口をひくひくと動かした。
「バレーの試合とか初めて見るわ…今度体育でバレーあるし、予習にはなるか」
「まず最初のこれがな、サーブから始まるんや」
「ほう」
試合の流れと役割を解説しながらなまえに教えていく。
「え、今のどっちの点?」「ん?あれが反則?え、何でダメなん」「ぎゃっ、ボール速すぎ…」「いやいや、威力やばくね?」「うわ、あれ取るのかよ」「え、今ボール見えませんでしたけど?」
バレーの試合を初めて見るらしく、なまえの反応が面白い。
「せやろせやろ〜!このセットアップ!かっこよすぎやろ…」
終いには治も角名も液晶の前に寄ってきて4人で見入る。
「ほえ…すげー…プロのバレーってこんな強烈なのか…」
ひと試合見終わった後のなまえはびっくりしたような顔をしていた。
「せや、すごいやろ俺の好きなセッターやねん!」
「何でお前がドヤ顔やねん」
「感想は!」
「いや、何かすごかったぁ…」
スパイクが打たれるたびに仰け反るなまえに笑う治。角名は画面をじっと見ていた。
「いやあ、バレーすげえな。皆がそれぞれ役割があって繋がないと点取れないっていう…うおーチームスポーツすげ…俺には無理だけどすげ…」
「で、セッターのすごさわかったやろ?ボールを適切な位置に用意せんとスパイクも決まらんし、点も取れへんのや」
「おお…何か皆かっこいいわプロすげえ」
バレーのイメージが変わったというなまえに俺はホクホクとした気持ちが生まれる。
「俺もこんなセッターになる。いや、これ以上になるんや」
にししと笑うと治が「まだ足元にも及ばんで」と横槍を入れてきた。
「ああん?サム、お前こそ、この選手のスパイクと比べたら、へなちょこもええとこやろ」
「ああ?」
また始まったと言わんばかりになまえは角名を見る。「華麗にスルー」と言う角名になまえは頷いた。
「はぁ…良いもん見させてもらったわ、ありがとう」
「そうや、自転車競技ってどんな感じなん。普通のチャリとはちゃうねんな。ハンドルとかもちゃうし」
「あー、スポーツ用の自転車だな。ロードレースはロードバイクって言って変速も一般的なのとは違う。左と右にそれぞれ変速機があって、前と後ろのギアを変えて走る感じ。速度とか傾斜とか、自分の脚とか状況によって変速していくんだわ」
「ふうん…」
前と後ろとか右、左とかでよう分からんくなってきた。分かったような分かってないような俺になまえは笑う。
「ははっ、まあとにかく速くゴールすればいいってこと。ロードレースは100km近いコースで一番を競ってる。一番有名なのはツール・ド・フランスとか。あれはもっと長距離だけど…」
「100km?!こっから、どこまで行けんねん」
「高校のレースは80、90kmとかだけどな。ただその距離を本気で走るから練習はもっと長い時もある。オフシーズンとかは1日で200km走り込みとか」
「200km…」
「これとか分かりやすいかも…」
なまえは携帯の画面を操作して動画サイトを出した。ツール・ド・フランスの動画らしい。
画面に映るロードレーサー達の集団。治と角名と俺の三人はその動画を覗き込んだ。
「うえ、なんやこんな密集してコケるんちゃうか。自転車同士、隙間あるんか」
「狭いだろ。でもこれが普通。もちろんタイヤが擦れたり、接触したら転倒、落車っていうんだけど、落車に巻き込まれるリスクもある。集団の中は風の抵抗もないし走りやすいんだよな」
「こんな状態で100km走るん?」
「いや、まあこれはスタート時点だから集団でかたまってるけど、ここからがロードレースの面白いところでやっぱ一番を狙うためには誰よりも先を行かないといけないから逃げとかアタックとかがある」
「ふるいにかけるってこと?」
角名の言葉になまえは頷く。
「そう。皆同じ脚力じゃないし、コースによって得手不得手もある。登りが強い人とか平坦が強い人とか。クライマーとかスプリンターとか両方ともいけるオールラウンダーとか、パンチャー、ルーラーとか色々脚質がある」
「あ、5人出た」
動画の中で集団から抜き出た5人が一列になって走っている。集団とは速さが違う。
「これが逃げ。一人がアタックして、それに追随したところ。このままゴールにいけばこの5人だけで勝負になるし、途中で集団に吸収されることもある。なにせ長い距離だから何が起きても不思議じゃないんだよなー。一人勝ちする時もあるし、一騎打ちとかもあるし」
「なまえが体力おばけなのが分かった気ぃするわ」
「ロードレースって現地観戦だと瞬間しか見れなくて、バレーみたいに全部は見えないんだけど、ギャラリーには見えないところで色んなことが起きてるから楽しいぞ」
速度40km/h以上で通過すると一瞬だしなあ、とぼやくなまえ。
「点を取って勝つのがバレーなら、先着ゴールを目指すのがロードレース。潰し合いがな、楽しいんだよなぁ…」
携帯を見ながら笑うなまえの横顔に喉元がゾクリとした。
「勝ちたい、一番にゴールしたい。お互い目指すゴールは一緒だからレース中は協力する時もある。けど、結局一番は一人だけだからな。お互いに牽制して、揺さぶって、叩き潰して、脚を削りあって、多くの敗者を踏み倒したうえで掴み取る『一番』は最高に気持ちいいんだよ。楽しくて、しょうがないくらいに」
なまえの目が、俺を見た。
あの目。喰らってやるという脅迫じみた目。
思わず唾を飲み込んだ。
「ま、勝つのは俺じゃなくてチームのエースだけどな」
「?全員が勝ちを目指してんのやろ?」
「ロードレースは個人戦でもあって、チーム戦でもある。とくにプロのレースは勝者を出すためにはチーム戦が不可欠。こんな何百人の中で一人勝ちはなかなか難しいからな。一人勝ちする伝説の選手もいるけど」
「だからエースっていう勝ちにいける人をメンバーがフォローして全員で勝ちを目指すんだ。うちの部は柴さんがエース」
「なまえは何なんや。何の役割があんねや」
俺はセッター、サムはスパイカー、角名はミドルブロッカー、皆それぞれの役割がある。
「俺は…今のところ何でもない。…平凡で特に秀でてるわけではないし、あるのは体力だけかな」
「なんやそれ。俺とサムに勝っといて腹立つわ」
「でもなりたいものはある…。柴さんのアシストをしたい。エースのアシスト。俺が柴さんをゴールスプリントまで持っていきたい」
「柴さんて、あのクールな感じの3年やんな?髪長めの」
治の言葉に頷くなまえ。
なまえの持つ携帯にはレースの終盤、ホームに帰ってくるロードレーサー達が映っている。
観客が叫び、手を叩いて応援する、熱狂的に盛り上がっている沿道。コースを刹那に走り抜ける選手。ゴール手前の直線コースに腰を上げた選手たちがもがいて驚異的なスピードでゴールラインを目指す。
コンマ1秒、一番速い人間を決める勝負。
死にものぐるいでペダルを踏み込む選手達。
「柴さんってすげえ強くてさ。中学の時に関西のロードレースに出た時、俺逃げに乗って先頭走ってみたりしてたんだけどキツくて辛くてもう駄目になりそうで、そん時に柴さん俺の前に居てくれて風避けとして、ずっと引いてくれてさ。あの時、すごく楽で心強くて柴さんは「あとでみょうじを足として使うつもりだったからフォローした」って言ってたんだけど、俺自身はすごく助けられてて…」
もがき合いの末、先着した選手がロードバイクのハンドルから手を離して上に突き上げた。
叫ぶ観客。選手の雄叫びが聞こえる。
「柴さん、ジュニアの頃から強いしプロチームからも声かけられてるぐらいで。強くて、かっこいいんだよな。だから柴さんが勝つ、手助けをしたい。横で一緒に走って、俺の力でエースを引っ張って、そんで最後にレースを制する柴さんの背中をすぐ近くで見たい」
ゴールした選手を微笑ましく見るなまえ。
「エースに、花道を。俺の脚が動く限り、全力で」
その横顔を3人で見る。
なんや、お前も同じやんか。手に力が入る。
俺は自分の手でスパイカーに最高の球を打たせたい、お前は自分の脚でエースをゴールに送り込みたい。
「そのためにはまず柴さんについていける体力がないといけないんだけどな」
眉を下げて笑うなまえは 俺はスポーツ推薦でもないし、天才でもない凡人だから中々厳しいけど、とこぼした。
「…やることは変わらんやろ。才能がどうとか以前に、練習して、力をつけていくのは天才も凡人も変わらん」
「…うん」
なまえがきょとんとした顔で俺の目を見たあと、笑って頷いた。少し気恥ずかしくなり、頭をかく。
「…なんや、いつもはパッとせえへんのに、走っとる時は顔ヤバいし、熱い奴やなぁ!なまえ、おもろいわ」
「え、なに俺ディスられてんの?角名君、これはディスり?」
「…ノーコメント」
「なまえ、見直したで」
「えっ治まで?」
「てか、こんな集団でよく事故起きないよね」
「いやぁ、起きる時は起きるぞ。上手い人はこういう時でも位置取りとか考えてるし…」
「この状態でずっと走るのに何か話したりせえへんの?」
「あー序盤はまだお互い探り探りだから会話とかある。今日あんま調子良くないわー、とか。でもお前調子悪いとか嘘だろって思う時もある。調子悪いとかいいながらキレッキレだったりな。騙し合いだわ」
へらりと笑うなまえに何となく想像は出来る。
「おお、それは俺らもあるなあ」
「関西のレースとかは結構言葉がキツい」
「なんや挑発されるんか?俺らもあるで。日常茶飯事や」
「中学のレースで、お前邪魔やねん下手くそ!とか普通に言われたことがあって。そういう時は言うこと聞いたら相手の思い通りになって損するから無視しろ、って柴さんが。その時言ってきたのが今の秋田部長なんだけどな、あはは」
「ああ、あの喝入れの部長か…言いそうやな」
「ツム、お前も常々同じようなこと言っとるで」
「俺はちゃう。下手くそと試合したくない、って言うとるだけや」
「同じやないかい」
お互いのスポーツの話をして、少しだけなまえが乗っているロードバイクのことが分かった気がした。
エースに、花道を。
その言葉がなまえが自分の部屋に戻ったあとも残っとった。
スパイカーに、完璧なトスを。
バレー、したいわ。寝る前にボールを触って指を滑らせる。
明日になればできるのに。
猛烈にバレーがしたくて堪らんねん。