移動教室の途中、別棟の階段を歩いてるとふと前に何かが落ちているのに気づいた。

「なんか落ちてる。」

「ん?」

隣を歩く真緒もそれに気づいた。

近寄って拾い上げてみる。

「眼鏡だ。」

「誰かの落とし物っぽいな。こんな所に落とすなんて危ないなー。踏んづけられるぜ」

「んー、誰のかわかんないな」

「生徒会に持ってくか?それか校内SNSで…」

「………いいこと考えた。」

眼鏡を片手に俺は頭の中でピーン!ときた。

すぐにスマホを取り出して眼鏡の写真をとる。

「お、やっぱネットの方が早いよなぁ」

俺が打つのを真緒が見ている中、ぱぱっと書き込んだ。

「できた!ほら、見てくれ」

「ん〜なになに」

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【落とした人を探しています!】(写真付)


あなたの本体を別棟2階で拾いました。

怪我はなく無事です。

心当たりのある方は2-Bのみょうじまで!
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「…ぶっ!!ちょ、本体っておま、」

肩を震わせて笑いを堪える真緒をニヤニヤした顔で見た。

「どうよ、俺の傑作は」

「〜〜っ腹痛いからやめ、」

「本体取りに来る人いるかなぁ」

「ぷっ、ちょ、吹くから本体はやめろって」

2人して廊下で いひいひ笑いあってると俺のスマホがブブブ、と震えた。

「おっ、早速コメント来た。」

タップしてスマホの画面を見た瞬間、俺は固まった。

「なっ……」

「え、なんだよ、なに。」

スマホの画面を両目を見開いて見ている俺に真緒は不思議そうにして俺の手元をのぞき込んだ。

「誰のかわかったのか〜?…って、うわっ…!」

真緒もスマホの画面を見て顔を引き攣らせた。

俺が上げた写真付きの呼びかけに、一人、コメントしてる人がいた。
それは…



【今から取りに行く。 : 3年 蓮巳敬人】

やばい。これはやばい。


「おいおいおいおい、誰だよ本体落ちてますとか書き込んだやつ!!蓮巳先輩のじゃねえか!どうすんだ!誰だよ!!」

「落ち着けなまえ!お前だよ!」

「うるせー!わかってるよ!今から来るとか恐怖なんだけど!!メリーさんか?!」

「だから落ち着けって!」

「どうすんの?!青葉先輩とかなら優しいからあれだけど、蓮巳先輩とか俺シめられるよ?!」

「大丈夫だって!…たぶん。」

「多分じゃ意味ねぇぇぇ。待ってこれ椚先生の時より動揺が激しいんだけどどうしてくれる?」

「あ、お前の後ろ、副会長来てる…」

「えっ…」

ギギギギ…と音がしそうな動きで振り向くと本体を装着していない蓮巳先輩が見えた。

うおお…眼鏡なしだといつも以上にイケメンで眩しい…、と目を細めてる余裕もなくズンズン近寄ってくる蓮巳先輩に怖くなって真緒の袖を引っ掴んだ。

「みょうじ、と衣更。校内SNSを見て探した。眼鏡を拾ってくれていたみたいだが」

蓮巳先輩と目が合って心臓が口から出そうだ。

「あ、あ〜…これですかね…」

俺は手に持っていた眼鏡を差し出した。

「ああ、よかった。壊れていなくて。無理やり奪われてな…全く度し難い…。」

「副会長にそんなことする人がいるんですか?」

真緒が隣でびっくりして声をあげた。

「英智のしわざだ。」

ため息を吐く蓮巳先輩に真緒はあぁ、と納得していた。

「拾ってくれてありがとう。」

「あ、いえ…」

あんな書き方したもんだからしこたま怒られるかと思っていたがお礼まで言われて俺は拍子抜けしていた。

「そろそろ授業も始まる。お前たちも急いだほうがいいぞ。」

わかりました、とそれぞれ向かう先に行こうとした時、去り際に蓮巳先輩が振り返った。

「…みょうじ。本体は、俺だ。」

眼鏡をくい、と直した蓮巳先輩の視線が俺を突き刺す。

「ふ、ふぁい…っ」

ビクッとして思わず声が変な感じになったけど、そのまま蓮巳先輩はスタスタと去っていった。

「〜〜〜っ、ふぁいっておまっ、」

真緒は隣でプルプル震えて笑っている。

「お前なーー!まじで俺ちびるかと思ったわ!」

「俺もドキドキしたぜ」

「も〜〜、まじ、も〜〜……ぐふふっ…、ひひっ、やべぇ、笑いが…」

ほっとしたと同時に笑いが込み上げてきて俺もプルプル震えた。

「つーか、授業!始まるから!はやく!」

「やべー、もう思い出し笑いで授業中吹き出すかも…」

「絶対やめろよ、俺がつられるから」

「いや、それはまじでウケる」



くすくす笑いながら移動教室へ向かう俺と真緒はお互いどっちかが笑えばつられて笑うという謎現象が続いた。


俺は蓮巳先輩にシめられなくてよかったと心底安心しました!



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