※探偵パロ 微グロ注意(オチなし)



「うわ……ひどいな…」

目の前に広がる光景に思わず声が漏れた。

部屋の中で倒れている女性、頭部から流れ出ている血。

真っ赤なそれは高級そうな絨毯に染み込んでいる。

それだけならまだいい。女性の手足はあらぬ方向に曲がっていて見ているだけで、自分の手足に痛みが走りそうだった。

「…血の匂いが強いのう」

「ちょ、朔間さん」

コツリ、と歩いて女性の近くでしゃがみ込んだ長身の男は世間では名探偵で知られている朔間零。探偵であり俺の上司というか雇い主だ。

俺は探偵事務所で働いている。探偵としてではなくこの朔間さんの助手として。

今回は朔間さんが山奥でゆっくりしたいと突然わがままを言い出すものだから、老舗の高級ホテルをとって俺の休み返上でついてきていた。

そしたら叫び声が聞こえて駆けつけてみると、この有様だったわけだ。

もう何度も朔間さんについて現場で直接見てきているため慣れてはいるけどやっぱりいいものじゃない。

その内容がひどければ尚更。

「朔間さん、今回は仕事じゃなくて休暇ってことを頭に…」

なぜか朔間さんについて行く先々でこうして事件に遭遇してしまうのは探偵の性なんだろうか。

観察力、推理力が高すぎるが故に事件に遭遇すると追究に全てをかけるところは生まれ持ったものとしか言い様がない。

そのために振り回されて助手としてこき使われる俺の体力はいつも瀕死状態だけど。

今回もそのパターンか…と覚悟していると部屋の外から足音が聞こえて人がぞろぞろとやってきた。

「また貴方か。」

振り向くと警察の制服に身を包み、眼鏡をかけた男が一人。

この人もまた事件で度々顔を合わせる一人だ。

「これはこれは蓮巳くん。いつぶりじゃ?」

「前回の事件ぶりだが。毎度なぜ先に現場にいるのか…度し難い。」

「くくく、警察が来る前に解決する時もあったのう」

蓮巳さんが無言で眼鏡を押し上げるところを見てハラハラした。それ以上煽らないでくださいよ、と朔間さんを見るも腕組みをして笑うだけだ。

「なまえくん、もう調べることは把握した。行くぞい。」

「え?いや、え、休暇…」

コツコツと歩き始めた朔間さんに慌ててついて行く。
まさか今からホテルの全員に聞き込み始めろとか言うんじゃないよな…と小走りで追いつくと朔間さんがいきなりとまるもんだから、ぶへっ、とぶつかってしまった。

「いてて…」

朔間さんは振り向いて蓮巳さんを見た。

「ああ、そうそう蓮巳くん。そこのガラスコップに、触れるでないぞ。」

「……。」

それだけ言ってまた歩き出した。

「…何で触っちゃだめなんですか?」

歩く朔間さんに斜め後ろから聞いてみた。

「ふちに毒が塗ってあった」

「……えっ」

こわっ…と身震いしかけた。さすが朔間さんと言うべきなのかなぜ殺人現場を見ただけでそこまで分かるのか俺には到底理解できない。

「さて、なまえくん。仕事じゃ。」

「いや、朔間さんこれは休暇って来る前言って…」

「有能な助手になるチャンスじゃよ。まずは受付の人間にあの女性のチェックインの時間の確認と聞き取り。大方予想はついておるが、念の為にのう。」

「……まじですか…」

「あの部屋が302号室だったじゃろう。305号室の人間の情報も聞いておくんじゃ。じゃ、我輩は部屋で寝ておるから、バイビ〜。」

「え゛っ…」

メモを撮る暇もなく言い残して朔間さんは自分の部屋に帰って行った。

何で305号室…?え、もう犯人わかったわけ?

朔間さんの推理についていけず俺は置き去りにされた廊下で眉を顰めた。

言い残されてしまうとそれに従うしかない。とりあえずホテルの受付に当たるか…と方向を変えた。


多分…朔間さんは目が覚めたあとに言うんだろう。
いつもみたいに。


「おはよう、なまえくん。事件は解決したかえ?」

って。

解決するわけないじゃないですか、と言うと笑ってその頭の中に入っている常人には到底考えられないような推理を披露してくれるのはあと半日後の話だ。



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