きみの所有物
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体育の授業前、体操服に着替え出す皆に遅れを取らないよう俺も体操服を取り出して着替えはじめた。

上着を脱いで、シャツのボタンをポチポチと外し、インナーも脱ぐ。

体操服に手を取り、頭から被ろうとしているといきなり大声で呼ばれたからびっくりして体操服を首をかけたまま振り向いた。

「なまえ!」

『ん、千秋どした?』

「なまえ!背中が…、」

『背中…?』

「あらら、なまえこれはヤバいね!これだと…昨日あたりくらい?相当熱い夜だったみたいだね〜」

「1,2,3,4…背中だけで5つあるぞ…」

千秋が俺の背中を見てびっくりしていて、それに反応するように薫が俺の背中を見ていきなりニヤニヤと笑い出した。

『はあ?』

何のことを言ってるのか分らないという俺に薫はどこからか取り出したのか手鏡を渡してくれた。

少し見えにくいが、一生懸命反って背中になにがあるのかと手鏡を使い自分の背中を見た。

『っ!!!な、にこれ!!』

見えたのは、背中に散らばる赤い痕。

肩から腰にかけて、点々と真っ赤な花が咲いていた。

自分の背中がこんなことになっていると知った俺は恥ずかしくて顔に熱が集中した。

こんな痕をつけることができるのは1人しかいない。

涼しい顔で着替えをしている泉を睨む。

睨めど、当の本人は何でもなさそうにこちらと目も合わさず着替えている。

昨日、泉とそんな行為をしたけど俗に言うキスマークをつけられているなんて知りもしなかった。

「やるねえ、見せつけてくれちゃってさ♪」

薫に肩を組まれ、耳元で囁かれる。

こそばゆい感覚とからかわれていることに羞恥心から薫の脇腹を小突いて退けさせる。

『…っ、ばか…!』

すぐに体操服を着て、急いで教室を出た。

ずんずんと歩いて、体育館へ向かっていると後ろから泉がやってきた。

隣で歩く泉は少し不機嫌そうで、俺の方が不機嫌だと言いたくなる。

「なにかおくんに囁かれて顔赤くしてんの」

『っ、赤くしてないし!てか原因は泉だろ!』

立ち止まって向かい合い、俺の背中にある赤い痕に対して抗議する。

「そのキスマーク?はぁ、それはなまえが昨日つけてってお願いしてきたからつけただけなんだけど」

『はぁ?んなこと言った覚えないし…』

昨日のことを思い返して見るも全く記憶がない。
それに付けられた記憶もない、というよりは途中から何がなんだか分からず記憶がぶっ飛んでるという方が正しいのかもしれない。

「あんなに腰振って、よがって、俺に泉の痕をつけて欲しいって言ってたのに?」

俺の耳元に顔を寄せて、囁く泉は本当にタチが悪い。
昨日の行為を鮮明に思い出して、さらに顔が赤くなる。

「気持ちよすぎて分からなくなるくらい感じてくれるの嬉しいんだけど、覚えてないってのも困りものだよねぇ?」

俺を見下ろしてニヤリと笑った泉に腹の中が疼いて、心臓を握られたように辛くて、今すぐ泉にどうにかしてほしいと思ってしまう俺はもはや重症だ。

覚えていない自分がやっぱり悪いんだろうかと結局泉に丸め込まれ、言い返せない自分が悔しい。噛み締める情けない顔を見られたくなくて横にそらした。

「煽ってんの?そんな顔、俺以外に見せたら許さないから」

頬を挟まれ、顔をのぞきこんだ泉に観念してコクコクと頷けば満足したように撫でられた。

『はあ…しばらく人前で着替え出来ない…』

「嫌だったの?なまえが懇願するからつけただけなんだけどぉ。嫌なら今度からやめるけど?」

キスマークが嫌なわけじゃない、むしろ泉の所有物という証だと思えばそれさえも嬉しくなるほどに俺はすでに泉に呑み込まれているんだ。

『別に嫌なわけじゃないし…。泉のものって感じがして嬉しいし…』

「…〜〜っ、本当…。帰ったら覚悟しなよぉ!」

いつも言えない本音を少しだけ、漏らしてみると結果的に泉を煽ってしまったみたいだ。

さっさと先に歩いて行ってしまった泉を追いかける。

背中の赤い痕も泉の愛だと思うと、先ほどまでの憤りも吹っ飛んでしまった。
早く帰りたい。それから泉の愛を全身で感じたい。

少し赤くなった泉の耳をみて俺は泉の所有物という優越感に浸った


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