最近俺は少女漫画というものにハマっています。

始めは主人公のお相手とは遠い距離なのに、だんだん近づいてついには急接近、壁ドン、キス!

悶えてときめいてどうしようもない!

だからこうして今瀬名くんを遠くから撮っていても、いつか距離が近づいて急接近…なんてことに…

あ、あれ…スマホのカメラで捉えていた瀬名くんがどんどん大きくなってる…

あれ…こっちに来てる……?


「…何回言ったら、この頭はわかるのかなぁ??」

瀬名くんの低い声が上から降ってきて、ぐわしと頭を鷲掴みにされた。

「ぁぁぁ…い、痛いよ瀬名くん…」

「痛くしてるんだから当たり前でしょぉ?」

「も、もっと…できればソフトに触って…壁ドンとか…」

「気持ち悪い!」

瀬名くんはパッと俺から離れた。

「今すぐ写真消して。」

「えっ…?何のこと…?」

「俺を撮ってたでしょぉ?消せって言ってんの」

「と、撮ってないよ!撮ってない!」

「その携帯の中に大量の写真があるのはわかってるんだから!」

「や、やだぁ…やだぁっやめてくださぃぃ…」

必死に瀬名くんの写真たちを守るために携帯をかき抱いた。

ぎゅっと胸に隠しているのに瀬名くんが無理やり取ろうとしてくるから俺の体や手に瀬名くんの手が触れて反応してしまう。

「あっ…」

瀬名くんは冷たい目をして俺から離れた。

「変態、ストーカー。」

「ち、違うよ…ただ1秒1秒変わる瀬名くんを…」

俺がモゴモゴ言っていると、転校生がやってきていて瀬名くんに話しかけていた。

「え?今日のレッスンはKnightsの衣装をきてやるぅ?」

え?瀬名くんがKnightsの衣装をきる?!そんな機会、生で間近で見たい…

放課後レッスン室、チラ見しようかな…その時に撮ろうかな…なんて考えていると転校生がこちらを見た。

みょうじ先輩も来ますか?最近カメラを始めたと聞いたので、歌って踊るアイドルを撮るのは練習になるかもしれません。


「は?」

「えっっっ?!」

「待って。絶対反対なんだけど」

「あ、あ、ありがとうございます!う、嬉しい…嬉しい…」

「ちょっと!勝手に参加する気満々になるな!」

これで心置き無くユニット衣装を来た瀬名くんをカメラにおさめることができるんだ!

カメラはじめてよかった!転校生ありがとう!本当にありがとう!

「あ、あの…じゃあ放課後レッスン室行くので…」

お礼を告げて、がバリと頭を下げた。それからピュッと逃げるように俺はその場から逃げた。

「あいつ…!」

瀬名くんの声は聞こえなかったふりで。



***



「はぁぁぁぁ…っ、瀬名くん、いいよぉ…いいよ…」

パシャパシャと音が鳴り止まない状況に曲が終わった瞬間、瀬名くんはブチ切れたようにカメラを持った俺に歩み寄ってきた。

「ちょ〜ウザイ!大体、俺しか撮ってないでしょ?!他の皆も撮りなよ!」

「え…?で、でも、瀬名くん全部きまってるよ…?」

「そんなの当たり前でしょぉ?!」

ゲシゲシと瀬名くんに蹴られて、床に突っ伏す俺はそれさえも嬉しくて息が乱れてしまう。


「ねぇ…泉ちゃん、そこまでにしておいたらどうかしら…。みょうじ先輩、ぴくぴくしちゃってるわよ?」

「これ…別の意味でピクピクしてない〜?」

「みょうじ先輩、確かにお顔が赤いようで…大丈夫でしょうか?」

大丈夫、瀬名先輩に興奮してるだけだから。

ピシャリとそう言って大丈夫だと言い切った転校生にKnightsのメンバーがどよめいた。


「っ…!ほんとムカつく!人で勝手に興奮するな!」

瀬名くんだって人のこと言えないじゃないないかぁ!なんて思っても、怒って俺を見下ろす瀬名くんは貴重なのでレンズを向ける。

ピピピ…カシャッ

「……ちょっと、こいつもういらないよね?外に出してくる。」

「ええっ…、ま、まって…まだ全然撮れてない…」

「いいじゃん、そんな興奮して動けなくなるまでセッちゃんのこと好きなんでしょ〜?愛されてるじゃん。よかったねセッちゃん」

「くまくん面白がってるでしょ?!」

「はぁ、とりあえず私はLeaderを探してきますね…皆さんはわいわいやっていてください」

私も一緒に行くよ。

「ああ、お姉様も一緒に探してくださるなんて、ありがとうございます。では行きましょう。」

転校生と1年の朱桜くんがレッスン室から出ていった。

「ほら、いつまでも寝っ転がってないで立ちなよ。外に張り出してやる。」

「や、やだやだ…まだ瀬名くんを…」

「てか、それ寝っ転がってるんじゃなくてセッちゃん見て興奮して動けないだけでしょ〜」

「どっちでもいいから早く立て!」

「やだあ…おねがいじまずう…おねがい゛ぃ…」

駄々をこねるように、俺のそばにしゃがんでいる瀬名くんの手を握ってみた。

多分また気持ち悪いと言われて離されるだろうけど、少しでも触れられれば本望だと握ったのに、瀬名くんは舌打ちしただけで俺の手を払い除けない。

瀬名くんの片手を両手でにぎったまま、自分に近づけた。

それなのに瀬名くんはまだされるがままだ。

ええ、いいんですか?いいんですか?
こうなればしたいようにと、瀬名くんの手を自分の顔に近づけてすんすんした。

「犬じゃないんだから…」

ため息を吐いて呆れたように俺を見るのに瀬名くんは怒らずそのままだ。

「はぁぁ…瀬名くんの手…」

「わぉ、そういうこと。セッちゃんも素直になりなよねぇ」

「うるさいくまくん!」

「あぁぁ…、瀬名くんの手…、幸せ…大好き…」

「セッちゃん、耳赤い。」

「ほんとちょ〜ウザイ!!」


その日の収穫は1000枚以上の歌って踊ってきらめく瀬名くんで俺は天国に行った気分でした。

1番のお気に入りは腹チラで、汗が垂れる瀬名くんでした。

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