さんさんと照る日差し、うだるような暑さにうんざりした。

『ねえ、もう部屋の中入ろうよ。』

声をかけても水遊びに夢中なのか返答がない。

花への水やりと称して、俺の家の庭でホースを握る深海奏汰。水やりなんて多分頭の中から抜けてるんだろう。だって自分が水をかぶって生き返ったかのように活き活きしてるんだから。

太陽の光を浴びて濡れた水色の髪はキラキラと光っている。透き通るような水色が眩しくて目を細めれば、奏汰はこちらを振り返ってふわりと笑った。

「ふふふ、なまえもあそびます?」

じりじりと焼き付けるような日差しにさすがの奏汰も暑いのだろう。

熱で少し赤くなった頬を緩ませてその大きな瞳をこちらに向けている。

『…いい。暑いもん。中入ってるから。』

暑さに我慢出来なくて限界を迎えた俺は家の中でアイスでも食おうと庭先から家の中に戻る。

首筋を伝う汗を拭いながら、冷凍庫の中にはフルーツ味の棒アイスがあったはずだと思い出す。

冷凍庫を開けて1本、真っ赤な色のスイカ味の棒アイスを取り出した。

袋から開けて、それを咥える。

ああ、生き返る。夏はアイスが1番だ。

ぺろぺろと舐めながらまた庭先へ戻ると、まだ奏汰は水遊びをしていた。

軒下の日陰になっているところに腰を下ろして、棒アイスを頬張る。

「なまえ、それ、おいしそうですね。」

『おいひいよ。』

「ぼくもたべたいです。」

『んー、じゃあ自分で取ってきて。』

暑いからもう動きたくないんだよ。俺の体はすでに汗だくでTシャツが張り付くほどだ。

もう日本は異常気象すぎる。将来、本当に夏を乗り越えられるんだろうかとバカ真面目に考えているといつのまにやら奏汰が目の前に来ていた。

『なに』

「んー、それ、なにあじですか?」

『スイカ』

『…あげないからな。食べたかったら取ってこい。』

俺が暑い中動いて取ってきたものをあげるわけにはいかない。

取りに行け、と言いつつ冷たいアイスの恩恵を見せびらかすように、奏汰の前で舌を出してぺろりと棒アイスを下から上まで舐めた。

『あー、生き返るー』

それからアイスの先端を噛み砕き、シャリシャリする食感を味わう。

「なまえ、べーってしてください。」

『べー?なんで?』

「まっかだからです。」

『へーそう?』

奏汰のご要望に応じて、舌をべーっと出した。何が面白いのか俺の舌はスイカ味のアイスのせいで真っ赤らしく、それを奏汰は眺めている。

そろそろいいかな、と舌を引っ込めようと思ったら奏汰の手が伸びてきて、俺の舌を掴んだ。

『ひゃっ、』

「まっか。」

『やめてう。』

舌を親指と人差し指で掴まれているせいで上手く発音できない。何なんだこの不思議ちゃんは。

離せよ、と奏汰を睨んだ。

指が離されたため解放してくれたと思ったら、両頬に手を添えられて上を見るよう固定される。

あ、と思った時には奏汰の口付けが降ってきた。

最初は柔く触れるだけ。それから唇を舐めてきた。きっと俺の唇はスイカ味だろう。

それから口内へ侵入してきた奏汰に舌を絡められ、唾液が口端からこぼれる。

『ん…』

「は、かあいいですね、」

『ゃ、ぁ、、、』

舌をしつこく責められ、解放された頃には俺の手は溶けたアイスでベトベトになっていた。



『最悪。』

「スイカあじ、おいしかったです〜。つめたくて、あまくて、…もっと、ほしいです。」

俺の手についたアイスを舐めながら、見つめてくるその目は夏の太陽に負けないぐらいギラギラしていた。

『…暑い。』

熱い、暑い。掴まれた腕も、撫でられる首筋も、全部熱くて溶けてしまいそうな夏の1日。

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