※男主の口が汚すぎるので要注意。ブラックジョークあり。会話多




「くそまじリア充爆ぜろ…あいつら皆犬の糞でも踏んづけて臭くなれ…ブツブツ」

親指の爪を噛みながら、視界に入った男女2人組をボソボソと罵倒しているのは決して妬みなどではない。断じて。

ただイラつくのだ。あいつらが。
外でイチャイチャ、見てるこっちが吐き気がするっつうの。

もう1回言うけど、断じて妬みじゃない。妬みじゃなくて、公害だから俺の視界の中でイチャコラすんなって話。

「くそ…、どいつもこいつも…リア充は爆ぜろカス…彼女隣に連れてるからって偉そうにしやがって…くそが…」

公園のベンチに座って1人そこらへんで買った肉まんを頬張ったあと、することもなく携帯でマンガでも読んでると公園には複数のカップルがいて、なにあいつら糞かよ。と思ってベンチに座ってひたすらガジガジ親指の爪を噛んでいて爪がふやけて来た頃、耳元で落ち着いた低音の声が入ってきた。

「リア充爆ぜろってどういう意味なんだい?」

は?こいつ馬鹿なんじゃね?と思って声をかけた奴を見上げた。

金髪碧眼。
柔らかい笑顔。

そいつの目をじーっと見た。そいつも俺を見返している。

無言で見つめ合うこと数十秒。

「………出た、リア充。まじ爆ぜろ。」

それだけ言って、また視線を公園内にいるカップル達にむせて今度は人差し指の爪を噛んだ。

俺の許可なしに隣に座ったそいつは、天祥院英智という。最初は自分の通ってる高校の生徒会長ということもあって敬語でかなり遠慮していたわけだが、とにもかくにも最初のファーストインプレッションが最悪だったのだ。

天祥院英智が、ではなく、俺が。

具体的には俺が街中で見かけたカップルを思い出して、リア充爆ぜろとぶつくさ言いながら静かに1人で暴言を吐きまくってた時にこいつが俺の前に偶然現れて聞かれてしまったというわけで俺は何も悪くないのになぜか度々会うようになった。

猫の皮を被って生徒会長さまさまで対応してもよかったけど、もう最初の印象悪すぎてもういいよね、遠慮なんていらないよね、こんな俺を処罰するなり煮くなり焼くなり何なりしてください、どうぞご自由に。というスタンスでもはやこいつに遠慮などしてない。

「僕はリア充じゃないよ。強いて言うなら…欲しいもの簡単に手に入るだけかな。」

「うざ。そう言うリア充が一番クズ。しねばいいのに。」

「……あはは、いつ死んでもおかしくないよ。」

さみしそうに笑う天祥院が少し可哀想になった。

「…ごめん。俺…」

「いいよ。僕の彼女になってくれるなら。」

「は?やっぱしね。」

「だってなまえはリア充になりたいんだよね?」

「…別に。ただ、彼女ができて、一緒に街を歩いて、2人で手を繋いでとかそういうのがしたいのは男子高校生なら当たり前だと思うのは俺だけか?」


「ううん。僕も思うよ。なまえと一緒に街を歩いて、手を繋いで、キスもして、ホテル最上階の夜景を見せてあげたい。それから、ベッドに押し倒し」

「黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ。何言ってんの頭おかしいの」

「おかしくないよ。要はなまえは今まで付き合ったことが1回もないから恋人が欲しいんだよね?」

「イラつく言い方すんな。そうだよ文句あんのか?女の子の体に興味持って何が悪いんだよ。」

「女の子じゃないけど、僕の体なら触り放題だよ?」

「最大級にいらねーし!なにそれ!何の罰ゲーム!」

「…なまえは気持ちよくなりたいってこと?」

「…まあそうだ。行き着く所はそこだ。」

「ああ、それなら大丈夫。後ろじゃないとイけないくらい気持ちよくさせてあげるよ。」

「……爆ぜろ。」

「ふふ、動揺しすぎて誤爆してるところがまた可愛いね。」

天祥院の手が俺の太ももをなぞった。ゾワアァッとする感覚が脊髄を走り抜けて腰が浮きそうになった。

「その手をどけろ、おい。あそこのカップルに変な目で見られてるから今すぐどけろ。」

「ああ!あとなまえは見せびらかしたいんだったよね」

「は?な、に」

天祥院に顔を固定されて ちう とマウストゥーマウス。

ふふ、とファンでなくても顔を赤らめてしまいそうなほど完璧な笑顔で微笑んでいる。

俺はと言うとムンクの叫びのようになっているのがおわかりいただけただろうか。

「ねえ、見て…。あの二人こっち見てる。もっと見せてあげようか?」

「やややややややめろやめろ」

「僕と付き合ったらいいこといっぱいあるよ?」

「ない!断じてない!まず男は無理!」

「世界中の誰よりも君を想って、毎朝迎えに行くし、毎日愛の言葉を囁くよ。欲しいものも買ってあげる。とびきりの紅茶も入れてあげるよ。デートもなまえの行きたいところに連れて行ってあげる。」

「…病弱王子に言われても説得力ねぇわ」

「……傷ついたよ。」

自分で言って悲しくなったのか天祥院は俯いた。

「う、ごめん…」

「大丈夫、夜の方は体力あるから」

「は?何言ってんの?馬鹿なの?しぬの?」

「しなないよ。なまえが僕のものになるまでしねない。」

「よかったな。そりゃ永遠に長生きできるよ。」

「…やっぱり僕はこうやって待つのは得意ではなくてね。早く欲しいしもう手に入れてしまおうか。なまえ、気持ちいいこといっぱいできるよ」

「もうその手には乗らんんん…」

同じ手に何度も乗るわけないだろ、と近づいてきた天祥院を避けるように仰け反ったのに腰を抱き寄せられて顎を固定された。

「こら、やめなさ、え、ゃ、ふ、んん…」

さっきのが可愛いキスだったと言えるほどに今度は貪るように舌まで入ってきて頭の中大混乱で酸欠になりかけた。

待って待って待って、こんなキスしたことないし、というかキス自体さっきのが初めてだし、待って待って酸欠と唇と舌の感覚がおかしくて変になる。

自分の舌じゃない他人の舌が口内をうごめいて、正直…気持ちいい……


「ん、ふふ、とろとろだね。」

てらりと光る天祥院の唇が色っぽくて、ああ学校のトップの生徒会長と俺、キスしてるんだと思うと非現実的すぎるこの状況の完全に酔った。

天祥院の服をぎゅっと握って体に残る快感に耐えた。

「気持ちよかった?これが毎日だよ…」

俺の耳を触りながら、顔を近づけて天祥院は囁いた。

何に同意しているのか意味がわからないけれど、俺はコクコクと火照った顔で頷いた。

もう公園内のカップルが俺たちを見て全員退散したとかそんなのはどうでもいい。

「なまえ…僕の彼女になる?」

「うん…なる…なる…なるから、もいっかい…」

「ふふ、可愛いね」

頭の中では分かってるんだ。こいつは俺をこんなくだらないことで釣って陥れようとしてるのは分かってるのにさっきの快感、快楽が脳内麻薬を分泌させまくって正常に対処できない。

「さあ、腕の中においで。僕のお姫様…」

腕を広げて微笑む天祥院に、俺は拒否反応する余地もなく腕の中に入った。

次に来る快感はさらに大きくて、まさに俺は今リア充になった。

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