※ようちえんパロ 夢ノ咲の生徒が幼稚園児だったら…
(※朔間零くんも訳あって1つ下の組にいる設定)
皆同じ幼稚園の服、スモックを着ている。





「なまえせんせぇっ!」

「ぐふっ!」

晴れ渡る空、広い園内のグラウンドで遊ぶ子供たちを見守っていた時だった。

どんっ、と俺の足に飛びついてきたのはきりん組さんの明星スバルくん。

どうやら鬼ごっこをしていて追い詰められたみたいだ。
それより俺はスバルくんの当たり所が痛くて…俺の大事な股間が…!!

「せんせぇっ!助けてっ!」

「ス、スバルくん…ちょ、ちょっと先生は…」

前かがみ気味になりながら元気な園児達を見渡した。

ここは夢ノ咲幼稚園。男の子だけが通う伝統ある幼稚園で、俺はこの幼稚園で働くみょうじなまえ。

やんちゃな男の子たちが多いせいで毎日体力勝負だ。

「たすけをよんだか!!スーパーヒーロー、レッドさんじょおっ!!とぉっ!」

どこから出てきたのか、掛け声とともに俺の足に痛みが走る。

「………千秋くーーん???…」

これまた問題児…いや、やんちゃな子が出てきたもんだ…。

俺の足に蹴りを繰り出して参上してきたのはらいおん組の守沢千秋くん。

ヒーローになるのが夢だと語っている彼は日々助けてという声を聞くと飛び出てくる。正義感が強いのはいいけど、俺を蹴るのはやめてほしい…。

「千秋くん…先生この間も人を蹴っちゃいけませんって言ったよね〜?」

「あくをたおす!それがおれのやくめだ!あけほし!だいじょーぶか!!」

「うわっ、ち〜ちゃんがきた…」

かなり嫌そうな顔をしたスバルくん。
何なんだ、君たちの間には何があるんだ闇か?

いきなり逃げるように俺の足元から走り出したスバルくんを追いかけ始めた千秋くん…。

ああ、また追いかけっこを始めたんだなということにしといて俺はやっと保育の仕事ができると体の向きを変えたところで今度は目の前に皆よりは少しだけ背が高い羽風薫くんがいた。

「せんせい、ひまになった?おちゃしようよ」

可愛い可愛い自分のプラスチックのマイカップ(※園児は皆、お昼用に自分のコップを持ってくるようになっている)を手に持って俺の前に立つ薫くん。

この子も暇さえあればお茶しよう、手をつなごう、膝枕して、今度でぇとしよう、なんてどこで覚えてきたのかわからないけど使い所が違う口説き文句みたいなものを常に言ってくるせいで俺の小さな悩みでもある。

「薫くん…先生は皆のお昼寝の準備しないといけないから暇じゃないんだよ〜。ごめんね?」


「そう?じゃああしたは?あしたならいいよね〜?せんせい、いっかいことわったんだからつぎはつきあうよね?そうだよね?」

怖い!何この子!
断りにくくさせてるのは素でなのか?!大人並の駆け引きなんだけど…と口角をひくひくさせていると薫くんのスモックの袖をひっぱる子がいた。

「かおる〜おさかなさんどこかいきましたあ…」

泣きそうになりながら薫くんの服を握るのは深海奏汰くん。この子もかなり個性的でよくいなくなるから俺はヒヤヒヤしながらいつも見ている。

「え〜いませんせいとはなしちゅうなんだからさあ」

「おさかなさんが…」

ぐいぐいと力強く薫くんを引っ張り始めて、薫くんは焦っている。

「ちょっ、かなたくんっ、もお、しかたないなぁ…」

仲良く…?というかずるずると引きずられていった薫くんに奏汰くんグッジョブと心の中で親指を立てた。

さあて、皆のお布団を敷きますか。

力仕事を始めようと皆の布団が収まっている部屋の扉を開けた。

「………」

すぅすぅ、すやすやと気持ちよさそうに寝ている子とその隣で絵本を読む子。

……朔間兄弟だ。

可愛らしい顔の弟と、大きくなったら絶対イケメンになるだろうなっていうすでに顔整いまくりの兄。

「うーん、凛月くんはお昼寝前にすでに寝ちゃってるのか…」

布団を出すためには積み重なった布団の上で寝ている凛月くんを退けないといけない。

「零くんもずっとここにいたの?皆と遊ばないの?」

凛月くんをそっと抱き上げてとんとんと背中を軽く叩きながら零くんを見た。

何を隠そう、俺の中で一番の問題児と言えば、今目の前にいる朔間零くんなのだ…。

この子は先生の前では大人しいけど、裏で何しているのか分かったもんじゃない…。
零くんが動くと色んな子たちも騒ぎ始めるから一筋縄ではいかないんだよな…。

とくにきりん組さんの大神晃牙くんとかね…。

「せんせいがくるのまってた。」

「そっか、凛月くんもお兄ちゃんがいたから安心してぐっすり寝ちゃったのかもね」

ああ、こうやって抱っこしていると子供ってあったかいなぁと実感する。

体温が高いから湯たんぽみたいだ。

「なまえせんせい、いや、なまえへんじするきになった?」

「……零くん、先生のことを呼び捨てで呼ばないの…。あと返事も何もありません。」

「なんで?おれとつきあえないの?」

「………」

ここにも薫くんと同じようなことを言う子が……。

「零くん。先生は先生です。…それにその話はこの間のままごとの続きだよね?彼女役の渉くんと彼氏役の零くん、それで零くんが浮気したってことで修羅場化して、彼女役の渉くんが英智くんに絆されて……っていうなんかドロドロした昼ドラみたいなままごとをやるとか言い出して…当て馬役の浮気相手が足りないからって先生にやってくれって言われたからやっただけだからね…?」

「たのしかっただろ?」

「いや…想像以上に修羅場すぎて先生は頭が痛くなったよ…。幼稚園であんなことやるもんじゃありません…」

挙句の果てには園児達の前で零くんからキスされそうになって寸前に回避したけども…。

零くんと渉くんは2人揃うと何始めるかわからないから本当にねぇ…。

「でも、あのときの『おまえのことはあそびじゃない、ほんとうにすきだったんだ』っていうのはうそじゃない」

「はいはい…先生は布団を敷かないといけないからそこを退いて…」

キュポッと何かの蓋を開ける音が聞こえた。

「ほら、これでせんせいはおれのもの」

にやりと黒の油性マジックを片手に俺を見上げて笑う零くん。

はい?と下を見ると、俺が着ているエプロンの太ももあたりに

せんせいはおれのもの さくまれい

という文字が見えた。

「〜〜〜っええ!?ぁあっ!」

でかでかとかかれたそれは黒い油性インクがしっかりアイボリー色のエプロンに染み込まれている。

「れ、零くん…っ!」

「しーーっ、りつがおきちゃうだろ」

ニヤニヤと笑いながら鼻歌を歌って部屋を出ていく零くんに俺は信じられないとため息を吐いた。

そっと凛月くんを布団の上に寝かせてあげて、もう一度エプロンを見た。

少し歪で大きな文字が零くんの性格を表している。

呆れながら布団を敷き終わったあと、皆を収集しに戻ると俺のエプロンを見た園児たちが あーーっ!と指を指してきた。

「ずるーい!おれもかく!せんせいのためにつくったきょくもかいてあげる!」

「わぁっ、おさかなさんかいてあげます〜」

皆が俺に群がり俺のエプロンは画用紙となってしまった。
マジックペンで俺の腕やほっぺにまで色々書かれて、皆がお昼寝する頃にはボロボロになっていた…。


俺とやんちゃな男の子たちの攻防戦は今日も終わらない…。


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