(ヤンデレ衣更×男主)


衣更真緒という男はどうやらヤンデレ属性だったらしい。

というのも、俺は真緒と付き合ってるわけだけど、付き合う前から少し可笑しいなと思っていたが、付き合い始めてからさらにそれがエスカレートした。

付き合い始める前は、俺が他のクラスメイトと話しているときに じっ、とこちらを見てきたり、俺が1人の時に話しかけてきて延々と捕まったり、って感じだったが今は違う。

まあ俺も真緒が嫌いじゃないし、付き合ってほしいと言われた時に嫌な気持ちにはならなかったからオーケーしたわけだけど…

付き合い始めると、誰かと話していると人に見えないところですぐに咎められ、キスされ、お仕置きと称していたずらされ…、行きも一緒、帰りも一緒、真緒は忙しいからべったりってわけじゃないけど、それでも俺といる時間は長くなり、1日にくるメールの量もかなり多い。

この目の前にいる男、衣更真緒は一見、1番の常識人で安定感ある人間に見えるのに、蓋を開ければおっかなびっくりかなりの病んでれちゃんだったわけだ。

だから、俺もこんな真緒と一緒にいたら嫌でも耐性つくよねーって話。

「なあ、なまえ聞いてるか?俺のこと以外考えてるのか?」

『ん?ごめん。聞いてなかった。考え事してた。』

「…昨日電話に出るのが遅かった理由、聞いてるんだよ。」

『あー…、アイス買いに外に出てて。んで、母さんから電話かかってきたから。』

「なんで?普通、親より俺のこと優先するよなっ?俺はするよ。なまえのことが1番。それ以外を優先するってありえない。」

『んなこと言ったって…親だし…』

「それなら…俺以外の連絡先、全部消すしかないな。携帯貸して。」

…そうきたか。まあ、いつか言われるとは思ってた。

俺のアドレス帳までも縛ろうとする真緒に嫌だと言ったらめんどくさいことになりそうなので大人しく携帯を渡した。

素早く操作して俺のアドレス帳には真緒の連絡先のみが残った。

「はい、これでなまえは俺だけだな!」

持ち前の爽やかな笑顔で携帯を渡してくる真緒。

…満足したか?…しかし、残念だったな!

そう来ると思って俺は親の連絡先も全部丸暗記して覚えてるんだわ!まだまだお前のヤンデレ攻撃には負けないぜ!

連絡先消されてもダメージはそれほどない!

心の中で密かにドヤ顔するのが俺の通常運転である。

***


そして、真緒は俺の全てを把握して監視したがる傾向がある。

だけど、俺も全て縛られるのはちょっと窮屈な気がするため、頭を使っては色々とヤンデレ真緒と戦っているのだ。


現在休日の午前8時。
真緒は生徒会の仕事で学校に登校。

真緒がいないということは俺は自由ということ。いや、メッセージが10分起きにくるから厳密に言うと違うけど。返信しないとすぐ電話かかってくるけど。

こんな機会を逃すわけにはいかないので、いつもとは違うメンツで遊ぼうかと思って友達を遊びに誘った。

もちろん真緒にバレたら即ヤンデレ発動で束縛という名の縄で縛り上げられるのでバレないようにメッセージは送ってる。

【なまえ、今何してる?】
【テレビ見てるー。】
【何のテレビ?】
【動物系。俺眠いから今から寝るわー】
【おやすみ。あんまり寝すぎるなよー。夜眠れなくなるからな!】

ごめん、真緒。動物系のテレビなんてやってんのかしらないし、俺、今駅前で友達と待ち合わせ中…。

俺のことを信じてる真緒に少し罪悪感が生まれたけど、いつも真緒に縛られてるんだからこれくらいはいいだろうと言い聞かせて携帯を閉じた。

よーし、今日は久々に遊ぶぞー。

遊ぶ気満々の俺は友達と集合して、遊び回った。

午後には程よく疲れたため、近くのカフェに入って馬鹿話をしながらはしゃいでいた。

だけどふと店の入口を見た瞬間、陽気に笑って楽しくて上がっていた俺のテンションは一気に急降下した。それはもう、地球の裏側まで突き抜けるんじゃないかってぐらい下がった。

『や、やべー…』

俺の視界には学校にいるはずの真緒がいた。

なんで?なんでここにいる?!

隣には転校生。なんだ…買い出しか?いや、とにかく何でもいいから絶対に真緒に見つかってはいけない。見つかったら俺の命がない。

さっきまでバカ笑いしてた俺が一気に静かになったため、友達が不思議そうに名前を読んできた。

『しっ!!俺の名前、呼ぶな!』

言ってみたけど、遅かった。

チラッと真緒の方を見ると、真緒も驚いたようにこちらを見ていた。

はい、アウトーーー!!終わったね。やばいよこれ。俺もう家に帰りたい。

真緒は俺がここにいるのが信じられないという顔をして、それからゆっくりと無表情になっていった。

ああ、やばい。こっちきてる。

「なまえ。何してんだ?」

笑いながら俺達の机の傍にきた真緒を見上げると、目が完全に据わっていた。

『あー…。お茶してた…?』

なんで疑問形なんだよ。遊んで疲れたから休憩してるだけだろ。って俺の目の前にいる友達が口にだした。

やめろ、それ以上喋るな!俺が死ぬ!

「へえ…。いいな!俺も遊びたかったな〜!」

『ハハ…、うん。生徒会の仕事お疲れー…。』

「…なまえ、帰ろうか。」

『…うん…。』

あー…オワタ。真緒が俺の腕を引っ張って椅子から立たされる。腕が痛いし、真緒の視線が痛い。

友達にごめん、と一言謝ってお金を置いて真緒に引っ張られるがまま店を出る。

去り際に友達が また遊ぼうなー!って言ってて、俺はもう頼むからお前は黙っとけ!と白眼を剥きそうになったくらいだ。

『ま、真緒ー。転校生はいいのか…?』

「…そんなことより、俺に言う事あるんじゃないか?」

『ごめん…。ほんとごめん。遊びたくて…。』

「なまえは俺をどれだけ苦しめれば気が済むんだよ?俺がいないところで他のやつと遊んで、笑って、俺に嘘ついてまで…」

真緒の顔が無表情すぎて怖い。整ってる分、表情がないから人形みたいに恐怖心が浮き出た。
少しでも何か真緒を宥める方法を考える。

『…っ真緒、生徒会の仕事だし、俺だけ遊びに行くなんて言ったら頑張ってる真緒に申し訳ないかな、って思って…。』

すまん真緒。これはとっさに出た言い訳だ。
少し上目遣いに真緒の袖を握って申し訳なさそうに話す。

多分、顔面普通の俺が上目遣いなんて見れるものじゃないだろうがとりあえず効果ありそうなものからやってみる。

俺の狙いが当たったのか、真緒は少し落ち着いたみたいで安堵した。

ふっ…ちょろいな。

「…俺のこと考えてくれたのは嬉しい。けど、もう嘘ついて遊ぶのはやめてほしい。あと他の男と遊ぶのも。」

『う、うん…。』

「約束、してくれるよな?」

『う、…』

「言って。もう他のやつと遊ばないって。俺の前で言ってくれよ。約束して。」

クッ、強情だな真緒は…。これは言わないと折れないパターンだな。もしくは俺が死ぬパターン。

『…遊ばない。他のやつと遊ばない…。』

「約束。破ったらもうなまえのこと、閉じ込めるから…。」

これはかなり代償が大きな約束を交わしてしまったが、とりあえずこれで今日の憤りは抑えられただろう。ホッとして自分の身を守れたことに安心して肩の力を抜く。

「それとこれとは別だけどな。なまえは頭で理解するより、体じゃないとわからないからなあ…。体に染み込ませるまでわからせないと…。」

ブツブツと言いながら俺の腕を引っ張り出した。

おいおい、まさかそっちの方向は真緒ん家じゃないか?まさかのまさか…俺の頭に考えたくないことが浮かぶ。

『真緒っ、もう家に帰ろう。明日学校だしさ、』

「何言ってるんだよ。なまえの家は俺の家だろ?なまえが悪いんだぞ。俺を裏切るから…」

あ、やばい。やっぱ俺今日生きて帰れる気がしないかも。

行き着いた先、真緒の部屋で俺はもうやめてってぐらいめちゃめちゃにされてしばらく遊ぶのはやめようと思った。

『うう…痛い…動けない…』

「なまえ、なまえ…。全部俺の証…。」

俺の体に刻まれた赤い跡を撫でながら、うっとりとした声で真緒は俺の名前を呼ぶ。

俺はヤンデレ真緒には逆らうまいと誓った。

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