ドSツンデレ朔間凛月×笑い方が特殊な男主




お昼休み、後輩の紫之くんが美味しいお茶を用意してくれると言うから俺は楽しみにしてガーデンテラスにやってきた。

「い、いやぁ何だか悪いねぇ…グフ…」

「いいえ、僕からお誘いしたんですから!さぁどうぞ」

「ん、ん…ぷは…お、美味しいよ…この美味しさ…デュフフ…うふ、うふふ…」

「わぁ、喜んで貰えてすごく嬉しいですっ!」

花が咲くように笑った紫之くんに俺も嬉しくなっていると、視界の端から人がぬっと出てきた。

「ねぇ、その気持ち悪い笑い方どうにかなんないの。」

睡眠妨害なんだけど、最悪まじ最悪。
と言って俺を蹴ってきたのは朔間凛月くん。

彼もこのお日向最高なここで寝ていたのか俺のせいで目が覚めたと言っている。朔間くんと俺は同じクラスだ。ゲシゲシと蹴ってくる朔間くんは容赦ない。

「い、いたっ、いたいよ…グフフ…や、やめ、」

「キモイ。」

「う、グフ、グフフ…」

朔間くんは俺の笑い声がキモくて仕方ないらしい。俺の喉から這い出でるような笑い声を聞くといつも蹴ってくる。

この笑い方のおかげで小さい頃から笑い方がキモいとよく言われる。親からでさえ、引かれているけど仕方ない。面白かったり、話のネタがなくて言葉につまるときとか癖で出てしまうんだもの。

「なまえがキモイから目が覚めちゃったぁ…。ほんと最悪。」

いつまで俺は蹴り続けられるんだろう、朔間くんの靴跡が俺の背中にしっかりとつけられてしまっているかもしれない。

「あ、あの…!乱暴はダメですよぅ…!なまえ先輩も悪気があるわけじゃ…」

「は〜くんは優しいねぇ。いい子。でもね、こいつはいいんだよ。蹴るべき存在なんだから」

そう言って今度は俺を踏みだした朔間くんは本当にドSだ。

「なまえだけ美味しそうなもの飲んじゃってさぁ、生意気だよね。」

俺を痛めつけるのに飽きたのか俺の横に座った朔間くんは俺が持っていたカップを手に取ってそれに口付けた。

デュ、デフュ、それ俺がすでに口付けたのにいいのかなあ…ウヘ。

「美味しい、さすがは〜くん。全部飲んじゃお。」

「えっ、お、俺の…グフ」

「なまえはキモイからいいんだよ」

そう言ってごくりと飲み干した朔間くんはこっちを見て目を細めた。

「なに。ニヤニヤしてキモい。」

「に、にやけてなんか…グフ」

「存在自体がキモイ。」

「ご、ごめん…俺はここで、た、退散しようかな…グフフ、じゃ、じゃあ…」

「は?誰が勝手に行っていいなんて言った?」

「え、だ、だって」

「うるさい、キモイ。喋んないで。」

三拍子で俺を拒絶しまくった朔間くんの手は俺の制服を掴んでいる。

これじゃ離れたくても離れられない。
仕方なく、立ち上がりかけた腰を下ろしてその場に座った。

それを横目でちらりとみた朔間くんはまた紫之くんの用意したお茶を飲み始めた。

俺は何も喋らずお口にチャックでその場にいる。

「……デュフッ」

何か気まずいので曖昧に笑ってみたら朔間くんがじろりと睨んできた。

なのでまた口を噤んだ。キモイならどこか行けって言ってくれればいいのに。それなのに朔間くんは俺の裾を握っているから不思議だ。




***



放課後になって、俺は図書室で日本史の小テストに向けてぶつぶつ暗記していた。

「1582年…明智光秀……デュフッ…つ、強ぇ…、1716年…グフ、え、と…」

俺がこの時代だったら速攻切られて生き残ってないだろうな、なんて想像したら面白くてつい1人で笑ってしまう。

「グフフ…グフッ」

教科書開いて笑っていたら開いていたページにとん、と誰かの手が置かれた。誰だと顔をあげる。

「キモイ。」

「さ、朔間くん…グフッど、どうしたの」

座っている俺の前に立って、見下ろしてきている。日中たっぷり寝たのか今はお目覚めのようだ。

「煩いから喋んないで。」

「…え、ご、ごめん…」

確かに図書室で1人でぶつぶつ声を出すのは周りに迷惑だったかもしれない。とはいえ、周りには人がいないからセーフだ。

黙って暗記しようと教科書を眺めていると朔間くんが隣に座った。

どうしたんだろうと思ったけど黙って教科書を見ることにした。俺はまっすぐ教科書を見ているのに、横から朔間くんの視線を感じる。

「……。」

そろっと横目で朔間くんを見た。俺の顔になんかついてるんだろうかってくらい朔間くんの目がこちらを見ていた。

うわぁ…見られてる…。

もしかしてやっぱりこいつキモイな、なんて思われてるのかも…。

「ご、ごめん…。キモくて…」

言われる前に先に謝っておいたほうが朔間くんの機嫌を損ねないかもしれないと思い謝った。

「はぁ?」

それなのに朔間くんの機嫌はなぜか急降下したのか眉間にシワを寄せた。

「…なまえってキモいから彼女とか一生無理でしょ 」

突然振られた話題に戸惑う。朔間くんからこんな話されたことがない。いつも俺を貶すか蹴るか、踏むか…。どういう意図かわからないけど俺にも自論があるので話させてもらう。

「か、彼女とかそういうのは…グフッい、生きてたら俺のことを好きになってくれる…クフフッ…人が現れるはず…グフッ」

そんな未来を想像してニヤケてしまった。

「夢見すぎ。キモイのに彼女とか出来るわけないじゃん」

「ひ、一人は俺のこと好きになってくれるかも…」

「ない。」

「グフッ…ひ、ひどいね…」

朔間くんは顔が整っているし困らないかもしれないけど平凡でキモイ笑い方の俺には割と難しい問題だ。

まあ、こんな俺ならできないならできないでしょうがないよな、と納得できるんだけど。

「…可哀想だから俺が付き合ってあげてもいいよ?」

「…グフッ、」

朔間くんは何を言っているんだろうか。つい癖で吹き出してしまった。

「なまえの将来、残念なのは目に見えてるし〜。今逃したらもう一生無理かもね?」

「い、意味が…よく…」

「だから優しい俺が恋人になってやってもいいよって言ってんの〜」

「デュフッ、え、遠慮「はいはい、わかった〜。じゃあ今日から恋人ね」

「え、あ、グ、グフッ、や…」

「ほんと有難く思ってよね〜」

「さ、朔間くん…」

「こんなキモイなまえ、俺しか好きになってあげれないしさぁ。」

「お、おかし…」

「言っとくけど、無理やり起こすのと俺のアイマスク使うのと安眠妨害、これしたら怒るから〜」

「い、いや俺、か、彼女が…ほし、」

「恋人だからこういうのにもしてあげるよ。」

グイッと襟を引っ張られて朔間くんの方へ体が傾いた。そのまま朔間くんは俺の顔に近づいてきて…


「ウグ…」

なんと、朔間くんとちゅーしちゃった。

「口、開いて。」

掴まれている襟をグイッと引っ張られ有無を言わさない目で射止められる。反抗できず言われるがままそろりと口を開けば、俺のものじゃないうごめくものが口の中に入ってきた。

「さ、く、うぅ…むぅ…グ、フ」

朔間くん…いつもキモイキモイなんて言ってる俺とこんなことして平気なんだろうか。

うまく息ができなくて顔に熱が集まった。

「ふ、は…」

「はぁ…全然色気ない」

朔間くんは俺を見て馬鹿にしたようににやりと笑った。色気あるとかないとかそれ以前にこの状態は何なんだろうか。

「お、俺のことキモくて嫌いなんじゃ…」

「なに?それ以上言ったら血、吸うよ?」

「こ、これはなにかの間違っ、い、」

朔間くんが容赦なく首筋を噛んだ。それと一緒にざらついた舌が皮膚の上を這う。

「よかったねぇ、これから俺が可愛がってあげるよ」

くすくす笑う朔間くんがいつもの俺を蹴って楽しそうにしている朔間くんで怖い。

俺は別に彼氏が欲しいなんて一言も…。

「……グフッ」

耐えきれないこの空気に取り繕うように笑えば朔間くんは嬉しそうにキモイといいながらまた俺の唇にキスをした。


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