ネトゲから始まる真×男主


学校生活に何のきらめきも感じていない俺は絶賛オンラインゲームにハマっている。

青春の時間をゲームに費やすなんてもったいないなんていう記事をネットで見たことがあったけどそんなのゲームしてる時が俺の青春なんだよ、と一人でツッコミながら今もキーボードを打ちながらクエストをこなしていく。

学校から帰ったら即行PCを起動するし、深夜までゲームして朝起きるのは遅いしでまあ不規則というか最悪な生活サイクルなのは致し方ない。

学校のゲーム好きな友達だってそうだしな。

要するに俺は学校でも少ないけど談笑できるほどの友達はいるし、彼女はできたことない非リア充だけど別にゲームという遊びがあるし俺は困っていないわけだ。

まあ…彼女はちょっと欲しいと思うときはあるけど。

ゲームやSNSをしているとリアルで会うというオフ会という名の意味不明なものがあるわけだが、そこで実際出会ってくっついたりする輩もいたりする。俺はリアルで会うなんて絶対にありえないとオフ会は誘われても断固拒否していた。

だって俺はゲームの中じゃ、リアルとは全然違うし、平凡すぎる容姿に減滅されたくないっていうのがある。

ネット上でしか話さないからいいんじゃないか。なんて思うわけだ。
でも、最近力を入れているゲームでいつも一緒にゲームをする仲のいい人がいる。

その人は俺と年が一緒で、同じ男子高校生だ。たまたま人数合わせで他のチームに参加させてもらったときに出会ったのがきっかけ。それからフレンド登録して頻繁に声をかけあうようになった。

その人はウッキーというハンドルネームでリアルじゃ人とうまく話せないし、ゲームしているときが一番落ち着くなんて、かなり同意できることを言うものだから親近感が湧いて俺たちはすぐに仲良くなった。

<今日も楽しかったね、やっぱりライトくんがいてくれるとすぐに倒せる!>
≪言うてウッキーもいいアイテムもってるじゃん≫
<さっきのでしょ?!この間出て本当嬉しかったんだよ!>

ライトくんとは俺のハンドルネームだ。ウッキーも俺と同じく非リア充でむしろ女子と話すのは苦手らしく俺はますます同類だと感じていた。やっぱり話しやすい人とゲームするのは楽しいな、なんて思っているとウッキーが突然リアルの話を振ってきた。

<明日小テストあるから落ちないといけない…>
≪ウッキー真面目wがんばってら≫

そろそろ俺も落ちようかな、とウッキーとのチャットも終わらそうとしているとしばらく間があってウッキーが打ち込んできた。

<ライトくんってどこに住んでるの?>

さっきと全く違う話題に驚きつつ、ざっくりとした場所を伝えた。ウッキーなら悪用とか特定なんてしないと思ったから。

<えっ、僕もそこらへんだよ!>

え…。まじかよ。
近いってもしかして同じ高校とか?なんて近いってだけでそう考えてしまう。

だけどどうやら高校は違うらしい。
≪まあ明日頑張ってー≫と告げて今日は終了。おやすみなさいをした。
何か意外なことに世間って狭いんだなあと思った。



それからまたウッキーと一緒にゲームするときに、ウッキーからライトくんってオフ会とか行ったことある?と聞かれた。
俺はオフ会は絶対行かない主義だから、ないし行くこともないと伝えた。
ウッキーは僕も。知らない人と会うのは少し抵抗があるから…と言っていてやっぱりウッキーとは話が合うなと俺は思った。

<でも…オフ会っていうかライトくんとは会ってみたいなって思う…>

だけど、そんなチャットコメントが来て俺はしばらく手が止まった。
ウッキーとオフ会…。いや、オフ会ってか…まあリアルで会うからオフ会か…。

<ご、ごめん!会ったこともない人間といきなり会うなんて嫌だよね!>

俺の返信がないことに心配したのかウッキーが謝ってきた。
不思議とウッキーとなら俺は会ってもいいかな、って思ったんだ。だって俺と同類でウッキーもまた俺と同じようにさえないゲームオタクで平凡でパッとしない奴なんだろうなって想像したら会っても、減滅なんてしないし楽しく話せるかもしれない、純粋にゲームの話で盛り上がれるかもしれない、って思った。

≪俺も、ウッキーとなら会ってみたいかも≫
<ほんと?!>
≪っても、俺まじで普通の人間だし、ゲームオタクだし特に…アレだけど≫
<そんなの僕もだよ!メガネかけてていつもおどおどしちゃうんだ…>

俺はメガネかけていておどおどしているウッキーを想像してクスリと笑った。なんかわかる気がする。だってチャットでも焦ってるのとか伝わってくるし。

それからとんとん拍子にいつ会うか、どこで会うか、なんて話が進んで次の休みに会うことになった。

会ったことない人と会うなんてドキドキするけど、ちょっと楽しみだった。友達が増えるのかと思うと少しワクワクして約束の日までそわそわした。


約束の日、11時に駅近くのところで待ち合わせ。
俺は上は黒で、白のリュックサックを持っていて、ジーパンにスニーカー。
まあ普通の恰好だ。

時間通りに待ち合わせ場所まで来て、あたりを見渡した。まだウッキーらしき人はいない。ウッキーはメガネをかけていて上は薄黄緑で、下はジーパンだと言っていた。カラーリングを聞いたときなかなかのセンスだな…とどんな格好でくるのか気になったのは少しある。

もう着いたよ、とスマホを取り出してウッキーに送った。

ドキドキするなあ、ウッキー…どんな感じなんだろう。
ぽけーっと行き交う人たちを眺めながらもうすぐ来るだろうウッキーを想像していた。

「あの…っ、ライトくん?」

うわ、ついにきた!と思って声掛けられ方を向いた。

「……」

は、はああああああっ?!

俺の隣には、俺より少したかくて髪色は明るくてメガネをかけていて、上は薄黄緑で下はジーンズだったけどなんというか…なんというか…まさか、これがウッキー…?

…全然、俺と同類じゃねえじゃん…!

確かにメガネはかけているけど、メガネ越しに分かる整った顔、俺じゃとてもじゃないけど着こなせない服のセンス…。完全に着こなしている。

誰だよこれ…。

「あ、あの…ライトくん?っなまえくんであってる…よね?」

「……ち、違います。」

「えっ!で、でも黒のリュックに…」

「……」

「なまえくん…だよね?」

「……はい。」

うわあ、完全にアウェイ。誰だよ、僕口下手でメガネかけてるしおどおどしてるし暗いから、なんて言ったやつ。全然じゃねえか…。

てか全然俺と同類じゃねえじゃん…。なんか髪もセットしてるのかいい具合だし、なにこれ。完全にアウェイ…。オフ会なんて…。

「よかったぁ…!今日会えるのすごく楽しみにしてたんだ!」

にこっと笑った顔が眩しいからやめてほしい、サングラスが欲しい。

「お昼近いしどこか入らない?」

「…うん。」

やべえ…想像してたのより斜め上をいきすぎてる。とりあえず2人で入ったお店の中で向かい合って座ることになった。

「あはは…、何か緊張してうまく話せないかもっ…」

いや、俺のほうが動揺しすぎてうまく話せてない。

「なまえくん、すぐにわかったよ!」

「そ、そう」

「想像してた通りで…なんか見た瞬間嬉しくなったんだ…」

そこは頬を赤らめるところなんだろうか。俺は想像と違いすぎて見た瞬間、時が止まったぞ。

運ばれてきた料理に箸をつけながら、目の前にいるウッキーこと遊木真を見た。
俺の学校にこんな顔整ったやついないわ…。

「僕、なまえくんに会うの断られたらどうしよう…って最初思ってたんだ…だから会えて本当よかったっていうか…」

「別に…。俺なんか普通のゲームオタクだし。会ってもそんな意味ない「そんなことないよ!!僕、ずっと会いたかった!」…お、おう」

あまりの真剣さに気圧されて、頷いているとウッキーは温かいものを頼んだのか眼鏡が曇っている。
食べにくそうだなと思っているとウッキーは眼鏡を外して机の上に置いた。

ぽかーーーん。

効果音をつけるならこれだろう。俺はメガネをはずしたウッキーを口を開けて見つめた。

「う、ウッキー…」

「え?」

「い、いやなんでもない」

ウッキーは自分の顔面レベルを把握してないんだろうか。少なくとも俺と一緒にいていいレベルでは…。急に家に帰りたくなってきた。

「なまえくん…」

「な、なに」

「よかったらウッキーじゃなくて名前で呼んでほしいな…」

「え」

「ま、真って」

「ま、真…?」

「ふふっ、ありがとう」

うわあ…メガネなしでこの威力やべえな…って俺は現実世界の不公平さを呪ってしまった。

「今日あのゲームでなまえくんと語れると思うとあんまり寝れなくて…」

そこから真のゲーム語りは続いた。正直、話は面白かったし盛り上がったのは事実だ。俺もあのゲームについてリアルであんなに語れる友達はいなかったからうれしくて沢山話した。

夕方になるのはあっという間でお互い帰り道は反対だしじゃあまたゲームで、と別れようとした。

「…なまえくんっ」

帰ろうとした俺の腕を真が掴んでいた。

「ん?」

どうしたんだろうと真を見上げた。

「あの、また話してくれる?」

もちろんだ。ゲームでいくらでも話はできるし。

「おう。俺基本ログインしてるし、声かけてくれたら」

「そ、そうじゃなくて…!」

そうじゃなかったら何なんだ?頭の中ははてなだ。

「また…会いたいな…って」

おい、どこの少女漫画だよ。こんなの女子が言われたら歓喜ものかな。まあ今日は第一印象に激しく動揺してしまったけど真とゲームについて話すのは楽しかったからまた会えるなら会いたいと思う。

「うん、いつでも。」

「っ…!じゃあ、また連絡するね。また、すぐ」

嬉しそうにはにかむ真につられて俺も笑ってまたなーと別れた。

それから帰りの電車ですぐに真から次の会う日について連絡が来たのには笑った。

「また、すぐって早えよ…」

それから真から頻繁に電話が来たり、休みの日に会ったり…。

真がモデルをやっていたこととかアイドルとして活動してるということを知るのはまた先の話。



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