待ちに待った嵐くんと2人で出かける日。
待ち合わせ場所は噴水広場。
晴れてるし絶好のデート日和…いや、デートと思ってるのは俺だけだけど…。
昨日の夜から緊張してあんまり眠れなかった。
考え出すとドキドキしてじわりと汗かくし寝苦しいし、でようやく眠れたのは朝方だった。
それでも遅れずに準備して待ち合わせ場所に15分前までには来れたしよかった。
嵐くんはまだ来ていない。
嵐くんの私服姿を見たらきっと赤面してしまう自信があるから、目を慣らしておこうとスマホの写真フォルダに保存している嵐くんの写真を眺めた。
嵐くんの体つきって海外のモデルさんみたいに綺麗で、なんでもあの二の腕とか肩とか程よくついた形のいい筋肉がたまらないんだ…。
雑誌でグラビアの写真を見た時、思わず本屋で赤面したほどには嵐くんのあの体が…すごくいい…。脱いだ時のあの体を見ると…。
ああ、どうしよう。むしろ嵐くんが今から来ると思うともっと緊張してきて目を慣らすどころじゃなくなってしまった。
嵐くん今日はどんな服で来るんだろう…。噴水の近くで今か今かときょろきょろしていると、少し離れたところから背が高くて明るい髪色が見えた。
「あっ、…っあ、嵐くんだ…」
ぼそりと声が漏れた。歩いてくる嵐くんは黒のカットソーを腕まくりして、下はデニム。さらけ出されている腕がまずたまらない。そして、カットソーの薄さから滲み出てる嵐くんの体つき…。しっかりとした胸板がすごくたまらない…。
うわあ…うわあ…直視できない…。写真なんかより生の嵐くんの方が威力が…っ。
「あら、なまえちゃんごめんなさいねぇ?待った?」
「ひゃっ、あっ、あっ、や、全然!待ってないっ!」
「ふふ、そう?」
「う、うん…っ」
うわあ…もう話してる時点で顔も体も暑すぎて倒れそうだ。目も合わせられないし俯くしかない。
「じゃあー…行きましょ?」
「う、うんっ」
歩き出した嵐くんについて、隣を歩く。本当に2人で出かけられるんだ…とじわりと実感してどうしようもなく恥ずかしい。
「あ、あっ、嵐くん…、今日もかっこいいね…っ」
「そう?♪なまえちゃんと出かけるんだから、ばっちりオシャレしなきゃいけないでしょう?」
「えっ…?」
そ、それって…お、俺がと、特別…?みゃ、脈アリってこと…いや、早まるな俺。そんなの嵐くんはいつもおしゃれだもの。
「なまえちゃんはー…シンプルねぇ。」
「う…、お、俺あんまり服とか…着こなせなくて…」
「まあまあ、今からあたしがコーデしてあげるわよぉ♪」
「あ、ありがとう…っ」
嵐くんと2人で出かける先はショッピング街。念願の嵐くんとの買い物だ。
嵐くんの隣を歩けるだけで嬉しくてテンションが上がってしまう。
二人で何店舗か回りながら服を見ていく。
俺は服じゃなくて真剣に見る嵐くんを見る、って感じでこの服どう?と聞かれた時も あ、とか う、とかだけで上手く返せなかった。
「ねぇ、このアクセサリー、オシャレねぇ」
「わ、ほんとだ…。」
「ほら、なまえちゃんにも合うわねぇ」
「えっ、やっ、お、俺なんかより…」
「もうっ、さっきからあたしばっかり見てるじゃない。なまえちゃんも欲しいものないの?」
欲しいのは嵐くんです。なんて言えないので何て応えようか狼狽える。
「えっ、お、俺は…、特に…」
「えー?なまえちゃんはあんまりこういうのつけないのぉ?」
嵐くんがほら、と見せたのはシルバーリング。
「ゆ、指輪…っ?つ、つけたいけど似合わないと思う…」
嵐くんはいつも指輪をつけている。嵐くんみたいにかっこよければ似合うだろうけど、俺みたいな奴はつけてもかっこつけてるだけにしか見えない。
「ほら、似合うわよ?」
俺の手をとって、そっと指輪を俺の指にはめた。
まるで、まるで花婿が花嫁の手に結婚指輪をはめるみたいで俺は立ち尽くしたまま赤面した。
「あら…?なまえちゃん大丈夫…?」
「ふぁ、ふぁい…。」
自分の手にはまったままの指輪をガン見しながら瞬き1つできない。
絶対これ買いたい。でも嵐くんの前で買うのはイキってて何か恥ずかしい。
あとで何とか理由つけてバレないように買おう。絶対買おう。一生宝物にしよう。
「や、や、やっぱり俺には…っ、」
急いで元に戻して首を降った。
「そう?結構回ったしお茶にしましょ♪」
「う、うんっ」
カフェに入って嵐くんはコーヒー、俺はカフェオレを頼んだ。
「はぁ、いっぱい買っちゃった。でもこうやって見るのが楽しいのよねぇ♪なまえちゃんも楽しんでる?」
「も、も、ちろん!!」
もちろん嵐くんの隣にいれるだけで楽しいから俺はもう内心感極まってる。
「いっぱい振り回してごめんねぇ?見だしたら楽しくて徹底的に色々回りたくなっちゃうの♪」
「わ、わかるよ!」
「…ねぇ、なまえちゃんは何であたしを誘ってくれたの?」
「…へっ?」
「ちょっと気になって。だって、あたし割と自由な方だし、こうやってクラスの子と買い物いくこともないから、何で誘ってくれたのかしらって。」
「そ、それは…あ、嵐くんが…す、あ…、や、嵐くんと…な、仲良く…なりたくて…」
危ない、心の声が出そうになった。焦って修正して何とか答える。
「あら、嬉しいわぁ!なまえちゃん話しかけてもすぐに下向くし、あたし一時期嫌われてるかと思ってたのよぉ?」
「えっ?ええっ?!そ、そんなことな、ない!よ!あ、嵐くんは…か、かっこいいし…!あ、憧れるし…嫌いなんて…」
「そんな褒めないでちょうだい♪あたしだってなまえちゃんと同じただの男子高校生よ?」
「ち、違うよ…!あ、嵐くんは…モデルしてるし…か、かっこよくて…、綺麗で…、皆とは違う…っ、なんか…大人びてるし…っ、あ、嵐くんのたまにお、雄っぽいとことか…、た、体育とか、モデルの時とか…すごく男らしくて…っ、お、おれ」
「はい、ストップ。」
あれ…何か力説してしまって自分がどこまで話してるかわからなくなってきた。
嵐くんが少し驚いた顔で俺に手を向けてきた。嵐くんの頬が少し赤みを帯びていて室内が暑いのかなと心配になる。
「…今自分が何言ったかわかってる?」
「えっ、あっ、あ、嵐くんが、か、かっこいいということを…っ」
「ああ、無自覚ね。わかったわ。」
「へっ?えっ?」
嵐くんが片手で顔を多いながら頷いている。
「んん〜〜、これじゃあたしがキツいわね…。」
「あ、嵐くん…?」
「なまえちゃん?」
「は、はい…っ」
「好きな人いる?」
「ひゃ、ひゃいっ?!」
「いるの?」
「あ、あ、う…」
目の前にいる嵐くんですなんて言えないし俺はただただ顔を赤くしてぱくぱくしている。
「…まあ、それは置いといて。はい、これ」
嵐くんはそんな俺を見てくすりと笑って、カバンの中から小さい袋を取り出した。
好きな人の話から逸れてほっとした。
俺にはい、と渡してきたそれを受け取って首を傾げる。
「こ、これは…?」
「さっきのとこで見た指輪よぉ。似合ってたから買っちゃった♪」
「え…、」
「あたしからのプレゼント♪」
「えっ、えっ、えっ…!!」
本当にもうボン、と爆発しそうなくらい暑い。俺だけ亜熱帯にいるんじゃないかってくらい暑い。
「迷惑だったかしら?」
「そ、そ、んなことない!え…、え…っ」
信じられなくて感激すぎてずっと嵐くんから渡された紙袋を見る。ガン見レベルで。瞬き一つせず。
「どう?嬉しい?」
「う、う、うれしい…っ」
「あたしなんかより好きな人からのプレゼントの方が嬉しいかもしれないけど…」
「やっ、やっ、う、れしい!あ、嵐くんからだから…他よりも1番嬉しい…」
まだ紙袋をガン見しながら目が離せない。
「…また漏れてるわねぇ。…つけてあげる♪」
嵐くんが紙袋から綺麗なシルバーリングを出して俺の手を取り、指輪をはめてくれた。
カフェの隅っこで俺はとてつもなく甘い幸せに酔いしれた。
今日は多分眠れない。
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