瀬名side
あんずから突然かかってきた電話に思わず立ち上がっていた。
凛月がなまえが見つかったから俺に電話しろと言ってる、というあんずの言葉に信じられなくてすぐにバイクの鍵を手に取った。
「っどこ?!今どこにいるの?!」
住所を聞いて、メットとジャケットを羽織って外に出る。
とにかく早く行きたかった。
ずっとずっと探していたなまえが見つかったなんて、と焦る思いでバイクをとばした。
言われた住所にたどり着くと、そこには凛月とあんずがいた。
1番会いたい人がいなくて、不安になる。
「なまえは…?!」
「……セッちゃん、ごめん…」
それは…、なまえがもうすでにここにはいないということだった。
メットを取って、バイクのハンドルに項垂れるように伏せた。
「っ…」
会いたくて仕方がなかった。電話で聞いた時には震えそうなくらい、見つかって嬉しかった。
「……なまえ、元気そうだった…?」
静かに聞く。実際に見た凛月にしか分からないことだった。
凛月はゆっくりと首を横に振った。
「ボロボロだった…」
「っ…!!」
なまえはどれだけ俺の心臓を苦しめるんだろうと思った。
その言葉を聞いて、辛くて辛くて今すぐにでも連れて帰りたいのになまえはいない。
「引き止めようとしたんだけど…、戻ろうって言ったんだけど、なまえは戻れないって言って走って…」
「どっちに行ったの?!」
今ならまだ見つかるかもしれない、そんなに遠く離れていないかもしれない。なまえが行った方向を聞く。
とにかく探すことしか頭になかった。
凛月にお礼を言って、バイクを走らせた。
探して、探して、なまえに似た体格の人がいると顔を見ては落ち込んだ。
どれだけ探しても見つからなくて、諦めきれずなまえを拾った公園に来た。
淡い期待は無駄なもので公園は無人だった。
空を見上げて、星空を見る。
この空の下になまえはいるはずなのに…。
どこにいるんだろう。
早く見つけたい。今度こそなまえが辛い思いをしなくていいように包み込んであげたい。
家に帰って凛月に電話した。
「セッちゃん…?見つかった…?」
「いなかった…。」
「…ごめん、ほんとに…。何で出てったのって聞いたら、なまえ、セッちゃんは優しいから離れなきゃ…って言ってて…。俺あの時のこと謝って、セッちゃんも探してるから戻ろって言ったんだ…。そしたら、なまえは戻れないって。」
「……。」
「何で?って聞いたら、…なまえ、泣きそうな顔で…セッちゃんのこと、遠くで見るだけだから許して…って。」
「…なにそれ…」
「思いつめた顔してたから…掴んでた腕も離しちゃって…」
凛月の言っている言葉が頭の中でぐるぐると回っていた。なまえの泣きそうな顔が浮かんで、すぐにでも頭を撫でてあげたいのにそれができない。
「…くまくん、ありがと…」
「…セッちゃん、あんまり無理しすぎないでね…。」
「してないよ。」
「…きっとなまえは戻ってくるから。」
「…うん」
電話を切って、なまえの部屋に入った。
なまえが出ていった日と同じようにそのままにしている。
ベッドに腰掛けて今も外にいるのだろうかとなまえの帰りを待つ部屋でなまえを想う。
なまえが出ていってから、仕事以外の時間は全てなまえを探すことに費やした。
メンバーが心配してくれるけど、自分のことよりそれ以上になまえが心配だった。
遠くからじゃなくて、俺のことを隣で見てほしい。
隣で笑って暮らしてほしい。
願うのはそれだけなのに。
想うだけでは触れられないこの現実が悲しい。
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