…エピローグ…



俺の部屋から真緒の部屋への引越しが終わり、2人でランチへ行こうと真緒が言ってきた。

「…着る服ないから…真緒1人で行ってくれば…」

おしゃれな飲食店へ行くために着るまともな服さえ持ってない俺は断った。

「も〜何でそんなこと言うんだよ。俺一人じゃ意味ないだろ?なまえと行きたいんだよ」

困った顔で俺のひねくれた返事に笑った。

「俺のこれ着る?」

少し大きいかも、と言いながら真緒は自分のクローゼットから服を持ってきた。

「無理。こんなの着こなせない。」

「まあまあ着てみろって。案外しっくりくるかもよ?」

真緒に押されるがままその場で着替えた。
着てみた感じは窮屈でなく少しダボッとしている。真緒に鏡の前につらてこられて自分の姿を確認すると、見れない格好ではなかった。

「ほら、いい感じ。な?これで2人で出かけよう」

真緒に手を握られて笑いかけられるとそれ以上断れなくなった。

「…わかった…」



真緒と肩を揃えて昼間の桜並木を歩く。
真緒は人通りの少ない道を選んでくれて俺は落ち着いて歩けた。

久しぶりに出る外は眩しくて、そよ風が気持ちいい。

「長かったけどやっと俺の願いが叶って幸せだよ」

「何?願いって」

「なまえの側にいて、俺が面倒見ること。…昔からずっと決めてたことだからな……あの手紙も…全部上手くいってよかった…」

ぼそぼそと喋るため真緒の言う事が聞こえない。

「…え?何?」

「ううん、何でもないよこっちの話…!ほら、行こうぜ、腹減ってきた!」

「…うん」

一瞬どこか1点を見つめるように話していた真緒はすぐにころっと表情を変えて俺の手を引いた。

そんな真緒が少し気になったけど、真緒が幸せなら俺はそれでいい。

真緒の手を握りしめたら、真緒が振り向いて満開の桜に負けない笑顔を見せてくれた。

俺も少しだけ口角をあげて応える。

「もうなまえが手放せない…」

真緒はそっぽ向いてそう言った。赤みを帯びた耳が真緒の赤い髪の間からちらりと見える。

真緒のその言葉は甘いのにどこか重くて繋がれた手は痛いほど握り返された。


END









「ま〜くん、進展は?」

「ん?今一緒に住んでるんだ♪」

「あ〜ついに。何か前バイト始めたとか言ってたじゃん。あれどうなったの」

「まさか!バイトなんてさせるわけないだろ?俺がいないと生きていけなくていいんだよ。可愛いくて仕方ない…料理も掃除も髪乾かすのも全部俺がやってあげないと…」

「はあ…どんだけ忙しくても昔からずっとなまえのところに通うのだけはやめなかったもんねぇ…。言っとくけど、なまえがあんなダメ人間になったの、昔からま〜くんが甘やかしすぎたせいだと思うけど。」

「え?ははっ!わかってるよそんなこと。」

「…確信犯こわっ」

「今がお互い幸せならそれでいいだろ〜?」

「世の中知らなくていいこともあるもんだねぇ。」

「あー幸せすぎて早く家に帰りたいぜ…帰ったら遠慮がちにご飯まだ?って言ってくる可愛さわかるか?」

「わかんない。」

「わからなくていい!俺だけでいい!」

「はいはい。お幸せにぃ。」

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