「…あっつ…」
脂肪があると体がすごく暑く感じる。
汗ばむ体に不快指数が跳ね上がって体にまとわりつくタオルケットを剥ぎ取りベッドから出た。
隣で寝ている薫くんを起こさずにそっと部屋から出る。
毎回思うけど、一緒のベッドで寝るってどうなんだろう…と思う。
ていうか、暑いし…。
パタパタと張り付いた肌着を引っ張って風をつくりながらキッチンに向かってコップに水をついだ。
ゴクゴクと喉を鳴らして飲めば汗ばむ体に冷えた水が染み渡る気がしてマシになる。
「はぁ…あつ…」
ピピ、とエアコンのスイッチを入れるとすぐに冷風が吹き出た。
何でエアコン切るんだよ、薫くんと違って俺は脂肪という名のサウナスーツを身につけているんだぞと内心毒づく。
冷房の風に当たって涼しんでいると、足音が聞こえてきた。
「…んん…ねむ…。」
薫くんがゆったりとした足取りでやってきた。
汗だくの俺はそんな薫くんをちらりと見て二度見した。
薫くんの髪の毛が左側だけぴょんと跳ねている。
その姿が可笑しくて少し笑いそうになった。
あの薫くんも寝癖とか出来るんだな、と思うとエアコンを切った薫くんを恨む気持ちも薄れた。
「水のむ?」
薫くんに水を入れたコップを手渡す。
多分左側を下にして横向きに寝てたんだろう。顔はまだ眠そうで覚醒してない。
そんな寝ぼけた姿でも様になるのは本当に…なんというか天性?なんだろうか。
俺だったら朝から寝癖つけて汗だくで…なんて汚い以外の何者でもない。まあ薫くんは汗だくじゃないけど。爽やかに起きてきたけど。
寝癖に全く気づいてない薫くんが面白くて、少し口元が緩みながら教えてあげた。
「薫くん…寝癖すごいことにっ、な、」
寝癖すごいことになってるよ。
と言う前に薫くんに後頭部を掴まれてキスされていた。はむはむ、と3回柔らかく唇を動かして離れる。
俺はまさかの不意打ちに放心状態で口は半開きだった。
想像もしてなかったいきなりのキスに落ち着いていた俺の心臓はまた早くなって汗がじわりと出始めた。一気に体温が高くなる。
まだ眠たそうな薫くんを見上げながら口元を押さえた。
「……か、かおるく…」
「おはようのチュー。」
「……そ、そういうことは…恋人とか…女の子とかと…やるべきかと…」
「は?」
目を細めて不機嫌そうに俺を見る薫くんを見て、しまったと思った。
「恋人じゃん。キスして何が悪いの?」
確かに…仰る通り、恋人は俺になってしまっている。
じりじりと寄ってくる薫くんに後ずさりしたけど後ろは冷蔵庫で逃げ場がなくなった。
「恋人とやるべき?そうだよね?なまえは恋人だからたくさんやるべきだよねー」
薫くんの手が腰にかかって、やばいと感じた。
「あ、の薫くん、落ち着いて…」
「俺はいつでも落ち着いてるけど。」
「う、俺汗だくだから…シャワー浴びさせて…」
「一緒に入る?」
「いや…一緒には…」
「………。」
「…わかったよ…。」
頬を膨らませて無言の薫くんに俺は負けて肩を下ろした。
途端に薫くんはニヤリと笑って俺の手を引き始める。
分かっててやってるからほんとーに薫くんは…。と頭を押さえたくなるけどそれに弱い俺も俺だな…。
バスルームの中で耳を塞ぎたくなるほど、好きだ好きだと語られて慣れない愛に溺れる休日の朝はこうしてスタートした。
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