朝、体重計に乗ったら恐ろしいことが起きた。
先月より2kg増えていた。
やばい、多分薫くんちに住むようになってからだ。
食べ物は美味しいし、一番はこれ美味しいよ、なんて言って買って帰ってくる薫くんのお土産が一番大敵。
ただでさえ自分の容姿は悪いのにこれ以上悪くなったらやばい。
映し出された数字が頭の中で大きく映し出された。
「ああ…さいあく…」
「なにが?」
体重計を測り終えてリビングに戻ると薫くんが食後のテレビタイムを楽しんでいた。
「…薫くん。今度から俺お土産とか食べないから。俺の分は買ってこなくていいからね…」
「…え?何で?」
「…色々と…」
意味が分からないと言ったようにソファから立ち上がって俺のところまで来る薫くん。
「太った?」
「うっ……まぁ…」
「ダイエットする?」
「……まあ地道に頑張る…。」
ズバズバと言ってくるところは昔から変わらない。悪びれもなく言われるのはもう慣れっこだ。
「じゃあさぁ、2人で一緒に、頑張らない?」
「2人で…?」
「うん、昨日こんな記事見つけてさ…」
薫くんが机に置いてあったスマホを手に取って、操作した。
「ほら、これとか良くない?」
見せられたサイトの記事。
『セックスでダイエット?!痩せる体位10選!!これであなたも−3kg!』
「ぶっ!!」
飲みかけていた水を吹き出しそうになった。
「な、なにそれ…」
突き出されたスマホから顔を背けるようにして、薫くんを信じられないという顔で見る。
「これ、やってみようよ」
「は、はぁ…??…やらないよ…。」
また薫くんが無茶苦茶なことを言い出した。
だいたい、そんな記事どうやったら辿り着くんだよと思う。
「えー、キモチイイし、痩せるし、いい事づくめじゃない?」
「じゃない。」
却下、という意味を込めて手の平で薫くんと壁を作り、俺はソファに座った。
続いて薫くんも俺の隣に座ってくる。
「じゃあさ、じゃあさ、1ヶ月で3kg落ちなかったら、これ試そうよ。」
「…やだ。」
「ダメ。」
「……俺が恥ずか死ぬから無理だよ。」
「大丈夫。そんなこと思わせないくらい気持ちよくさせてあげる。」
くすりと笑って俺を見る薫くん。多分勝手に自分の中で決行することになってるんだろうな…。
でも、こういう危機感がないと痩せられないと思う。
だから、俺は乗ることにした絶対に1ヶ月で3kg落として見せる、と。
それから、1ヶ月死ぬ気で頑張った。薫くんの甘いお菓子やお肉の攻撃に大ダメージを受けながら頑張った……。
けど、結果は−2kgだった。
体重計から降りたあと、満面の笑みで待ち構えている薫くんに俺は泣かされるハメになった。
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