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「なあ、最近朔間先輩と食べないのか?」
『…んー、まあ、とくに連絡とかない限り、朔間先輩と関わることないし…』
「そうかー、なんかなまえが朔間先輩といないのって珍しいからさ」
『まあ今までパシリっつうか奴隷同然だったからな…。俺も解放されたってことだよ。』
朔間先輩ベッド侵入事件(俺が勝手にそう名付けただけ)の後、朔間先輩からいつも来ていたほぼ命令に近い連絡はなく、1週間以上朔間先輩と顔を合わせていない。
連絡がないからといって、俺から会いに行く用もないため、今まで毎日のように見ていた朔間先輩と顔を合わせることはなく、こうして最近では真緒と昼飯を食べるようになった。
何でいきなりこんな状態になったのか検討もつかない。避けられているのかと考えたがとくに何かした覚えもない。
よく分からないまま、ずるずるとこの状態が続いているおかげで、軽音部の活動日も休んでしまい、ますます朔間先輩と会いづらくなってしまっていた。
真緒からいきなり振られた話題に話をそらしたくなって、席を立つ。
『午後からイベント準備だったよなー。そろそろ行っとこうかな』
「お、じゃあ俺も一緒に行く。」
真緒と2人で教室を出て準備場所へ向かうために廊下を歩く。
「なまえー、外。」
『外…?』
横にいた真緒から声をかけられて、外を見ると中庭で数人かたまっているのが見えた。
誰なんだろうと真緒と同じように足を止めて、窓の外を見る。
「転校生とスバルたちと、…あ、朔間先輩もいんじゃん。」
そこにはいつものように明星たちと一緒にいる転校生と朔間先輩がいた。
賑やかな転校生たちと少し離れたところでベンチへ腰掛けて、朔間先輩は見守るような眼差しで転校生たちを見つめていた。
何事もなかったかのように普段と変わらない朔間先輩だ。時折楽しそうに微笑んで話をしている。
別に朔間先輩が俺がいなくて寂しそうにしてるだとか思っていたわけじゃないけど、あまりにもいつも通りな朔間先輩を見て少し気分が下がった。
(なんだよ…。こっちは何かあったのかと心配してたのに…)
近すぎると思うほどいつも近くにいたかと思えば、いきなり距離をとって離れたり、朔間先輩に振り回されてばかりだ。
(…って今に始まったことじゃないか。いつもふらっと消えては、またふらっと出てきて…そんな人だよな。いつも一緒にいたなんて昔のことだし。)
隣に立つ真緒が手を降ると、明星たちも気づいて手を振った。口パクで会話している真緒をよそに、朔間先輩を見ると朔間先輩もこちらを見ていた。
ドキリ、としてパッと目を逸らし足を動かす。
『俺、もう行く。』
「えっ?なまえ?」
明星たちと楽しそうに会話している真緒を置いてさっさと歩き始めた。
久しぶりに目を合わせた朔間先輩にどんな表情をしていいか分からず、すぐに目をそらしてしまったが朔間先輩の顔は今もまだ目に浮かんでいる。
朔間先輩は笑いもせず、かといって怒っているわけでもなく、ただただ俺を見ていた。
朔間先輩を見るだけでズシリと重くなるこの心はなんなんだろうか。
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