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※モブキャラが唐突に出てきます。
どうやら朔間先輩が言う予定とは、買い物らしい。
出かける仕度をした俺と朔間先輩は近くのショッピング街に来てぶらぶらと歩いている。
まあ、俺も買いたいものとか見たいものとかあったしいいか。と朔間先輩に連れられるがままに来ていた。
朔間先輩は誰かに贈り物をするのか、さっきから俺にこれはどうだとか聞いてきているが、俺のセンスより朔間先輩のセンスの方がはるかに良いはずなので聞く意味があるんだろうか、と思う。
自分で決めるより俺みたいな平凡なセンスの持ち主でも他人の意見を聞いたほうが安心するんだろうか。
朔間先輩が選んでいたのは丁度俺が最近欲しいなと思っていたものだった。
朔間先輩の選ぶものは全部良くて、誰に贈るか知らないがとりあえず俺は自分がもらって嬉しいとおもう物に賛同しておいた。
会計をしてくると言ってレジの方へ行った朔間先輩を待つために店から出た。
通りのベンチへ腰掛けていると、ラッピングされた小綺麗な紙袋を持って朔間先輩も店から出てきた。こちらへ来るかと思いきや、誰かに呼び止められている。
朔間先輩に声をかけたのは遠目から見ても圧倒されそうな程スタイルと顔が良い女性だった。
朔間先輩も親しげに話しているところから見ると知り合いなんだろう。さすがは顔が広い朔間先輩だ。
そんなスタイルも顔も良い2人が会話していると通行人の視線を全て集めてしまっている。
まあ、あんな圧倒的オーラというか雰囲気があれば注目を浴びるのも無理ないよなあと思うと同時に、改めて朔間先輩が自分とは次元の違う遠く離れた存在のように感じてしまう。
そうだ、そもそも朔間先輩はスーパースターで、カリスマで、誰からも憧れの目で見られるような人だ。
俺なんかと一緒にいるべきではない人。
そう思わざるを得ない情景だ。
そう考えると、途端に朔間先輩にのこのこと付いて来た自分自身が情けなくなった。
(結局のところ、俺はただの幼なじみっていう存在で、でも朔間先輩からは幼なじみなんていう扱いはされてなくて、もはや奴隷でパシリで…俺ってなんなんだ?)
朔間先輩といると、たまにこんな考えに陥るのも少なくない。だって仕方ない。相手はあの朔間先輩なんだから。
こんなことなら無理にでも断って家で過ごしておけばよかった。
今更遅いけど…。ため息をつきながら朔間先輩を待とうと空を仰ぐ。
空は晴れてるけど俺の心は曇り…、ああ、暇だ。
「…なまえくん?」
近くから俺の名前を呼ぶ声が聞こえた。
『…?あっ』
「久しぶりだね。見かけて嬉しくて声かけちゃったよ。」
座っている俺の隣に腰掛けたのは中学の時に勉強を教えてもらったりと色々お世話になっていた近所のお兄さんだった。
『ユキノさん、お久しぶりです!』
「元気してた?中学の時から見てないから、成長しててびっくり。」
大学生で背も高くてかっこよくて性格も良すぎて、男の俺から見ても惚れ惚れするくらいには爽やかイケメンだ。
朔間先輩といい、このユキノさんといい俺の周りには本当に容姿端麗が多い。
笑いながらポスポスと俺の頭を優しく叩くくせは未だ健在なんだな。中学の頃の感覚が一瞬にして戻った感覚になり、少し照れくさかった。
『ちょ、もう高校生なんで恥ずかしいんですけど…』
「ははっ、俺にとっては全然変わってないからさ。」
本当にお兄ちゃん、という感じで久しぶりに会ってもとても話しやすい。
「どう?学校は。楽しんでる?」
『んー、まあそれなりに、過ごしてます。』
「ははっ、なんだそれ。深く考えず思うまま過ごすのが楽しいぞー。」
わしわしと頭を撫でられて何だか猫になったような気分だ。
気遣うような優しいなで方に目を細めていると、ふと手の重さがなくなった。
朔間先輩が目の前に立っていて、ユキノさんの腕を掴んでいたからだ。
真っ赤な目がユキノさんをちらりと見たあとに、俺を真っ直ぐ捉えた。何を考えているかよく分からない。ただ、その目で見つめられてピタリと体が固まってしまった。
「なまえ、帰るぞ」
すごく刺々しい声色にさっきまで笑って会話してた人とは思えない。
「ん?なまえくんの知り合い?」
『あ…は、はい、学校の…先輩です。』
「そっか。今日は1人じゃなかったんだ。じゃ、俺もそろそろ行こうかな。また教えてほしいこととかあったらいつでも連絡してよ。俺も一緒に遊びたいし。」
ふわりと笑ってユキノさんは立ち上がった。ユキノさんに遊びたいと言われて、俺みたいな奴なんかにもそんなこと言ってくれるなんて、と嬉しくなる。
『っ…ありがとうございます。また、連絡しますね。』
「ん、じゃあまたね」
手を振ってユキノさんを見送ったあと、帰ると行った朔間先輩に従うために立ち上がった。
朔間先輩はというとギロリと俺を睨んでいる。
いきなり視線で人を殺す気かというほどの鋭さで睨まれるもんだから、かなりビビった。
「誰じゃ。」
『え?ユキノさん?』
「誰。どんな関係。」
『え、別に、普通の…』
朔間先輩が何を考えているのか分からないが、ユキノさんは普通のお兄さんなのだ。俺に勉強を教えてくれたりするただの親切なお兄さん。
「普通ってなんだよ。」
何でそんなに詳しく聞いてくるんだ?俺は朔間先輩の交友関係なんて少ししか知らないのに。
さっきの女性だって知らないし、朔間先輩のこといつも知らないなあと考えさせられるばかりだ。
そんな朔間先輩にいつも俺のことばかり知られてちゃ面白くない。
『…朔間先輩には関係ない。です…』
「…チッ、帰る。」
舌打ちをしたあと、朔間先輩はスタスタと歩いて行ってしまった。
え、何でそんなに怒る?
それから、俺は慌てて朔間先輩を追いかけたが、朔間先輩は一切口を開くことはなかった。
そのまま家に帰り、ベッドに寝転んだ俺は今日の出来事のことを思い返した。
何であんなに怒ってたんだろう、何か悪いことしたっけ…?朔間先輩の機嫌が悪かったのは途中からで、俺はユキノさんと話してたから関係ないだろうし、まあ、ユキノさんのこと聞かれて濁した部分は少し悪かったかもしれないけど…。
自分でもしょうもない理由で反抗したという自覚はある。だけど、それであんなに怒るか?
ああ、朔間先輩ってやっぱり分からない。
『魔王様の沸点がわかんねえ〜』
ぐずぐず考えても仕方ないので寝ることにしよう。
明日になったら朔間先輩の機嫌も直ってるといいな、と期待して眠りについた。
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