22
忙しい真緒の手伝いで資料室に行くと、凛月が横たわっていて、びびった。
『うお、何でこんなとこにいんの。』
「んん…静かで寝やすいし、鍵開いてたから入ったー」
『おいおい…外から鍵かけられたら終わりじゃん。気をつけろよ?』
「ふぁぁ、よく寝た…♪なまえは何してんの?」
『俺は真緒の手伝い。』
「ふーん。…ねぇ、なまえ」
『ん?』
「兄者から何かもらった?」
『え?』
朔間先輩からもらったものはとくにない。というか、朔間先輩とは話してないのだ。
『何も…。てか、なんか怒ってるのか話してないし…』
苦笑いしながら肩をすくめる。
「じゃあ、俺の勘違いかなあ。」
『何が?』
「んー、家にラッピングされたものが置いてあってさあ。それ見て、俺思い出したわけ♪そういえばそろそろなまえの誕生日だなーって。」
『あー、確かに』
自分でもそういえば…と気づいた。
あれ、でも…
『で、何で朔間先輩?俺の誕生日と朔間先輩は関係ないだろ?』
「…ほんっとなまえって鈍いよねえ。たまにイライラする」
笑顔でそんなこと言われても…訝しげに首を傾ける俺に凛月は気だるそうに言った。
「俺は兄者がなまえに誕生日プレゼントを渡すつもりなんじゃないかって思ってるわけ。」
『…え、いや、朔間先輩が…?』
「そう。」
あの魔王様が?俺に?誕生日プレゼントを?
今までまともなものもらったことないのに?
誕生日プレゼントなんて、小さい頃嫌がる俺に無理やりイモムシを手に載せてきて、誕生日プレゼントだなんて言ってのけたあの俺様が?
ありえない。
『いやいやいや、ありえん。絶対ないな。』
「そうかなあ」
『くれるとしたら、多分イモムシか食べかけのカツサンドくらいな気がする…』
「ふふ、そういやイモムシ片手に泣きまくってるなまえ思い出した。」
楽しそうにニヤニヤと笑う凛月にやめてくれと俺は目で訴える。
『黒歴史だから思い出すなよー…』
資料室での用事を終えた俺はそのまま凛月を残して出た。凛月はまだ寝るみたいだ。
そのまま、真緒の元に行き手伝いを終えてくたくたになり、とにかくすごく眠かった。
教室に鞄を取りにいき、とにかく眠たくて図書室に避難することにした。なぜ図書室かって?
静かだからだ。俺も凛月のことを言えないな、なんて思いながら図書室に入った。
よし、人もいないし最適だ。とにかく今すぐにこの睡魔をどうにかしたい。本を読むわけでもなく机に突っ伏すと一気に眠気がきて意識を落とした。
気持ちいい睡眠に浸っていると、ふと側に人がいる感覚がした。カサ、と音がしたかと思うと人の手が頭に触れた感触がする。
その手つきはとても優しくて、髪を撫でるように大きな手のひらに安心感を覚える。まるで飼い主に撫でられている犬のような気分だ。
気持ちよくてまた意識が遠のきそうになったとき、嗅いだことのある匂いがした。この匂いは…朔間先輩? 朔間先輩がここにいるわけないだろうに。
現実なのか夢なのか少し気になったが、撫でられる手によって目を覚ますことはなくまた夢の世界に戻った。
目が覚めて、顔を上げると結構寝ていたみたいで1時間は軽く過ぎていた。
それにしてもリアルな夢だった。まだ撫でられた感触が頭に残っている。
『ふう、帰るか』
まだ完全に覚めてなくて気だるい体を起こして図書室の出口に向かう。
歩いていると本棚の隙間から人影が見えて、気になって足を止めた。
ひょこっと顔をのぞかせてみれば、そこにいたのは3年の青葉先輩だった。
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