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それから俺は用があるからと理由をつけて打ち上げに出ることなく、家に帰った。

ライブは大成功で終わったあとの朔間先輩たちの顔は幸せそうで、あれこそステージ上にいるべき人のものだった。

皆キラキラしていて、お客さんも朔間先輩たちも皆輝いてた。

その中で俺だけが、俺1人だけが浮かない顔でステージを見てた。

手伝ったライブが成功して嬉しいはずなのに、UNDEADの皆の笑顔を見て嬉しいはずなのに、朔間先輩を見るとなぜか心の底から喜べなくて逃げるように帰ってきた。

お風呂に浸かりながら、ライブのことを思い浮かべる。

ぼーっと湯船を見つめながら考えるのはさっきから朔間先輩のことばかり。

こんなこと今までなかったのに…。どうしたんだ俺。なんで心から喜べないんだろう…。

『最悪じゃん、俺…。』

バシャッと顔にお湯をかけてスッキリさせようとしても、顔が濡れただけで全然スッキリしなかった。

『はぁ、出よ…。』

湯船から出て、体を拭き、トランクスを手に取り履いた。が、何か違和感を感じて下を見ると反対だった。

…重症すぎる…。

またため息をついてトランクスを履き直した。
タオルで髪をふきながら部屋に入ってベッドに倒れ込む。

このまま、寝て起きたら全部スッキリしてたらいいのにな。
そう思って毛布の中に潜り込んで丸まっていると部屋のドアが開く音がした。

それから数歩、足音が聞こえたかと思うといきなり体が押しつぶされ、カエルが潰れたような声が出る。

『ぐえっ…』
「何じゃ、色気がないのう。」
『朔間先輩?!何でこんなとこに…』
いるはずのにない人がのしかかってきていて、びっくりした。
何でここにいるんだ。だってまだ打ち上げの真っ最中のはずなのに。

「勝手に帰ったやつがいるからのう。お仕置きしに来てやったのじゃ。」
『…用事があったんで。』
「ふうん?なまえのお母さんはすぐ帰ってきたと言うておったが?」
『…別に俺、出なくてもいいじゃないですか。』
「何をそんなに拗ねておるんじゃ?」
『拗ねてない。』
「なら、我輩の目を見て話せ。」
『…。』

見れるわけないじゃないですか。あんたが原因でこんな訳わかんなくなってるっていうのに。

いつまでも目を合わさず毛布にくるまっている俺にイラついたのか毛布を剥ぎ取ってきた。

それでも横になって丸まっている俺に朔間先輩は俺の脇腹をつかむ。
反射でビクッと体が震えたが、俺は頑なに丸まる。

『…毛布返してください。』
「返してほしいならこっち見ろ。」

覆いかぶさるようにして俺の顔を覗き込んでくる朔間先輩になぜかドキドキして顔が赤くなってきたのがわかった。
顔を見られないように両手で顔を隠した。

『…い、やです。』

「だーかーら、なまえに拒否権はないって言ってんだろーが。」

グイッと強い力で無理やり手をどけられて朔間先輩の顔が視界に入ってきた。

カカカッとさらに熱くなる頬の冷やし方を俺は知らない。

ニヤリと笑っていた朔間先輩が俺の顔をみた瞬間、少し目を見開いて見下ろしていたのがまた俺の鼓動を早くさせた。

いつもの朔間先輩なのに。何で今はこんなに胸が苦しくて、熱いんだろうか。

お風呂上がりなのに少し汗ばんだ背中が気持ち悪かった。

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