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UNDEADのメンバーでも関係者でも何でもないけど、俺は朔間先輩たちのレッスンをぼーっと眺めている。
いつもの呼び出しを受けて朔間先輩の言いなりになっていたところに皆がやってきて、そのままの流れでレッスンが始まってしまったせいだ。
転校生や羽風先輩、大神やアドニスが来た時、俺は去ろうとしたのに朔間先輩は首根っこ掴んで呼び止めるし、皆は何も言わないしでそのまま居座る形に。
さすが歌上手いなぁとか、演奏もダンスもすげぇなー…と思いながら眺めている。
朔間先輩、やっぱすごいな…。
ただのレッスンなのにやっぱり才能溢れてる人は違うんだなあとひしひしと肌に伝わってくるすごさに転校生と一緒に圧倒されていた。
もちろん他のメンバーもすごいんだけど、いつも朔間先輩にパシられている俺としてはやっぱこの人すげえな…というのが率直な感想だった。
当たりは強いし、乱暴だし、パシるし、俺にとって良いことはあまりないけど朔間先輩は小さい頃から年上のお兄ちゃん…みたいな感じだったから。
いつも見ていた背中は大きくて憧れの気持ちはあった。いくら朔間先輩が乱暴でも、俺様でもそこは憧れているところもあったんだ。
だから、こうして見るとやっぱりすごいな…遠いな…と思う。
この間の…ライブみたいに距離を感じる。
あの時のモヤモヤした気持ちが完全に消えたわけじゃない。見ないように、考えないようにしてるだけ。
眺めていると一旦休憩に入って、羽風先輩が「疲れた〜転校生ちゃん、もう帰らない?美味しいとこいこ?」なんていつもの調子で言っている。
完全無視する転校生を尻目に見ていると羽風先輩がこっちに来た。
「い〜な〜みょうじくんは。見てるだけじゃん。」
『羽風先輩お疲れ様です、高みの見物です。』
「はは、朔間さんにそれ言ってみてよ。」
『無理です、死にます。絶対死にます。 俺明日学校来れないです。』
「あははっ、だろうね〜」
羽風先輩は冗談が通じるからまだ話せる。個性豊かなこの学院では冗談通じない人もいっぱいいるからな…。
「そういえばこの間のライブありがとう、みょうじくんが色々手伝ってくれたって聞いたよ」
『全然!俺大したことしてないですよ。ほんとあのライブすごかったです。すごく盛り上がってましたもんね。羽風先輩のファンサに皆キャーキャー…正直熱気で倒れそうでしたよ』
「でしょ?俺も本気出せばちゃんと出来る子なんだよね♪」
『ソウデスネ…。』
「朔間さんもすごかったけどね〜。持ってかれそうなぐらい、ほんとあの人の力量が計り知れないよね」
肩を竦めながら話す羽風先輩に確かにと頷けた。
『確かに…すごかったですね…。ああいうとこ見ると…何か別世界だなーっていうか遥か遠い人なんだなって実感しますね』
ははは、と笑いながらあの時の朔間先輩を思い出していた。あれは俺と朔間先輩の距離を思い知らされた瞬間だった。
「え?本気で言ってる?」
『え?もちろん…。俺様何様ですけど…やっぱ朔間先輩は基本的に遠い人ですよ…。朔間先輩の考えてることわかんないし。』
「でも1番近いのはみょうじくんじゃない?」
『いやいや、俺はただの奴隷っすよ。もっと凛月とか、大神とか…転校生の方が近いんじゃないんですかね』
「…そうかなぁ。」
俺をじっと見て、首を傾げる羽風先輩に俺もつられて首を傾けた。
『……?』
「わ、もう休憩終わる。」
『あ、ああ…頑張ってくださいー…』
どうしたんだろう。納得いかないような顔でレッスンに戻っていった羽風先輩。
間違ったこと言っただろうか。
朔間先輩は俺とは近くなくて、遠いということ。
壁があるのはずっと昔のその前から知ってる。
超えられない壁。最初から朔間先輩とは同じ土台に立てないのはわかってる。
レッスンを再開した朔間先輩を見てますますその思いは強くなった。
何か見てても息苦しいだけだ…。
転校生に用があるからと告げて、レッスンに集中している皆を気遣ってそそくさと部屋を出る。
俺が、朔間先輩みたいに何でもできて完璧なら、まだこんな気持ちは生まれなかったのかもしれないな、と廊下を1人で歩きながら思うのだった。
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