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まだ朔間先輩は怒ってるだろうか。
夜寝る前のベッドの中で、もぞもぞと動いて横向きになる。
今日はあれからずっと機嫌が悪くて口すら聞いてくれなかった。
まぁ、俺もよく考えるとせっかくプレゼントをくれた本人に対して似合わないと言ったのは良くなかったな…と少し反省した。
…明日は購買で人気のすぐになくなってしまうバーガーを買って朔間先輩にあげよう。そしたら機嫌も良くなるかもしれない。
よし、明日は死にものぐるいで購買に駆け込むぞ。と意気込んで眠りについた。
***
『うわぁ、遅れたっ!やばい残ってんのかな…』
よりにもよって4時間目の授業が終了のチャイムがなっても話し続ける先生で最悪なことに5分出遅れた。
駆けつけた購買にはすでに大勢の生徒で溢れている。
『やべ…』
人気バーガー残ってますように!と祈って戦闘態勢で突入した。
揉まれに揉まれて、ギリギリ人気バーガーをゲット出来た俺は購買から抜け出てほっと息をついた。
『よかったぁ…。』
これで朔間先輩も喜んでくれるかも。
出来たての人気バーガーが入ったビニール袋を手に部室に急ぎ足で向かった。
軽音部の部室が見えてきて、まだ怒ってたらどうしようと思いながらそっとドアを開けた。
『あの〜…朔間先輩…?』
声を掛けてみても反応がない。
室内には誰もいなくて、棺桶も開け放たれたままだ。
朔間先輩はここにはいないらしい。
探すしかないな、これは…。
手当り次第探して、朔間先輩を見てないか聞くか。
廊下に出て俺は走り出した。
まずは教室。3階、2階、1階とぐるりと回ってみたけどいない。
渡り廊下の方も行ってみようと足を向けたところで前方に朔間先輩の後ろ姿が見えた。
『あ、みっけ。』
駆け寄って後ろから声をかけた。
『朔間先輩、』
敢えていつものトーンで話しかけると朔間先輩が俺に気づいて振り向いた。
「………。」
冷めた目。無表情。無言で俺を見下ろす姿がかなり怖い。
ああ…、まだ怒ってるわこれ…。
「……なんじゃ?」
『いや…えっと…お昼どうするかなって…。あ、俺購買でバーガー「別にメールしとらんし」』
購買でバーガー買ってきたんですよって言おうとしたら冷たい声が帰ってきた。
確かに、いつもなら来る朔間先輩からのメールは今日はなかった。
『…ぁあ…そう、ですね…』
心にひやりとしたものが染み渡る。
その時後ろから大神の声が入ってきた。
「みょうじも食堂かよ?3人なら早く行かねーと席取れね〜し」
え?と後ろを振り向くと大神が立っていた。
話についていけず首を傾げた。
「吸血鬼ヤロ〜が今日は食堂で食べるぞって連絡入れてきたから、こうして来てやったんだ。みょうじもだろ?」
ふふんと腕組みをして肉食うぞと言う大神に俺はすぐに状況を把握した。
俺には何の連絡も来てないし、多分朔間先輩は大神と2人で食べる予定なんだろう。
さっきのメールしてないだろという返事が答えだ。
『…あ、いや俺は別で食べるものあるから、』
バーガーの袋を後ろに隠して手を振った。
「ふーん、そうかよ。」
大神は納得したように頷いた。
「わんこ、行くぞい。」
朔間先輩は俺を見ずに歩き始めた。
「わんこじゃねぇ!俺は孤高の「リードが必要じゃのう」はぁっ!?」
くつくつと笑う朔間先輩とそれに続く大神の後ろ姿を見送って、俺は渡り廊下にぽつんと立っていた。
『………。』
朔間先輩と大神の姿は消えても歩いていった方向から目を離せなかった。
その場に立ち尽くしたまま、かなりショックを受けている自分がいた。
何がショックなのか、よくわからないけど朔間先輩の冷たい視線と、大神との楽しそうな姿と去っていく後ろ姿。
俺は手に持っている人気バーガーが入った袋を握りしめて、とぼとぼとした足取りで自分の教室に帰った。
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