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「おい、そんだけしか食べないのかよ。」
「ほっとけよ…。」
俺の弁当箱を見て大神がケッと、笑った。
「だからそんなひょろっちいんだな。男なら鍛えろよ」
「…俺の勝手だろ…」
俺は軽音部の部室で昼飯を食べていた。
羽風に朔間零のところに行けと言われて無視していたら強制連行されたわけだ。大神に。
「薫くんとの喧嘩はもう仲直り出来たのかえ?」
「…喧嘩なんかしてねぇし。」
「薫くんも素直じゃないところがあるからのう。言葉の裏にちゃんと相手を思って言ってくれてるところもあるんじゃよ。」
「…別に…正論言われただけだ。」
また思い出した。ずっと頭にこびりついているあの言葉。間違ってはいないあの言葉にいつも胸は痛む。
目の前にいるこの人が嫌いなら、居るべきじゃないこの場所。なのに、俺はここでこうやって弁当を食べている。
居るべきじゃないのはわかってる。
箸を持つ手が止まって、弁当の中身を見下ろした。
もう食べる気にはなれなくてそのまま弁当箱に蓋をした。
「食べないのかよ。」
「…もう腹いっぱいになった。」
弁当箱を収めていると、口の中にいきなりパンを突っ込まれた。見ると朔間零が自分が食べていたパンをちぎっていた。
「うぐっ!」
「食べんと倒れるじゃろう?」
無理やり口の中に物を入れられるというのは全くもって不快だ。動物園でふれあいコーナーの動物に餌をやるみたいに口元に持ってくる朔間零に顔を顰めた。
「死にそうな雛鳥に餌をやってる気分じゃのう」
食べかけのピーナッツバターパンは甘くてクセになってしまいそうだった。
少しだけ、この場所が居やすいと思ったのはこの甘さに騙されてしまったせいかもしれない。
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「UNDEADがライブをする…?」
昼休みの後、転校生に声をかけられて言われた内容に眉を潜めた。
転校生はTrickstarがDDDで勝利してからものすごく忙しいらしい。わざわざ3年の教室まで来て伝えた内容は俺のそのUNDEADのライブ準備を一緒に手伝ってくれないか、ということだった。
正直、俺はDDDすらも見てない。話で結末を聞いただけで実際には見てもいない。全校生徒が注目する中、俺は必死で目を逸らして聞かないように見ないようにしていた。
もうアイドルたちのライブなんてもの…見たくなかったからだ。
たとえそれがアイツが、朔間零がいないライブだとしても、アイドルというだけで唇を噛み締めたくなるような気持ちになって、見たくないのが正直なところだった。
だから必死で避けてきたのに、UNDEADの、アイツが出るライブの手伝いなんか出来るはずがない。
もう…見たくないんだよ。思い出したくない。関わりたくない。
結局は自分が可愛いだけだ、己を守って傷つきたくない俺は断るの一択しかない。
「…ご、ごめんけど…俺ライブとかよくわからないし、色々…あの、予定とか入ってるから…ごめん…。」
転校生の目は見れなかった。廊下の床を見ながら謝って断ると転校生は明らかに残念そうに肩を落としていた。
ごめんとしか言いようがない。
帰っていく転校生を見ながら、心の中ではほっとしていた。