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なまえ、学校行く時間よ?
「…休む…。」
扉越しに聞こえてくる母親のため息は聞こえないふりをした。
朝日から逃げるように布団に潜り込んで無理やり目を瞑ったけど眠たくならなくて、また目を開けた。
頭の中でずっと繰り返し流れる記憶。
昨日見たステージに立つ4人の姿が頭から離れなくて正直なところあまり眠れなかった。
すぐに朝は来て、いつもなら制服を来て朝ご飯を食べて学校に行く時間。
最初は朔間零に強制されて嫌々行っていたけど、最近ではそこまで嫌にはなってなかった。
何より、俺を知る人間がいないことと個性的な人間ばかりで今までの教室とは別世界だと思ったからだ。
青葉も仁兎も話しやすいし、鬼龍もたまに裁縫を教えてくれる。最初は怖くてなかなか目を見れなかったけど話すと良い奴なんだというのはすぐにわかった。
だから、別に学校は…嫌じゃなくなっていた。
それなのに…昨日見たあの光景に俺は学校に行く気が失せていた。
目の前で見てしまったあの姿。
思い出したくなかったのに、過去の自分と同じように俺はまた朔間零に魅入っていた。
手足まで痺れる感覚に心臓がドクドク大きな音を出して興奮していた。
かっこいい、と本気で思っていた自分を思い出して泣きそうになった。
またあの姿を見ることができて嬉しいという気持ちがなかったと言えば嘘になる。
それが、すごく腹立たしい。
俺はあいつに傷つけられて底辺まで落ちたのに、また輝くあいつを見て見惚れるなんて認めたくない。
信じたくない。
だから…学校に行きたくない。
あいつを見たら、次はどんな気持ちになってしまうのか分からなくて怖い。
あいつを憎む俺でいたいんだ。絶対許さないと決めた心を壊したくない。
「……はぁ」
ぐるりと寝返りを打って枕元にある携帯を見た。
あの後…ライブが終わったあと転校生を無視して帰ってしまったし俺の印象最悪になっただろうな。
まぁ…いいか…もう学校行かないし…。
たった数ヶ月だったけど…すぐに皆もみょうじなまえのことなんて忘れるだろう。
…ああ、転校生や葵に無理やり連れていかれる前に手を振りほどいて死ぬ気で逃げればよかった。
そうしていれば今頃頭の中はライブの光景で埋め尽くされることはなかったのに。
最悪だ。
俺は今度こそ無理やり目を瞑って意識を落とした。
***
うるさい。何かが枕元で鳴っている。
眠りを妨げられて目を細めながら震える携帯を取った。
画面を見て寝ぼけていた頭が一気に覚めた。
着信画面には朔間零の文字。心臓がバクバクなり始めて、携帯を片手に持ったまま固まった。電話になんて出るわけないのに。
携帯の時間を確認するともうお昼だった。
携帯がなりやむまで待ってから、すぐに携帯の電源を落とした。これならもう誰がかけてきてもわからない。
早く、記憶から消し去って、ステージの上で輝いていたあいつなんか忘れないと。