04

「行ってしまったのう…。」

手から飛んでいった豆大福。地面に転がっているそれを拾い上げた。

「覚えていないわけではないんじゃが…。ふむ、ひと仕事できたのう…。」

煌々と照る月明かりに目を細めて、公園の出口を見やった。

今にも壊れてしまいそうな、まるで硝子のような少年は見たことがあった。

そう、見たのは照れたように真っ赤になって見上げてくる顔とそれから悲壮感溢れて青白くなった彼の顔。

記憶にないわけではない。ただこうやってまさか出会うとは思わなかったのだ。

そして彼が吐いて行った言葉。

その言葉をもう一度、頭の中で再生させながら朔間零も公園を後にした。




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目覚めると8時前だった。いつもは12時までぐっすり寝ているのに。
眠れなくて夜中に何度も目が覚めては無理やり目を閉じる。その繰り返し。

眠れない原因が何なのか、全く心当たりがないわけではなかった。だって、昨日のことが頭の中でぐるぐると回っているから。

「だりぃ…。最悪。」

何で俺がこんなしんどい思いをしないといけないんだよ。悪いのはアイツだろ。

俺がこんな思いをする必要なんて微塵もないはずたのに。

寝るに寝れず覚めてしまったため、体を起こした。

とりあえず飯でも食うか。

寝癖がついた頭のまま、部屋を出てリビングに降りた。こんな時間に起きてくる俺が珍しいのか母親が驚いていた。

朝ごはんを腹におさめて、また部屋に戻る。

昨日は外に出たせいでアイツとあってしまったが俺が引きこもりであることは変わらない。

いつも通り部屋で1日過ごすだけだ。

目が覚めてもなお、昨日の夜のことが頭の中でチラついていて正直ウザったい。

気を紛らすためにも勉強しようと思い、机に向かった。

シャーペンを手にとってノートを開いていると携帯が振動した。

俺に連絡をとる人間なんて家族くらいしかいない。滅多に震えることのない携帯を見た。

メールが1件。中を見る。
送信者は連絡先に登録されていない見慣れないアドレスだ。
迷惑メールかと思ったが、写真が1枚貼り付けられているだけだった。色とりどりの花が咲いているどこかの庭園らしき写真。

「なにこれ。」

意味がわからない。誰かが間違えて送ったメールがたまたま俺に来ただけだろう。

気を取り直して問題集を広げる。
また携帯が震えた。次はなんだ。

またさっきと同じアドレスだ。

今度は猫が芝生の上で寝転がっている写真。
明るい太陽の光を浴びて気持ちよさそうな顔をしている。

ちらりと部屋の窓を見た。こちらも太陽の光が射し込んでいる。カーテンをしているため部屋は薄暗いけど。

ああ、外は晴天か…。

知らないアドレスから来た写真だけのメールに返信するわけがないけれど、写真に映る外の世界に少しだけ後ろめたさを感じた。