すれちがう

 きりきりと身を絞めるような冷たい風が制服の合間から私を攻め立てる。動きづらいと文句を言う三木を無視して背中に張りついて暖をとる。ああぬくい。昇降口でこの寒さなら、外に出たらどうなるんだろう。私死ぬかも。


「桜子、いい加減重い」
「やだやだ、寒い!」


 周りから変な目で見られるけど、好奇の目に晒されるより、外気に晒される方が嫌だから気にしない。三木は顔を真っ赤にして離れろと喚く。あと一ヶ月かそこらで四月になるからそれまでの辛抱だよ。


「お前なぁ、少しは僕に頼らず生活できないのか」
「朝は自分で起きてるし料理だってそこそこできるもん」
「そういう問題じゃない」

 全く、桜子将来行き遅れるんじゃないか?と冗談混じりに言われる。失礼なやつね。
 そういえば職員室に提出しに行かなければいけないものがあった。三木を待たせて(寒いから早く行けと文句を言うから軽く足を蹴っ飛ばす)職員室へ向かう。職員室はコートもマフラーも脱がなきゃいけないから全く地獄だ。先生と軽く言葉を交わしてから提出して職員室を出る。去り際にやけにキラキラした空気を振りまく人とすれ違う。なんなの今の人。髪の毛がさらってなっていい匂いがした。なんとなく見覚えがある、かもしれない。
 考えながらマフラーを巻いていると、痺れを切らせたのか三木が迎えに来た。


「提出するだけで何分かかるんだ!」
「あーごめんごめん」


 キラキラの彼のことは頭の隅に追いやり、眉を寄せて睨んでくる三木に苦笑する。私が三木なしじゃ生活できないなんて言うけど、三木だって私なしじゃ生きられないんじゃないの?さっさと彼女でも作って私離れしたほうがいいんじゃないかな。まぁ、ユリコとかサチコとか言ってるうちは無理そうだけど。
 三木が睨み付けていたのが私の後ろにいた滝夜叉丸だなんて、その頃の私には気がつかなかった。滝夜叉丸が、私を見ていたことにも。





すれちがう
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2011/09/27 如月アスカ