魔女は複雑

ジリジリと否応なしに肌を焼かれるこの季節。
太陽は燦燦と輝き、私たちを照らす。本当やめてほしい。陰に居たい人だっているのになんという強引さだろうか。

皆さんお気づきになられましたでしょうか。そうなんですもう夏です。
あれから友達作りを頑張ろうとはしました。でもだめだったんです。いやいや、クラスの子とは普通に会話はします。必要があればだけれども。
何故かはよくわからないけれども、クラスの皆にとって私は少し腫れ物扱いらしい。
北海道から一人来て一人暮らしをしているからだろうか……待ってよだったらむしろ構ってよ……

なんというか、さすがにここまで来て「私魔女です!魔女なんです!」なんて騒ぐのは一応常識的にまずいとは思った。
人の生死や殺人というものに関わることは絶対にしてはならない。けれども自分が魔女だということはそこまで隠しているわけでもない。
何かあれば記憶を消してしまえるからだ。
便利でしょう?多分私は魔女じゃなくなったらそこらへんで野垂れ死にすると思う。

さてさて、夏を迎えて尚友達が居ないわけですが。
夏を迎えたと言っても夏休みはまだなわけで。早く来ないかな夏休み……学校がつらい…

昼ご飯を食べ終えてとりあえず人が居なさそうな場所へ移動するためぷらぷらと廊下を歩く。皆暑そうですね、大変ですね。
暑さに顔を歪める人やうちわで必死に扇ぐ人、大胆にもワイシャツを脱いでしまっている男子…様々である。
そんな人達の間を涼しい顔をして歩いている。
実際涼しいからな。魔法というのはなんて便利なんだろう、これなかったら私は今頃干からびてる。
全身に纏った柔らかい冷気に感謝した。そうしたのは自分なんだけど。

「けど日差しが眩しいことには変わりないよねー………ッぎゃー!」

廊下の角を曲がると思い切り人にぶつかってしまった。顔面が痛い。
そしてぶつかった方はとても優しい人のようで、私が倒れないように肩を掴んでくれた。

「大丈夫か?」

そう声をかけられて見上げれば、半端ねえイケメンが居た。うわその口元のホクロやばいっすね

「すみません〜……ありがとうございます」

すると、銀髪のその彼は不思議な顔をする。…おや?言葉が通じなかったのだろうか……?いやいや私は日本生まれ日本育ち…
じっと人の顔を見ながら眉間に皺を刻んでいく彼は、それでもイケメンだった。

「………えっと、じゃあすいません…失礼します…」

そっと離れ彼の横を通り過ぎる……はずだった。
離れたばかりなのに後ろからガシッと腕を掴まれる。驚いて振り返ると、何故だか目を丸くしていて。
頭にハテナをたくさん飛ばしながら彼の反応を待った。

「………お前さん…」
「ハイ……」
「涼しいな……?」

私が涼しいという日本語は普通におかしい。普通ならば、おかしい。だがしかし、一般人にしてみればそれ以外の言葉は見つからないはずだろう。

彼が私に触れたことで、私が纏っていた冷気が彼にも移ったようだ。

何かよく分からないけどダッシュで逃げた。