魔女は出会う

ダッシュダッシュダッシュ。
屋上へ出てしまおうと思いひたすら屋上を目指す。
何故だろう、あんなにも周りに魔女だと認識してほしかったのに、いざバレかけると妙に焦る。というか男子は却下だ却下。私は女の子と仲を深めたい。何であれが女の子ではなかったのだ。

一気に階段を駆け上がり勢い余って少しドアにぶつかった。さあ、とドアノブに手をかけた瞬間背後から二本の腕が伸びてきてドアが大きな音を立てた。左右を見てみれば後ろから伸びる腕が一本ずつ……壁ドン的な…わお……

すぐ後ろから小刻みな息が聞こえて、距離の近さに緊張した。
私が固まっていると、ドアについた一本の腕が私の腹へ回る。何してんだこの人?
人の腹に腕を回しさらに密着する。肩口に彼の顎が乗ったようだ、吐息がね?やめて?

「あー……………涼しい……」

でしょうな……めっちゃ冷気移ってますからね…

「何でお前さんに触るとこうも涼しいんかのう」

え?あなたどこ出身でいらっしゃるの?

「答えてくれんの?」

耳元で喋らないでいただきたい。なんっだよこのイケメンボイスこんなの北海道になかったぞ……都会すげえ
答えるまで離さないと言いたげに腹に回された腕の力が強まった。言ってもいいけど信じてくれんのかな…これでまた中二病扱いされたら身投げする……飛べるけど…

「私魔女なので…暑いからちょっと温度調節を……」

ぴたり、と彼が動かなくなった。
うわもうこれ確定だよ、またここに来ても魔女ってあだ名つけられんだよこれ。終わった私の人生終わった。えー記憶消しちゃう?なかったことにするか…

「「「は?」」」

そんなことを考えていると、すぐ後ろに居る彼の声に混じって、何故か別の人の声が聞こえた。
人が増えている〜

「っつーか仁王!何こんなとこで女子襲ってんだよぃ!」
「うわー大胆っスね仁王さん…」

階段を上ってくる足音がいち、に……さん…三人か…

「この子誰?お前は何でそんなひっついてんの?彼女か?」

横から私の顔を覗き込んできた彼は真っ赤な髪をしていた。うわおあなたもイケメンでいらっしゃる。

「さっきの魔女って何?」

赤い彼の後ろからまた知らない顔が現れる。お……ちょっと髪が…うねってますね…

「えっと………魔女は魔女…私魔女……」

私の答えに赤い彼と髪がうねった彼はお互い顔を見合わせて、残念そうな目を向けてきた。ちくしょうお前らもかそうか。

「仁王この子大丈夫か…?もしかしてお前何か弱味握られたの?」
「違う。多分本当に魔女じゃこの子」
「お前暑さでやられたのか?今日もずっとぐったりしてたし…………今は元気そうだな…」
「涼しいからな」
「はぁ?この蒸し暑さで何が涼しいだよ…さっきまで死にそうな顔してたくせに!何で今そんな涼しそうな顔してんだよぃ!」
「実際涼しいからのう……な?」

同意を求めるように彼の顔が私の横顔にぴったりとくっつく。近すぎではないだろうか。そんなにくっつかなくてもどっか触れてれば移るのに。
訳が分からないと言いたげな赤い彼に、手を差し出す。もう説明するよりそのほうが早いからだ。

赤い彼は困惑しながらも、差し出した手を握ってくれた。途端に目を大きく見開く。

「………涼しい…」
「えぇ!?」

赤い彼の言葉にうねった髪の彼が声を上げた。

「どうも、魔女です」

それが彼らとの出会いだった。