丸井先輩達に連れられ屋上へ出ると、先客が居たようだった。
一人は知っている。ジャッカル先輩だ。
あとの四人は誰だ、一人半端なく厳つい人が居る……えあれ先生?いや待って制服じゃんあれ…………あっ……留年…………?嘘だろ私そんなデリケートな事情抱えた人と接する自信無いんだけど……
「お前さん、今失礼なこと考えとるじゃろ」
吃驚して隣を見上げると、何とも面白そうな顔をした仁王先輩がこちらを見下していた。
「え!?私そんなに顔に出てました!?」
「んー、顔というか、雰囲気」
「うわー仁王先輩に隠し事とか出来なさそうで怖い」
私がそう言えば仁王先輩はへらりと笑って私の頭に手を乗せた。
「その子が、赤也達が話してた子かい?」
先客が集まる場所に近づくと、耳障りの良い声が届く。
声を発した人を見てみれば、それはとても綺麗で、思わず見惚れてしまった。
女神だ、女神が居る。待て待てマテ茶。日差しも眩しいしその人も眩しいのだが。
思わず眩しそうに目を細めると、仁王先輩が隣で「アホ」と呟き何故か笑い始めた。なんでだ。
「こんにちは…」
「緊張してるの?大丈夫だよ」
女神は眉尻を下げ朗らかに微笑む。アッやめて眩しさ倍増だから、勘弁して。
「赤也から話は聞いてるよ。ちょっと魔女っていうのはよく分からないんだけど…」
「一年の猫宮理久って言います……えっと、魔女です」
「というと……?」
「えーっと……」
女神を前に緊張で口ごもってしまう。どうしようどうしようと考えながら、片足で地面を鳴らした。
途端にそこは一面の花畑と化す。さっきまで無骨なコンクリートの地面だった場所が、色とりどりの鮮やかな花畑になったのだ。
自然に吹く風に花々は揺られ、瑞々しい香りが舞う。
女神と言ったら花だろ。
「………すごいね…」
女神は呆然として、屋上の端まで広がる花畑を眺めている。
「つーか何で花畑!?」
同じように暫く呆然としていた丸井先輩が声を上げた。
「いや、何か綺麗な人居るから綺麗な人と言えば花かなって…」
「綺麗な人って幸村くんのことか!?男だからな!?」
「なんですって!!!?!?」
丸井先輩の爆弾発言にもう一度よくよく女神を見てみれば、男子制服を着ていた。嘘でしょマジだよ
「あとテニス部の部長な」
「ぎゃー!」
部長ってことは一番強いの……ええ?あの綺麗な女神が………待って隣の屈強な侍みたいな人よりも?強いの?ゲジュタルト崩壊しかけているよ私は。
私は混乱しながらもう一度地面を鳴らして、元の屋上へ戻した。
「えっと……その…………何かお困りごとがあれば是非!!!」
女神改め幸村先輩の手を取ればぎゅっと握ってそう叫んでしまった。
「俺らん時と態度ちげーし!!」
切原先輩がちょっとなんかうるさいけど気にしない。
手を取られた幸村先輩は少し困ったように笑って、ありがとうと言ってくれた。
はい女神!!!!!!