ひとしきり遊んで陸へ上がると、遠くが何やら騒がしい。
目を凝らして見てみる。どうやらうちと同じように、イケメン集団が居るようだった。おお、すげーな。先輩達にも引けを取らない……
「うわっ!」
突然、切原先輩が声を上げた。どうしたんだと先輩に目を向ければ、どこか複雑そうな表情をしている。
「あれって……氷帝じゃねぇ?」
氷帝?何?丸井先輩は少し驚いた顔をして、騒ぎの中心に見入っていた。
「東京の学校じゃよ。しかもあそこに居るんは俺らと同じテニス部……奇遇じゃのう」
仁王先輩がそう教えてくれて、私はへえと声を出した。東京の……しかもテニス部ってことは顔見知りってこと?
ていうか……もしかしなくても関わったりする?今から「よう!」とか行っちゃったりする?
と思ってたら、あちらの一人が何故かこっちに気付いてしまったようで、おーいと手を振り上げてこちらに向かってくる。マジかよ
「あれは…氷帝かい?」
「そうみたいですね…なんとも奇遇な」
幸村先輩は驚きつつも雰囲気は嬉しそうで、なかなか良好な関係なのだろう。柳生先輩も朗らかに微笑み、こちらに向かってくる彼らを待っている。
「私向こうで遊んでていいですか?」
「だめ」
極々自然と声をかければ丸井先輩にがしっと手首を掴まれた。
「私人見知りなんですよやだ無理」
「大丈夫だって、悪いやつらじゃねーから」
「いやいや……あ、じゃあジャッカル先輩!ジャッカル先輩一緒に遊ぼ!砂で遊ぼ!あっちで!」
「勝手にジャッカル連れてくな!俺に許可を請え!」
「こういう時ばっかり!!」
私とジャッカル先輩の間に立ち、通せんぼする丸井先輩に対して顔を顰めて頬を膨らませた。知ってるんだぞ!丸井先輩いっつもジャッカル先輩に対して扱いが雑だって!こんな時ばっかり都合がいい!!
「よう、奇遇じゃねーの」
すぐ近くから、やけに色気のある低音ボイスが響いた。なんだこのいい声はと思い振り返れば、ハーフですか?と聞きたくなるようなイケメンが居った。あーハイハイもうテニス部凄すぎかよ無理。
テニス部ってイケメンしか入れんの?これ並みのイケメンしか入れんの?ハードル高すぎやん
先程手を振っていた人とは違う、やけに大人びた人だ。
「まさか氷帝も来ているとはね。久しぶりだね跡部」
「元気そうじゃねーの幸村。うちの連中が海行くっつーからお守だよ」
「跡部がお守か」
幸村先輩はくすくすと笑って、会えたことに喜んでいる。私は若干萎縮してしまって、こそこそとジャッカル先輩の後ろに隠れた。
そんな私にイケメンが気付き、少し眉を顰める。
「誰だ?誰かの妹か?」
「ふふ、違うよ。学校の後輩」
「珍しいじゃねーの、お前らが女連れてるなんて」
「ほら自己紹介〜猫宮〜」
親に促されるかのように丸井先輩に引っ張り出され、ぐいぐいと背中を押される。うおおおせめて女の子ならなんとかなったのに…
「立海一年、猫宮理久です」
「ちいせえな」
最高に失礼だなこの人。人間は身長じゃない、心だ。
「氷帝学園三年の跡部景吾だ。しっかり覚えとけよ」
「ハイ」
跡部景吾跡部景吾と、彼の顔を見ながら名前を頭の中で反芻する。というか多分忘れないと思うわこんな印象強い人。ていうかハーフですかって聞きたい。
先程手を振ってきた赤髪の小さな彼は、既に他のメンバーと遊んでいる。他の人とは、まあいいか。
いい加減一人で遊びたいので、私は魔法で気配を消すと彼らから離れ端っこの浜辺へと向かった。