椿ちゃんと由奈ちゃんとご飯を食べ終えて、私は一人自販機へ来ていた。あれから二人はすごく仲良くしてくれる。私が分からない話題は殆ど出さないし、二人で何かする時は必ず誘ってくれる。いやいや、私は後から入ったんだから、そこまで気を遣わなくていいんだよと言ったけど、それじゃ楽しくないでしょって言ってくれた。泣ける。気にしないのに。むしろ二人の話聞いてるだけで楽しいよ私。
嫌な気分になるなんてとんでもない。
素敵な人達と友達になれたものだ。あんなに怖いと思っていた存在だったのに。
後から聞いてみれば、本人たちは意図的に周りを避けていたらしい。全然合わないから変に仲良くしたくなかったそうだ。
二人らしいな。そんな二人と仲良くなれて良かった。
二人に思いを馳せながら、オレンジのパックジュースを購入する。
がこんと音を立てて落ちてきたジュースを取り出して、教室へ戻るため歩きながらストローを外していると、何か見知った背中が見える。赤色の頭と銀色の頭。
……何してんだあの先輩達。
校舎裏でこそこそと、曲がり角の向こうを覗いているようだ。私は静かに近づいて同じように覗いてみる。
彼らの視線の先には、男女が居た。
「お、切原先輩告られてんですか」
思わずそう言うと、覗き魔と化していた先輩達が肩を大きく揺らした。
「おっっっっっまえ…………驚かすな……心臓止まるかと思っただろぃ…」
「ふっ、丸井先輩まだまだっすね」
「何がだよ」
心臓がある辺りを手で押さえ顔を引き攣らせている丸井先輩を鼻で笑うと頭を叩かれた。すいません。
「相手誰ですか?」
「同じクラスの子らしい。なかなかかわええ子じゃの」
「仁王先輩はああいう子がタイプですかー」
「なんじゃ、妬いたか?」
「ウケる」
「ほう」
「あーストップストップすいませんでした」
仁王先輩の目がギラリと光り何故か壁ドンされた。息がかかる程近い仁王先輩から顔を逸らしながら先輩の胸板をグイグイと押し返す。くそ、細身のようでいてしっかりしてやがる強い。そして先輩ハチャメチャにいい匂いするやめて。
「理久静かにしろアホ」
「アホって…」
言い返そうと、丸井先輩のほうに顔を向ければ呆れたような顔をした切原先輩が居た。うわビックリした!!
「うわっ赤也いつの間に!」
「先輩らうるさいっスよ…もう終わりました」
「くそ!理久のせいで最後まで見れなかったじゃねーか!」
「切原先輩おっけーしたんですか?」
「理久シカトしてんじゃねえ!!」
もう丸井先輩うるさい…
「いや、断ったぜ」
「何で?前に彼女欲しいって言ってませんでしたっけ」
「んー……何か違ったんだよなぁ。仲良いほうではあったけどよ」
何が違ったのか、自分でもよく分かっていないらしい。切原先輩は腕を組んでうーんと唸った。
「ちゅーか、いつの間に丸井は猫宮を名前で呼んどるんじゃ」
「つい最近。俺ら仲良しだもんなー?」
「ウケる」
「いい度胸じゃねーか」
「本当ごめんなさい」
今度は丸井先輩からの壁ドン頂きましたー
イケメンがそんなほいほい壁ドンしちゃだめよう、無駄遣いだよう。
青筋を浮かべた丸井先輩に頭突きをされる。その反動で後ろの壁に後頭部をぶつけた。前も後ろも痛い何これ…
「じゃあ俺も名前で呼ぶ!」
「ほんじゃあ俺もそうしようかの」
「いやいいですけど…私は変えませんからね」
というか私はよ教室戻らないと。
「じゃあ私教室戻りますね」
「途中まで一緒に行こうぜぃ」
まーた悪目立ちする………離れて歩いてくんないかな…あと丸井先輩人のポケット漁るのやめてくれ…