「丸井先輩ィ!!!!!!!」
「うわァ!!?!?」
テニス部部室のドアを勢いよく開ければ、着替え真っただ中の先輩達が居た。丸井先輩上半身裸だし。だが今はそんなことどうでもいいそれよりも大事なことがある。
「理久お前いきなり入ってくんじゃねえ!!せめてノックしろ!!」
「今それどころじゃないんですぅううううう!!!」
テニス部の部員でもない私が部室に入るのは大問題だとは思うが、今だけは許してほしい。
突然の私の乱入に、全員が呆けているが大変申し訳ない。
「先輩!!!?さっきのアメは!!?!?」
「は!!?食ったけど!!?!?」
「あああああああああああああマジかちょうわあああああああ!!?!」
バタバタと丸井先輩に詰め寄れば両手でガシッと彼の顔を掴む。至近距離で目を覗き込み先輩の中にある魔法の反応を探した。
「おおおおおお、おま、近い近い近い!!!何!?何なんだよぃ!!!」
「反応が…ない……ということはセーフか…先輩アメ二つあげたでしょ?もう一個返してください」
「あぁ!?もう一個なら、さっき幸村くんにあげたけど」
もう一度、血の気が引いた。
恐ろしすぎて幸村先輩を見ることができない。いや待て、まだそうと決まったわけじゃないだろう。大丈夫、大丈夫よ、落ち着くの理久。
私は丸井先輩を見つめたまま震える声で問いかける。
「そのアメは……まだ幸村先輩は…食べてない……?」
「いや一緒に食ったけど…」
まずい。
振り返って幸村先輩に詰め寄ると、もう時既に遅し状態だった。
「ふふ、どうしたの猫宮さん、こんな男だらけの部屋に来るなんていけない子だね?」
幸村先輩の顔を覗き込めばやけに頬が上気していて、ハチャメチャに色っぽかった。これがフェロモン増加か……!!?!?あと惹きつける効果に周囲の好意を増幅させる効果……!!
待って待って私もやられそうなんだが!!?!?
対応できずに目をぐるぐる回していれば、幸村先輩の綺麗な手が頬を撫でた。
「食べちゃいたいくらい可愛いね、猫宮さん」
薔薇だ、今幸村先輩の背後に薔薇が咲き誇った。無理無理普段から色気とか魅力が溢れんばかりなのにこれはまずい無理。
思わず飛びのいて、顔を両手で覆うとその場に蹲ってしまった。
「理久!!?!?幸村くんなんかおかしいんだけど!!?」
「うおああああ……やってもうた…」
「何が!?」
ふと、とあることを思い出す。
そうだここテニス部メンツ揃ってんだった。やべぇ。あれ男女問わずの効果あるんだよやべぇ。
恐る恐る顔を上げてみれば、幸村先輩のフェロモンに当てられた先輩達がぐらぐらとしていた。これは地獄絵図だ、やめてくれそんな先輩達見たくないぞ。
「何をやらかしたんじゃ、理久」
この光景に、さすがの仁王先輩も苦笑いだ。いつもなら面白そうとか言って煽ってきそうなのに男が男に欲情しているのを見るのはきついらしい。しかも部活仲間だしな。
「あれ…仁王先輩は大丈夫そう……」
「ようわからんが大丈夫じゃな」
「あー私の魔力馴染んでんのかな…免疫的なのついたか…」
「お前さんは幸村にぐらぐらじゃったがの。これは一体どういうことなんじゃ」
「あれは近すぎただけで……っていうか今は先輩達どうにかしないと…!」
右手を床につき、幸村先輩以外の人たちに防御の魔法をかける。すると、憑き物が落ちたように皆冷静さを取り戻したようだ。
その様子にほっと息をついていると、背後から襟を掴まれる。
「理久ちゃーん、今すぐ説明しろぃ」
「……ハァイ…」
いつにも増して丸井先輩が怖い。