40個人情報漏洩問題

赤也に写真が送られたのがきっかけなのか、何故かあたしのLINEアカウントが一気に広まってしまった。向日あいつ何やってんだ。
赤也はもちろん立海と氷帝、ちょっと意味分かんないけど青学の越前と菊丸からも「登録しました」のメッセージが届いた。
いや登録しましたじゃない。
そしてさらに各校ごとにグループが作られ全てのグループに招待されてるもんだから毎日毎日毎日毎日スマホが鳴る鳴る。
言い訳をさせてほしい。
最初はシカトしていたんだ。招待されてても参加しないでそのままにしていたのだが、催促のメッセージが物凄くて参加せざるを得なかった。うるさいんだよお前達。
そんな愚痴を白石に聞いてもらっている。

「朝起きると通知バッジがえげつないことになってる」
「何話とるん?」
「立海は丸井くん赤也くん仁王くんで基本スタンプ祭りで、たまに幸村くんにうるさいって怒られてる」
「想像つくわぁ…」
「氷帝はねー飯行こうとか跡部くん家押しかけようとか、あたしが参加できないことばっかだからあたしこれ居る意味ある?って感じ」
「え、それ跡部クンも参加しとる?」
「してる」
「跡部クン見てるとこで押しかけよう言っとるんか笑う」
「"来るんじゃねえ"って毎回言ってるけど夜に向日くんが"跡部ん家楽しかったー"って言ってるから毎回押しかけられてる」
「跡部クン苦労しとるなぁ…」

けらけらと笑う白石につられ自分も笑った。

「一番平和なのは青学かなー」
「メンバーは?」
「越前くん菊丸くん桃城くん、嫌々参加させられた海堂くん」
「嫌々(笑)」
「でもランニング中近所に居た猫の写真アップしたら物凄い食い付きで今じゃ写真を催促されます」
「青学平和やな」
「唯一の癒し」

彼らがアップする写真をスクロールしながら白石と一緒に見ていると、目の前の席に座っていた謙也くんに仲ええなあと言われた。

「謙也くんも入る?グループ」
「いやそういうことやなくて、お前らがや」
「は?」

白石と二人きょとんとしながら謙也くんを見つめる。
いやまあ一応付き合って……るし…?仲はいいけれども。

「あれやんな、お前ら一緒に居ると周り寄せ付けん空気出すよな」
「どういうことやねん、そんなことないやろ」
「いや、現に今俺は話しかけるタイミングを窺っとった」
「嘘やん」

わけが分からないと首を捻る白石に対して謙也くんは溜息をつく。

「あっ分かった謙也くん嫉妬か」

ぱちーんと指を鳴らして謙也くんを指さすと、白石も「ああー」と納得したようだった。

「何や謙也、一緒にお話ししたかったんか。遠慮せんと声かけてくれたらええのに」
「お前らはホンマアホやな財前にド突かれろ」

謙也くんは心底嫌そうな顔をしてもうええわと首を横に振った。
周りを寄せ付けないとは何なんだろうか。いやいや、普通に話してるだけなんだけどな……

****

「それ分かりますわぁ」

財前から借りていたCDを返しに二年の教室へ行った時にその話をすると、意外にも財前は謙也くんの言葉に同意した。

「普通に話してるだけじゃない?前と変わらないよ」
「んー前からそういう雰囲気はありましたけどね。今はますます際立っとるというか」
「ええー……」
「あまりに自然過ぎて空気がちゃうんすよ、なんか」
「よくわっかんねぇ…」

そうですかーと、分かってはいなかったが分かったといった様子でグッと親指を立てた。

「そういや、最近の呼び出しどうっすか」
「あ?あーそろそろ彼女達のセリフ暗記できそうだよ」
「ウケる」
「耳にタコができるってまさにこれ」
「飽きないっすねー」
「ホントそれ」

なーと財前を指さすと、指さすなと手で弾かれた。痛い。
まあ頑張ってくださいーと気の抜けた応援を受け財前の教室を後にする。
……というかまあ気にしたところでどうにかなるわけでもないし。白石とのことは別に悪いことでは……ないはずだからいいか。
教室へ帰る途中、カーディガンのポケットに入れていたスマートフォンが震えた。
何だ何だと思って画面を開くと柳からの個別LINEだった。

≫弦一郎の許可が下りた。連絡先教えてもいいぞ

わぁ……ついに…
そう、運がいいのか何なのか、ほぼほぼ皆の連絡先が手に入ったのでその流れで個別に柳にお願いをしたのだ。
友達が真田に一目惚れしたので、真田くんの連絡先を教えてもいいだろうかと。
このことは決して幸村達には内緒だぞとも言っておいた。
そこは柳もすぐ理解してくれたらしく、快く了承してくれた。

≫ごめんね面倒くさいことを……ありがとう…
≫別に構わない。…が、分かっているとは思うが弦一郎は大変頭が固い。猫宮の友達が期待しているようなことにはなりにくいだろう。
≫大丈夫大丈夫、それは口を酸っぱくして伝えてるから。許可貰ってきてくれただけで有難いよ
≫そうか。これはこれでまた面白いデータが取れそうだから俺も引き続き手伝うことにしよう。
≫マジ!いやホント有難いありがとう!よろしくね!!!

そうメッセージを送ると彼に似つかわしくない可愛らしいスタンプが送られてきた。
よし、これで問題は一つ解消した。一つというか、自分にとっての問題はその咲良と真田のことであってもう呼び出しは問題ではなかった。
生活の一部みたいになっていたのだ。これはこれでどうかと思うけど気にしたってあっちが飽きない内はどうしようもないからなぁ…

とりあえず、真田の連絡先をゲットしたことを咲良に報告をしに自分の教室へ向かった。