料理×不得意×寿司握り
◆◇◆◇◆◇◆◇
「豚の丸焼き!」
これが二次試験の試験だそうだ。丸焼きなんて明らかに簡単すぎる。簡単そうに思えるからこそ罠がありそうだな。
豚自体が少ない……いや、火を通すのが難しいとかか?いや、ここはヌレーメ湿原周辺の動物だから、まともじゃないだろうな。
「正直ほっとしたぜ!簡単な料理でよ。」
レオリオは何も疑ってないのか。まあ、情報もないのに疑っても無駄かもしれないな。
取り敢えずは、どんな豚かを知る事だ。
「早く捕まえねば。あの体格とはいえ食べる量には限界がある」
「あのヌメーレ湿原周辺の動物だから、確実にマトモな豚じゃないだろうしね」
クラピカの言葉に続けて言うとレオリオの御満悦な表情は次第に苦々しいものとなっていった。
しばらく、走り抜け軽い坂を下ると小さな物置くらいの大きさの豚が襲いかかってきた。
突進してくる豚を俺たちは交わすとゴンは手にしていた釣竿で勢いをつけて豚の頭部を殴りつけた。
その豚は攻撃が余程効いたのか気絶して倒れてしまう。つまり、俺も同様にやれば仕留められるって訳だな。
「よし、あの豚にしよう」
俺を視界に入れたグレートスタンプは、俺目掛けて突進しにくる。
俺はゴンのように釣竿がないため木に飛び移り、それから飛び降りる時の勢いをつけて膝蹴りを額にいれた。
ゴドンと音を立てて倒れるグレートスタンプを持ち上げるとゴン達のいる方へ豚を持ってきた。あとは焼くだけだし、誰か火を着けるものくらいあるだろう。
「俺のライターで火を起こすから、火が燃え移りそうなものを持ってきてくれ」
レオリオは手にしているライターを見せると、俺たちに指示をする。丸焼きにするんだから、相応の薪が必要になるな。
「じゃあ、俺は薪代わりになるような朽木を探しに行くな」
「俺もー!!」
俺が朽木を探しにいくと言えば、ゴンも楽しそうについてきた。 こうやって見るとゴンって可愛いよな?男でも可愛いものは可愛いんだ。ぜひ家族に欲しい。
「おぅ、頼んだぜ。俺たちはグレートスタンプを焼ける環境を作っておくな」
任せなさいと言うようにレオリオはそう言う。これって結構、協力しないと手間のかかる試験だよな。
その後、火を起こして豚を焼き上げて試験官の元に豚の丸焼きを運んで行った。まさか、試験官は豚の丸焼き70頭を全て平らげてしまった。
クラピカは試験官の体積よりめ食べた量の方が多いと驚いている。言われてみればそうだな…。あの体の中はどんな造りになってんだろ。
「甘いわねーアンタ。美食ハンターたる者、自分の味覚には正直に生きなきゃダメよ。ま、しかたないわね。豚の丸焼き料理審査!70名が通過!」
そして、二次試験後半の説明を女性は始めだした。次のお題となるメニューは意外なものだった。
「スシよ!!」
なんだか知ってる気がする。確か前に蔵馬さんが持ってきてたやつだ。酢飯の上に魚類の刺身を主として乗せる料理。それが寿司だよな!!
「……ゴン、寿司って」
「う〜ん…聞いたことないよねぇ」
あれ、案外知られていない料理なのか?
だとしたら、あの女試験官とんでもない試験内容を言ってやがる……。
「ふふん、だいぶ困ってるわね」
やっぱり、この世界だと一般的な料理ではないか。と言う事は寿司が、どういう料理か見極める事が試験なんだろう。
周りが困惑していると女性はヒントを与えていた。最低限必要な物はキッチンに揃ってあり、ヒントは寿司は寿司でも握り寿司しか認めないらしい。
「ライスだけでつくるのかなー」
しゃもじを手にして困った顔でゴンは言う。簡単にヒントを言って良いべきなのか悩む。
ゴン以外のみんなも知らないと言った様子で、蔵馬は珍しい物を持ってきたんだと思った。
少しだけ時間が待つが進展がないので、俺はご飯をゴンの口に突っ込む。
「んぐっ!」
「この飯は酢飯だ。魚と一緒に食べたら美味しいのではと思うんだ」
この時、笑顔のゴンが返事をする素振りをみせた瞬間、同時に少し離れた所で何かが聞こえてきた。
「魚ァ!?お前ここは森ん中だぜ!?」
「声がでかい!川とか池とかあるだろーが!」
なんか、物凄く聞き覚えのある声が二人分聞こえてきた気がする。二人とも受験全員に見事なまでヒントを与えやがって何やってんだよ!
「お前、寿司が何か初めから分かってたんじゃねーか!」
「いやぁ……まぁ試験だから、教えるか悩んでたんだよ!!」
「それよりも、皆行っちゃったよ!俺たちも早く行こうよ!」
ゴンが俺とキルアの手を引くと川のある方まで走って行った。既に多くの人がたかっており、魚なんて逃げてしまってそうだ。
人がわちゃわちゃしており、ここで魚を捕まえるとは気が引けるし強奪もされそうだな。
「ねぇ、ロウー!キルアー!こっちに別の川のあるよ!」
ゴンの声が聞こえて、そっちに向かえば、綺麗な川があった。此方の川には少数の受験者しかいないので気づかなかったんだろうな。
早速、ゴンは釣竿に餌を付けて魚を捕まえ始める。俺の分も獲ってくれないかな。魚とか獲った事ないんだが。
近場の岩に腰を掛けていたら、既にゴンは数匹の魚を捕まえていた。こんな短時間で、あんなに釣れるもんなんだなー。
「おい、ゴン。俺にもやらせろよ!」
面白そうにキルアもゴンの釣竿を借りて釣りをしている。釣りって案外楽しいもんなのか?
そんなこんなな調子で必要な分の魚を釣り上げた俺たちは、二次試験会場まで駆け足で戻って行った。
会場に戻ってきた俺達はキッチンに立って寿司を作り始めた。
この試験は命に別状はないが、その反面、寿司を知らなければ合格難度は異様に高い気がするな。だけど、作り方がバレたら審査はどうするんだろ。
「ところで、これ捌けるのか?」
俺なんかが魚を捌いたら身が形を留めず、グチャグチャになりそうだけど。
「え?捌くって?」
そもそも包丁を使ってないゴンは、俺の質問に疑問を感じていた。
こいつ何を作ろうとしてるんだ……?ゆっくりとゴンの料理しているものを見たら個性的な物体があった。
あれだな、このゴンの寿司を見た人が100人いたら200人は振り返るレベルだ。
だけど、こんな事を言えばゴンはショック受けるだろうな。作ったのがレオリオなら、躊躇いなく言えるんだけどなぁ。
「……いや、なんでもない。ところでゴンは自分が作ってるもの食べたいか?」
「うーん、食べたくない!別々に食べた方が美味しそうだもん!」
そりゃそうだろうな!ゴンは寿司とか美食とかの意味を履き違えていないか?
俺も料理なんて殆どやった事ないから人の事言えないけどさ。
まぁ、ここで俺がお手本を作って見せるか。ゴンが戻ってくる頃には完成してるだろ。
「じゃ、俺先にいくね」
ゴンはそう言うとメンチのところに謎の物体を持って行った。そもそも、アレをメンチは食べるのだろうか?
「さて、捌くか」
___これは、なんだ?計画とは別のものが出来てしまった。いや、俺が捌くのに少しだけ失敗したかも知れないが、まるでご飯の上にツナ缶を開けただけになってしまった。
「それが寿司?」
「ホントは刺身のような切り身を乗っけるが、包丁捌きが絶望すぎて、別料理になってしまった……」
「あははぁ…」
ゴンに苦笑いされたよ。しかし、このままだと見た目がヤバイな。せめてアレンジを効かせるか。
「マヨネーズで味付けをしてツナマヨ的な感じにすればっ!!」
まぁ、これなら新しいジャンルの寿司みたいじゃないか?
取り敢えずメンチのところに出していくか。もしかしたら、美味しいとの事で合格出来るかもしれない。やっぱ、駄目もとでも試さなきゃな!!
「は?なにこれ」
「魚が……捌けなかった」
「……そう。まぁ、寿司が何かは理解してるみたいだけど、腕の方が破滅的と言う訳ね」
メンチはツナマヨ寿司を後ろにいるブハラの方へ投げた。それをブハラはペロリと口にすると笑顔になる。
「うん、軍艦巻きとして食べるなら十分ありかな?」
「お、おう」
ブハラに妙な褒められ方をした。彼なりの慰めなんだろう。レオリオやゴンにクラピカの悲しい二の舞いにならなくてすんだだけマシだな。
「さて、どうするよゴン」
「とりあえず、俺が魚捌くよ!」
「おぉ、捌けるのか!!」
釣竿を普段からもってるだけの事はあるな。これで、この試験は突破出来るかも知れないな。少しだけ希望が見えてきたぞ!戻る
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