探検×風景×飛行船
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二次試験が無事に終わると俺たちは飛行船の中に戻った。明日の目的地へは明日の午前8時に到着予定となっているらしい。
試験関係者が連絡するまで時間は自由に使っていいとのこと。
(流石に少し疲れたな…。肉体的にではなくて、精神的に疲れた。人とこんなに触れ合った記憶もないしな…)
遠くの方でキルアがゴンを遊びに誘ってるみたいたが、俺はパスパス。休憩が最優先だ。
(あそこに丁度いいソファがあるな。あそこで一眠りしよう)
俺がソファに座ろうとした瞬間に誰かが俺の腕を掴んだ。とても暖かい手だ。振り返ってみれば、俺の腕を掴んでいたゴンがニカッと笑った。
「ロウも飛行船探検に行こうよ!」
「生憎だけど俺は疲れた。飛行船探検なんて誰が行くかよ」
そうしてソファに座るとゴンは俺のもう片方の手を掴む。なんで、ゴンと両手繋いでんだ俺は……。まぁ、悪くはないけどさ。
「ロウだって飛行船に乗った事ないんでしょ?だから、きっと楽しいよ!」
何だ、このだだをこねる子供は。これじゃあ断れないじゃねーかよ。
肉体的には殆ど疲れてないし仕方ないから付き合ってやるか。
この両手を繋いで見つめ合ってるのが原因か、他の受験者から送られる妙な視線が気になるしな。
「……仕方ねーな、付き合ってやるよ」
「やったぁ!ねぇキルア!ロウも行くってさ!」
「いや、聞こえてるから」
呆れて返事をするキルアに思わず苦笑いする。にしても、何かゴンのテンションが高いな。なんと言うか可愛いな〜ゴンは男だけどもね。
俺たち三人はロビーから出ると機内の廊下を走る。見渡して思ったが飛行船というのは凄いな。
俺ですら飛べないのに、こんなに大勢を乗せて空を泳いでいる。どういった原理で宙に浮かんでいるのか興味深いものだな。
「まず、どこ行こうか?」
「決まってんだろコックピットだよ。コックピット」
キルアは楽しげに言うが果たしてそれは大丈夫なのか?
「えっと、コックピットって操縦室だったよな。そんな所はいって良いのかよ」
「へへ、だから探検なんだよ」
駄目だ根本的な考えの価値観が違う……。これじゃあ、俺たちは迷惑な子供になりそうじゃないか。そう思ったが興味はあり止めることをしなかったため、とうとうコックピットのある場所まで着いた。キルアは躊躇いなくコックピットの扉に手を掛けて開けた。
マジで躊躇なかったな。ていうか操縦室なのに鍵は閉めてないのか。
「かっこいいだろ〜」
「おぉ……すげぇな」
なんだか憧れんな。飛行船の操縦を渋い面で熟してみるのって少しカッコ良くないか?女の子にもモテそうだし…。俺、パイロット目指そうかな?
「立ち入り禁止って書いてあったけど…大丈夫……?」
「だから、探検なんだよ」
キルアって中々イタズラっ子なんだな。しかし、俺も操縦してみたいなぁ。やらせてくれないかな。
俺達がコックピットの奥に歩いて行けばパイロットは関係者と勘違いして何かを言い出した。
「風も穏やかだし、視界も良好。夜のフライトで一番怖いのは眠気だ。手が空いたら、お茶でもいれてくれ」
「自分で入れなよ、お茶くらい。横着しないでさ」
(お茶と横着か……)
キルアは腕を後頭部に組みながら、バカにする様に言った。明らかに若い声に操縦士は気付くと間抜けな声を出して此方に振り返る。
「俺も飛行船操縦したいな。させてくれるなら茶くらい入れてやるぜ?」
俺はキルアに付け加える様に言えば、操縦士によって俺たちはコックピットから摘み出された。なんだよ、ケチくせーな。
「入られて困るとこなら鍵でも掛けとけっつーの!」
キルアって、やっぱり中々のイタズラっ子だよな。何かついさっきも同じ事思った気がする……。
「次行こうぜ次」
キルアは立ち上がって軽快に歩いていく。あいつ普段から、こう言う事やってんのか?全くめげてないな。ゴンは少しばかりめげてるけど。
俺たちは一通り探検すると廊下にあるベンチに腰をついた。なんだかんだ言って今まで見た事のないものばかりで楽しめた。
「あんまり面白いとこなかったなぁ」
足を組みながら言うのが何か、手慣れてる感想だな。と言うか、こんなことやっていいのか。
「そう?結構楽しかったけどなぁ俺」
ゴンはそう言うけど、こりゃ完全な価値観の違いだよなぁ。俺もゴンと同様に結構楽しめたし。キルアってみるからにお金持ちそうだから、珍しくもないのかな。
こっから見る景色ってイルミネーションみたいで綺麗だな。俺が窓から見える景色を眺めているとゴンは、俺の同じように後ろに向き景色を目にした。
「うわぁ!見て見て!宝石ばら撒いたみたいだね!」
「空からはこんな風に見えていたんだな」
何だかゴンとは気が合いそうだ。何よりこいつ動物……犬っぽいし。それに、純粋すぎて目が離せないとさえ思ってしまう。
「夜景見たことなかったのか?お前ら」
やっぱりお金持ちなんだな。今の俺なんて一文無しで何も出来ないし。
「こないだキリコさんに空を運んでもらったけど、そんなに明かりがなかったし」
「俺の場合、飛行船とか利用したことがなかったからな。キルアはどうなんだ?」
キルアは頬杖をしながら夜景を見て答える。どうせ10回以上とか言いそうだな。きっとお坊ちゃんなんだろう。
「うち自家用機とかあるから、数えきれないくらい」
「ちょっとムカつく」
思わず呟くとゴンと声が揃った。流石ゴンだ。やっぱりゴンとは気が合いそうだぜ。
「無いと困るんだよ。山丸ごと一個うちの敷地だし」
「……それ敷地?縄張りとかじゃなくてか?」
「はぁ?縄張りって俺は動物じゃねーよ。使用人も200人くらいいるしさ」
なんか想像以上のお金持ちだ。蔵馬が言ってた幻海って奴の敷地もそのくらい広かったな。
「キルアん家お金持ちなんだぁ。……お父さんとお母さんは何をしてるの?」
「あ、それ俺も気になってたぞ」
そんな金なんて何の仕事したら手に入るんだよって話だ。物によっては俺もやって億万長者になれる気がする。
「殺し屋」
あぁ……うん、これは億万長者諦めるしかないな。殺しは後味が悪そうで俺には出来ない。
「二人とも?」
二人ともって、キルアの家族も家族だけど、ゴンもゴンだよな。やっぱりゴンは純粋すぎねーか?
「面白いなお前。マジ面で、そんなこと聞いてきたの、お前がはじめてだぜ」
「普通、ビックリして声が出ないよな。俺は殺しなんて出来なさそうだから億万長者の夢を一瞬で諦めたし」
「億万長者って……。お前も…お前で感覚ずれてるぜ?お前ら面白い奴だな」
何か少しショックだ。俺だけは普通だと思ってたが…。いや、普通の価値観は俺にもないから、俺も普通ではないか。
「だって本当なんでしょ?」
「どうしてわかる?」
ゴンはキルアに問い返されると、視線をキルアから夜景に移して言う。
「なんとなくかな」
答えになっているかは分からないが、そう言う勘って当たるんだよな。俺の場合は百発百中で勘が的中するし。
「おかしいなぁ。どこまで本気かわかんない子ってのがチャームポイントだったのに」
キルアはそう言うと視線を夜景から俺らに向けて続けて言った。
「俺ん家、暗殺稼業なんだよね。家族ぜーんぶ。そん中で俺すげー期待されてるらしかてさー。でもさ、俺やなんだよね。人にレールしかれる人生ってやつ?」
「辞めちまえば良いじゃねぇか。そんな奴らの言うことなんて無視してさ」
「……そう言うわけにもいかないんだよ。お前、俺の親父がどんだけ強いか知らねぇだろ」
どの程度の実力持ってるのか知らんが、俺くらいには勝てる実力者なのだろうか?そんなに強いなら一度手合わせ願いたい所だぜ。
「自分の将来は自分で決めるって言ったら親兄弟キレまくりでさぁ。母親なんか俺がいかに人殺しとして素質があるかとか涙ながらに力説するんだぜ。ひでー親だろ?グレるぜ普通」
おぉ……とんでもねぇ家族だな。キルアが溜息を吐くのも何となく分かる気がする。まぁ、俺ならグレるどころか他所に逃げ込んで、それから徒党を組んで襲撃しにいくかもしれねぇな。
「結局喧嘩になって母親の顔面と兄貴な脇腹刺して家おん出てやった!今頃きっと血眼さぁ!」
「……あはは」
「既に襲撃してたか……」
しかも、嬉しそうに言ってやがる。俺とはかけ離れたとんでもねぇ神経してんな。
「ハンターの資格とったら、まずうちの家族とっ捕まえるんだ。きっと、いい値段で売れんだよねー」
ハハハ……いい笑顔してるなぁ……。どこからツッコミ入れていいかさっぱりわからねぇよ。
「キルアって凄いね。俺、キルアみたいに父さんを超えたいって思ったことないもん」
そうか、ゴンは父がどんな人間か分からないんだもんな。俺は目標となる人物が思いつかないしなぁ。
「……しっかし、まぁ…露骨だな」
「……え?」
あの気配を感じて口にしてみれば、ゴンから疑問の声が上がる。まぁ、感性が超人だとしても気付くことが困難なレベルの気配だからなあ。
俺がまばたきした瞬間に、その気配は大きく移動し通路の逆側に移動していた。それに、ゴンとキルアも気づいたみたいだな。
「やっぱり、お主は変わっているのぉ」
「あんたも大概じゃねーか。ガキ二人に妙な事しやがってよ」
このジジィなんか関わりたくねぇな。ロクでもねぇ事が頻繁に起きそうで疲れそうだ。
「ネテロさん、こっちの方から誰か近づいてこなかった?」
「ゴン、お前……素直だな」
「……え、なんで?なんで?」
言うべきか言わないべきか。まぁ、説明するのが面倒いってのもあるが、事態を聞きたがるゴンが可愛いし……しばらく様子みてるか。
「素早いね年の割に」
「今のが?ちょこっと歩いただけじゃよ」
あーあ、キルア苛々してるな。俺も苛々してるけど。このジジィと関わっててもロクなことが無さそうだ。
キルアがピリピリしてネテロに何をしにきたか聞くと、ネテロは俺たちとゲームをしたいと言ってきた。そのゲームに勝つことが出来たらハンターの資格がもらえるとのことだ。
全く、ふざけた爺さんだ。つまりは負ける気がしないという事だろう。戻る
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