素性×真実×旅の目的
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ネテロに案内されて広場に着くとネテロは片手にボールを持っていた。一体何をすんだ?ボールの遊びなんてさほど知らねぇぞ。

「この船が次の目的地に着くまでの間に、この球をワシから奪えれば勝ちじゃ。
そっちはどんな攻撃も自由。ワシの方は手を出さん」

どんな手段ても使ってオーケーか。単純なバトルじゃ勝てないだろうが、ボールを奪うだけとなれば話は変わってくる。

「ふぅん、それって俺も参加していいのか?」

「うむ、駄目」

すごい茶目っ気ある感じで言われてしまった。俺だけ外から見てろってことか?

「お主と本気でやったらこの舟がどうなるかぐらい分かるじゃろ?」

……ごもっともだった。船の耐久度を度外視してた。俺とジジィが本気で動いたら飛行船は墜落だな。

じゃあ、ゴンとキルアの応援でもしておくか。もしかしたら、2人に良いアドバイスも出来るかもしれないしな。

……仮に俺がゲームに参加してたとしても、力が制限されてる人間の姿のままじゃ到底ジジィからボール取れなそうだな。少なくとも獣人フォルムにならなきゃ勝算はないから参加しなくて正解。

「話し終わったなら、俺から行くぜ」

キルアはそう言うとネテロ余裕そうに「御自由に」とだけ言う。
決してキルアが弱いわけでは無いけども、こりゃ実力が違い過ぎるな。

その瞬間にキルアの姿がぶれ始めて分身の如くキルアは何人にも増えた。ちょっと、俺もやってみたいけど簡単に身につきそうな技ではないな。
それでもジジィ全て交わしやがる。

キルアがネテロの軸足に蹴りをいれたが、ダメージを受けたのがキルアの方だった。蹴り自体はいいが、ネテロの単純な防御力に上回る蹴りではない。



おぉ、キルア戻ってきた。あのジジィの足蹴り飛ばしたら、ゲーム続けてられねぇよな。

「大丈夫かー?」

「鉄骨みたいだぜ、あのじーさんの足!」

ゴンは準備運動を軽くするとネテロに向かってダッシュする。ノーマルで、あのバネは凄いけど少し勢いが良すぎるな。

天井にドン!と音を立てて、ゴンは真下に落下する。それは跳びすぎだって……。

「阿呆…。大丈夫か?」

「う、うん。なんとか」

これじゃ見てられないな。キルアの時もだけどネテロの野郎は殆ど力を出してないしよ。

しばらく経ったが、ボールを取ろうと二人掛かりで試みるゴンとキルアだったがボールを取れる一歩手前でネテロが少々本気を出し、一瞬にしてボールを手にした。本当に大人気ねージジィだ。

不意にキルアは脱いだ上着を手に取りネテロを見る。多分、今のでカチンときたんだな。

「やーめた、ギブ!俺の負け」

「まだ、時間はあるよ!今のだってもう少しだったしさ!」

何と言うか本当に純粋なんだな。
そこが良いんだけども。このジジィが今までどんだけの事したか教えてやるかな。

「外野の俺は見ていて分かったけど、ジジィは右手と左足を使ってねぇぜ。
今のままじゃ、少し厳しいんじゃねーか?」

「うっそぉ!?」

おお驚いてる驚いてる。まぁ普通は驚くよな。あとちょっとだと思ってたのが、本当は手抜きまくりのゲームだってことだしよ。

「おや、バレてたか。うまく隠してたつもりだったんじゃが……」

「はっはー。とことんムカつくジイさんだぜ、もー。」

ありゃ、結構苛立ってるな。今にも誰かを殺しそうなくらいに。見ず知らずの人間なら本当に殺してしまいそうだ。

「いこーぜ」

「俺、もう少しやってみようかなって思ってるんだ」

ボール取るのは無理そうだけど、何か企みでもあるのか?
キルアは先に戻ることを俺に伝えると部屋から出て行った。
殺気だってて誰かを殺めそうな雰囲気だけど止めた方が良いかな?周りが気遣えば死人は出ないと思うけど。



しばらくの間、ゴンはボールをネテロから奪おうと試みていたが、ことごとく阻止される。進むのは時間だけだった。そう思った瞬間にゴンはネテロに右手を使わざるという進展して、ネテロは右手と左足を使ってしまった。

まさか……初めからボールを取るつもりでやってた訳じゃないのか……。この志は高く評価できるけど、ちょっと理解できない。

「やったぁー!」と叫ぶとゴンは力を使い果たしたのか、その場で眠りにつく。ずっとやってたし体力もギリギリだったんだな。

まとめると、ゴンはジジィから手足全部使わせたかった訳だ。よくそれを実行しようと思ったのは凄い。だけど、三次試験に差し支えなければ良いが。

俺が時計を目にすると時刻は4時18分。思った以上に時間は経過していたのか。次の目的地に到着する時間は8時だったか。

「ロウと言ったか?」

「あぁ」

「お主は一体、何者なんじゃ?」

まるで、俺が化け物だと分かってるような言い方だな。危険な生物を見るような鋭い眼。恐らく第六感的な何かで勘付かれてる。

「正直に言えば記憶が無くて、全く分からない」

「……お主から放たれるオーラなんじゃが異質なんじゃよ」

異質…確かに俺は普通の生命体ではないからなオーラ見られたらバレるか。

「妖怪というだけじゃ説明がつかない位に」

「……知っていたのか」

このジジィは何を知ってるんだ。どこまで知っているんだ。

「あれはワシが30代のときかな。こことよく似た世界に飛ばされた事があるんじゃが」

「……もしかして、蔵馬って奴とか知ってるか?」

「…はて、聞いたことないのぉ。ワシが、その世界で関わったのは幻海と言う武道家だけじゃし」

何処かで聞いた事のある……いや待てよ、俺が人間界で修行していた寺の持ち主じゃねぇーか?
蔵馬に聞いて少しだけ話は聞かされてたが、このジジィと関わりがあるのか!?

「その世界では妖怪と言うものがいてな、お主と似たオーラを放っていた。しかし、それだけじゃない何かをお主から感じる」

すなわち、普通でないと言ったのは"普通"の妖怪でないと言う事か。

「お主、記憶が無いと言っておったな。"ヴェルム ケーヴ"を探してみたらどうじゃ?秘境と呼ばれる場所で明確に場所が確立された場所でないとは聞くんじゃがな」

真実を知る事が出来る。俺が何者か知る事が出来る秘境と言う訳か。しかし、そんなよくわからねぇ場所をどうやって探せば良いんだよ。

「本当に真実を知りたいという意思があれば、ヴェルム ケーヴは自ずとお主の元に現れるじゃろう。見たものは皆がそう言う」

特殊な洞窟という事か。確かに秘境と呼ばれるだけの事はあるな。特に何がしたいわけでも無かったし、ヴェルム ケーヴを求める旅に出るとするか。

「ネテロさん、どうもな。やりたい事が見つかった。俺はその秘境を求めるぜ」

「さて、話していたら疲れたわい。ワシも休みたいから、機長に到着時間を遅らせるように伝えとくわい」

最初は嫌なジイさんだとは思ってたけど、結構良いとこあんだな。しっかし、幻海さんと知り合いとは本当に何者なんだ。

ネテロが部屋を出て行くと、この部屋には俺と眠るゴンだけ。そんな格好じゃ風邪引くだろうが。

「……なんだろう、すごく懐かしい気がするな」

って何言ってんだ俺は!ゴンとは昨日はじめて出会ったから、別に懐かしいもクソもねーだろ。

とりあえず、このままだと風邪引くだろうしゴンの上着でも掛けてやるか。シャツ一枚じゃ寒いだろうしな。

俺は上着を脱いでゴンを見た。汗も拭かないと身体が冷えるだろうなぁ。上着の袖で目に見える汗を拭いていく。

「にしても…可愛い寝顔だな」

俺も寝ておくか。きっと2時間も寝たらスッキリすると思うし。本音を言うと出来れば6時間位は寝てたいけどな。

上着をゴンにかけて隣で俺は横になる。すっかり規則正しくなったゴンの寝息を耳にしながら俺も眠りに就いた。
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